太田昌国のコラム「サザンクロス」 : 米軍の在外兵力の現状から見えてくるもの | |||||||
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米軍の在外兵力の現状から見えてくるもの2016年9月段階での米軍の在外兵力の実態が発表された。米調査機関ピュー・リサーチ・センターが米国防総省の統計資料を集計し、発表したものだ。(これを私は8月27日付けの「しんぶん赤旗」で知ったのだが、ネット上で検索すると、以下のサイトに行き着いた。原文で詳しく読みたい方は、ここをクリックして下さい。) →http://www.pewresearch.org/fact-tank/2017/08/22/u-s-active-duty-military-presence-overseas-is-at-its-smallest-in-decades/ いくつかの重要なことが明らかにされている。二つにまとめてみる。
以上のデータから、次のことがわかる。米ソの対立構造、いわゆる冷戦体制が1990年前後に終結して以降、米軍の海外基地は明らかに縮小傾向にある。その中にあって、日本においてはそれが一向に減らず、逆に沖縄辺野古での新基地建設に象徴されるような基地強化の動きがある。それは、米軍駐留経費の7割を負担する「思いやり予算」や米軍に多大な特権を保証している日米地位協定など、世界でもめずらしい「便宜」が米軍に与えられているからに違いない。 日韓合わせた駐留米軍兵士数が、全体の三分の一に及ぶことも注目に値しよう。巷間言われる「朝鮮半島危機」をどのような視点から捉えるべきか、示唆するところは多い。第二次世界大戦の「戦勝国」としての米国が、「敵国」であった日独伊の3ヵ国に、戦後72年が経った今も広大な基地を維持していること、駐留兵士数は3ヵ国合わせて全体の40%以上を占めることにも注意を払いたい。ここには「戦利品」を決して手放さず、徹底してこれを自国の利益のために活用するという、米国の強い意志が表われている。ここで視野を広げて、キューバのグアンタナモ米軍基地の占有状態も、革命後のキューバ政府による返還要求を無視して、1903年以来114年の長きにわたることも思い起こせば、超大国のふるまい方の横暴さがよりいっそう浮かび上がるだろう。 日本が軍事同盟を結び、「国家主権」を蔑ろにしてまで軍事基地を提供している相手国は、このような価値観を持つ国である。この国の大統領は、朝鮮国の核・ミサイル開発の進展状況を知って、「日本と韓国が米国から高性能の重装備品を大量に購入することを認めるつもりだ」と述べた(9月5日)。日本政府もこの機に乗じて、イージス艦の陸上版システム「イージス・アショア」の購入や「敵基地攻撃能力」の保有などを公然と語り始めている。 「米国第一」を呼号しつつも、地球規模の(グローバルな)構想で世界支配を目論む米国と、それと運命共同体であり続けようとする日本政府の策動を前に、私たちにも「東アジア」と「世界」の歴史と現実を射抜いた視点が必要である。 付記:米軍基地のありようを世界的な規模で見た場合、どのような実態が現れるかについては、林博史『米軍基地の歴史――世界ネットワークの形成と展開』(吉川弘文館、2012年)が詳しい。 〔著者プロフィール〕 Created by staff01. Last modified on 2017-09-11 11:13:07 Copyright: Default |