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「公共交通」をかなぐり捨てたJR〜「民営化30年」儲け主義の末路
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「公共交通」をかなぐり捨てたJR〜「民営化30年」儲け主義の末路

アーカイブ録画(80分/特集は14分から)

 負けてばかりの中で、たたかいの勝利ニュースはうれしい。6月14日のレイバーネットTVは、韓国サンケン争議の原職復帰・勝利報告から始まった。「トイレにいくとスッキリしますが今そんな気分です」と組合員が感想を語る。剃髪姿でおなじみのキムウニョンさんの頭も黒々としてきた。15分の短い報告だったが、歌も披露し盛り上がった。(写真下)

 そして、この日の特集「民営化30年検証〜破綻したJR北海道とアブナイJR東日本」に移った。最初に流した映像は、中曽根元首相がNHKのTVで「国労・社会党・総評をつぶすために国鉄分割・民営化をやった」と得意気に話すシーン。くしくもこの日、国会では共謀罪法案が強引に通されようとしていた。すでに社会党(現社民党)はほぼ壊滅し、自民党のやりたい放題の政治状況は、じつは30年前から準備されていたことがわかる。

 番組のゲストは、北海道から上京した黒鉄好さんと国労本部書記長・唐澤武臣さんだった。二人の話はわかりやすかった。膨大な長期債務を理由とした1987年の国鉄分割・民営化だったが、その後の経緯は、債務負担を国民に押しつけ、採算性のない鉄道の切り捨てだった。北海道ではJR発足当時に線路は3分の2にされたが、いままたその半分が廃止されようとしている。

 黒鉄さんはJR北海道の異常な実態を語った。「JR北海道はいま倒産状態です。中小企業の社長だったら夜逃げでしょう。金がなくて安全投資も電車の買い換えもできません。歴代の社長が2人も自殺しているんです。はじめから赤字になることはわかっていた分割化のスキーム自体が問題だったんです。抜本的見直しが必要です」。また北見の「石北沿線ふるさとネットワーク事務局長」長南進一さんも電話で「廃線」の厳しい現状を訴えた。

 JR東日本については、唐澤さんが語った。「JR東は大儲けしています。しかしそれでも地方の路線を切ろうとしている。儲かっても住民に還元されることはありません。いまや株主の3分の1が外国投資家でウォール街に支配されかねないのです。また鉄道要員が大量に減らされ外注化・下請化で技術力が下がっています。大事故につながるヒヤリ事故も頻発しています」。落ちついた語り口だが、話す内容は深刻だった。

 1987年の分割・民営化当時、中曽根はアメリカのレーガン、イギリスのサッチャーと並んで弱肉強食の「新自由主義」政策を推進していた。それまで政府が守ってきた「公共交通」は、民営後、儲け優先に変わり儲からない地域・部門は容赦なく切り捨てられた。その姿が30年後の北海道にくっきり現れている。今後、ますますその矛盾が深まる恐れがある。国労は「公共交通」を取り戻す政策提言も始めている。レイバーネットTVの番組は、国鉄分割・民営化を検証するテキスト番組となった。

 番組終了後の恒例の二次会では、韓国サンケン労組3人と日本の労働者・市民が交流した。60代の元国労組合員は「若い人が多い韓国がうらやましい。その秘訣は?」の質問にキムウニョンさんが、韓国社会運動の歴史を辿りながら丁寧に答えた。「一朝一夕ではない。世代をつなぐ積み重ねがあった」という。夜遅くまで、熱いディスカッションが続いた。(レイバーネットTVプロジェクト)

*写真撮影=小林未来


Created by staff01. Last modified on 2017-06-16 22:44:09 Copyright: Default

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