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『アジア記者クラブ通信』292号〜特集:「金正男殺害事件」
と偽ニュース

タイトルとリードのみです。本文は、通信でお読みください。
全頁カラーのPDF版と紙版があります。購読方法はメール
末を参照願います。

■定例会リポート(2016年12月15日)
本土の記者は沖縄をどう伝えてきたのか
「基地問題」「沖縄差別」に応えて
川端俊一(朝日新聞記者)

 いまだ日本に「大本営発表」記事があるのかと思わせたのが、
昨年12月に沖縄県名護市沖で発生した米軍輸送機オスプレイの
墜落をめぐる報道だった。乗組員は避難できたものの機体は大
破。米海兵隊が回収終了を発表後も残骸はあたりに残っていた
と沖縄県紙は報じている。これを事故当初のニュースでは「墜
落」とテロップを出した東京の一部キー局も後に「不時着」と
するなど、大手メディアの多くは米軍の見解に沿った形で「墜
落」表現を避けて伝えた。一方で沖縄県紙は「墜落」として、
根源にある米軍の基地問題と絡めた報道を行った。普天間飛行
場の辺野古移設や高江のヘリパッド建設についても沖縄と本土
のメディア間では温度差が大きい。朝日新聞夕刊で連載した
『新聞と9条 沖縄から』を基にした書籍『沖縄・憲法の及ば
ぬ島で 記者たちは何をどう伝えたか』(高文研)が刊行され
た同紙の川端俊一さんをお招きし、歴史的経過を踏まえて、本
土のメディアと沖縄報道についてお話をうかがった。(編集部)


■トランプとオバマの外交政策は表裏一体
ネオリベ秩序の崩壊と展望

ジェームズ・ペトラス
ニューヨーク、ビンガムトン大学名誉教授

 就任から50日を迎えるトランプ大統領。ハネムーン期間半ば
で米主流メディアとの衝突を繰り返し、前大統領とは対照的に
政治家としては粗野で素人だとの批判を浴びた。本稿は、主流
メディアから突然変異を遂げた例外中の大統領として、何を考
えているのか、どこに向かうのか分からないと揶揄されるトラ
ンプが、オバマ大統領のような一見上品ながら実は口先だけで
民衆を「扇動」する能力を持ち合わせていないだけで、オバマ
とトランプの外交政策、その手法、同盟国の取扱いでの政策と
戦略ではいかに類似点が多いかを列挙する。筆者は、エルサレ
ルムへの米大使館の移転を口にしたトランプとイスラエルへの
軍事支援を含めた義援金を年間38億ドルに増額したオバマに何
の違いもないという。入国禁止の大統領令の対象となったイス
ラム教7カ国は、オバマ政権による「収拾の糸口の見いだせな
い7つの戦争」が遂行された国々と一致する。その一方で、世
界に蔓延したウルトラ新自由主義の秩序の崩壊が始まっており、
新しいダイナミックで民主的な集団主義者の秩序が生まれるチ
ャンスがあるとの楽観的な展望を筆者は示す。(編集部)

トランプ排除はあるのか
米国と世界を破綻の淵に
常軌逸したネオコン8人

アレックス・クリストフォーロウ(『ドゥラン』編集長)

 トランプ政権誕生後、ネオコンの動向が注視されている。湾
岸戦争から、コソボ戦争、アフガン戦争、イラク戦争に至るイ
スラム諸国への米国の軍事介入は、“侵略”ではなく“解放”
とみなすべきだと公然と語ったネオコンは、リビアとシリアに
も兵を進め、ウクライナにも食指を伸ばしてロシアを挑発して
きた。イランのイスラム体制打倒にも余念がない。本稿は、ネ
オコンの大本名大統領候補ヒラリー・クリントンの落選後、彼
らがトランプ政権との関係をどう取り持とうとしているのか、
ネオコンの大物8人の言動から解き明かす。そこから垣間見え
るのは、世界大戦も辞さない常軌を逸した影の政府を構成する
政治家の姿である。筆者のメモからは、障害になるものは容赦
なく排除するネオコンの論理が読み取れる。(編集部)

ハリウッドも参戦
シリアの戦火を煽る
プロパガンダを映画化
「白いヘルメット」の大嘘

リック・スターリング(調査報道ジャーナリスト)

第89回アカデミー賞の短編ドキュメンタリー賞を映画『ホワイ
ト・ヘルメット−シリアの民間防衛隊』が2月27日、予想通り
受賞した。シリアの戦場となった瓦礫の山に埋もれた1人の
少女が、まるで世界記録を達成するかのように、手際よく瓦
礫から救出され、テレビ映像の前に座らされたシーンを目に
した人は多い。本稿は、主流メディアや「オルタナティブ」
メディアの中でも、「白いヘルメット姿の男たち」の作り話
を少しも批判的に見ることなく、まるで宣伝するかのように
報道し続けている現状を検証する。筆者は具体的な証拠をあ
げて、救助隊員にシリア人がいないこと、ボランティアは嘘
で報酬が支払われていること、映画がシリア国内ではなくト
ルコ国内で撮影されたこと、このグループが英国の軍事請負
業者ジェームス・ルメスリエによって創設され、米国、英国
をはじめ各国政府から多額の資金提供を受けていることを明
らかにする。今回の受賞動機が極めて政治的意味合いを帯び
ているのは、シリア政府を転覆させるための欧米諸国、イス
ラエル、湾岸諸国のキャンペーンが台無しになるのを防ぐ取
り組みの一環であるからだ。筆者が指摘するように、この問
題によって、報道機関の品位と記事の正確さが試されること
になる。(編集部)

トランプ批判できるのか
懐疑的な見方を検閲する
NYTの偽ニュース

ロバート・パリー(調査報道ジャーナリスト)

 トランプ政権と米メディアの対立は収束の兆しが見えない。
「偽ニュース」の“レッテル”を貼られ、記者会見室から締
め出された主流メディアの怒りは治まらないようだ。トラン
プ大統領の言動を言論表現の自由への抑圧だと主流メディア
は反発してきた。本稿は、その主流メディアの代表格である
ニューヨークタイムズ(NYT)紙はじめとした欧米主要紙
が、どのようにEUや米国のプロパガンダに疑問を抱かせる
情報源を沈黙させているのかを明らかにする。筆者は、懐疑
的な見方を抑圧するのに主導的な役割を果たしているのが主
流メディアであり、イラク戦争で偽りの大量破壊兵器(WM
D)の存在を報道し続けた大失態を棚上げにした上で、新冷
戦についての米国やEUの語り口に疑問を呈する優れた報道
記事やドキュメントを事実上排斥してきた実態を告発する。
「偽ニュース」こそ主流メディアの拡声器なのである。
(編集部)


朝鮮の市民が国外で殺害されたことを巡る朝鮮民主主義人民
共和国(DPRK)に対する米国、韓国の不条理な詭弁

平壌3月1日=朝鮮中央通信(KCNA)

本稿は、マレーシアで金正男氏と言われる男性が死亡した事
件から半月後に発表された殺害事件への関与を全面否定した
朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の公式声明である。こ
の声明では、VX神経物質によって殺害されたとする発表に科
学的根拠と正確さがないと反駁を加えている。具体的にはVX
の致死性と浸透性を考慮すれば、犯行に及んだ女性容疑者や
キム・チョルの救護と搬送に関わった救急隊員や警察官全員
に中毒症状が出るはずなのに、発症者が皆無であることはVX
の化学的特性と合致しないと反論する。今回の事件は、DP
RKの長年の友好国であったマレーシアとインドネシアを巻
き込む形で発生した。DPRKの偵察総局による犯行説が韓
国の情報機関から終始リークされ、それをメディアが拡散す
る形で事件の衝撃度が演出されてきた。容疑者女性の韓国へ
の度重なる渡航歴と事件の関係など謎はまだまだ多い。イラ
クの大量破壊兵器(WMD)の時と同様、DPRKへの“国
際非難”を巻き起こし、同国の社会システムを破壊すること
がこの事件の目的であると声明は非難している。(編集部)


殺されたのは金正男なのか
VX使用は警察発表だけ
北朝鮮「悪魔化」と先制攻撃

コンスタンチン・アスモロフ
ロシア科学アカデミー極東研究所
朝鮮研究センター主任研究員

 「疑わしきは罰せず」という刑事裁判における原則が国際
情勢に用いられることはないのだろうか。邦字メディアは、
韓国の情報機関がリークする金正恩委員長が亡命政権の首班
に祭り上げられる可能性があった異母兄が対抗馬になること
を恐れて暗殺に踏み切ったという情報に飛びついた。この思
い込みに沿った質問をマレーシア当局や関係者に執拗に繰り
返した邦字メディアは、何の真相も得られなかった。本稿は、
第三者の立ち合いのなかった「VX神経ガス」検出に始まり、
女性容疑者の度重なる韓国訪問と事件との関係、遺体の本人
確認を避けたがるマレーシア当局の動き、韓国とマレーシア
の共謀の有無など数々の疑問点を検証する。筆者は、「化学
兵器の使用」が北朝鮮の悪魔化に拍車をかけ、金委員長への
狂った暴君のイメージが増幅されることで、北朝鮮包囲と朝
鮮半島の軍事的緊張が高まることを歓迎する勢力の思い通り
にことが進行していることに警鐘を鳴らす。(編集部)


■伊藤孝司『平壌日記』

■山崎久隆(たんぽぽ舎)の原発切抜帖

■書評:『沖縄密約をあばく−記録:沖縄密約情報公開訴訟』
    (日本評論社)

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