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12.10 わたしたちの声を国連へ〜日本政府は国連人権勧告を履行せよ!

    金子 通

 12月10日、東京・青山学院大学本多記念国際会議場において、「12.10わたしたちの声を国連へ〜活用しよう!国連の人権保障システム」と題した集会が開催され、約200人が参加した。

 集会は、実際に国連人権機関へロビー活動したNGO関係者を招き、参加者の間で国連が日本国内における人権侵害行為を憂慮していることや日本政府の不誠実な対応について、思いを共有した。また本集会開催にあたり、複数の国会議員からメッセージが寄せられた。

 記念講演として、前田朗・東京造形大教授が国連人権機関のメカニズムや審査の過程について説明した上で、実際に行ったロビー活動を映像とともに披露。NGOの訴えに、国連人権機関の多くの理事が理解を示していることを実体験とともに話した。

 続いて、NGOから3人が報告。

 荒牧重人さん(子どもの権利条約総合研究所)は「日本の子どもの権利条約の審査に向けて」と題して報告。「子どもの権利条約の審査は、来年2月に事前審査、6月には日本政府の回答、8月にNGOの追加レポートの提出が予定されており、本審査は来年9〜10月に行われる。日本政府は子どもの権利条約に対する基本的理解が不十分。子どもの生活に直結する東日本大震災や子どもの貧困問題、いじめ問題、学力の競争主義の問題にはほとんど触れられていない。皆さんとともに条約を実現するために頑張っていきたい」と訴えた。

 朴金優綺さん(在日本朝鮮人人権協会)は「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を」を題して報告。「朝鮮高校は拉致問題など政治的な理由で『無償化』制度から排除されている。さらに地方自治体が朝鮮学校の補助金を停止・減額したため、朝鮮学校の運営が危機にさらされている。私は今年10月にUPRプレセッションに参加し、ジュネーブで国連各国にロビー活動を行った。ロビー活動の相手からは『朝鮮学校だけを明確に除外する行為が、この21世紀に行われるなんて信じられない!』との反応があった。13カ国にロビー活動した結果、ポルトガル、オーストリア、朝鮮民主主義人民共和国が勧告を出してくれた。高校無償化法の精神は、すべての子どもの教育の機会を与えることだ。法の趣旨に則って、いますぐに朝鮮高校にも『無償化』を適用すべきであり、朝鮮学校に対する差別的行為をやめるべきだ」と訴えた。

 池原毅和さんは「日本でもできる個人通報制度」と題して報告。「マイノリティの人権は、裁判所に行っても救済されないし、国内人権機関はないし、今は救済されない現状がある。このような状況の下、国連のしかるべき機関から人権問題について勧告が出されただけでも日本国内では相当なインパクトがある。これからも皆さんと一緒に頑張っていきたい」と述べた。

 集会の終わりに、参加者で「2013年安倍政権は『国連人権勧告に従う義務なし』と閣議決定し、日本の人権状況は悪化の一途をたどっている。日本は2020年東京オリンピックに向けて『人権大国・日本』を掲げている上、2017年から人権理事国に就任している。国連人権理事会が加盟国を対象とするUPR(普遍的・定期的審査)勧告に対しては、2018年3月の国連人権理事会までに、受け入れるかどうか回答しなければならない。日本政府は、すべての勧告を受け入れ、人権理事国にふさわしい人権実態を作り出すべきだ」等とするアピールを採択し、終了した。

※今回実施されたUPR日本審査
 2017年11月14日、スイス・ジュネーブで5年ぶりに実施。日本政府の審査は、今回が3回目で、16日に出された各国からの勧告は、106カ国から218項目(前回は79カ国から174項目)。具体的には、朝鮮学校「無償化」排除や移住労働者の権利保障、アイヌ・琉球の人々の権利保障、日本軍「慰安婦」被害者への誠実な謝罪と賠償、精神障がい者の人権問題など様々な課題が指摘されている。


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