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根津公子の都教委傍聴記(1/12):子どもたちは都教委の競走馬ではない | ||||||
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●根津公子の都教委傍聴記(2017年1月12日) 子どもたちは都教委の競走馬ではない公開議題は①今年度東京都教育委員会児童・生徒等表彰について ②今年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果についての報告。非公開議題は懲戒処分の議案1件。 1 今年度東京都教育委員会児童・生徒等表彰について 「東京都における学校教育の一層の充実に資するため」、「ア.地道な活動を継続的に行い、範となる者」「イ.他の児童・生徒の行動や取組に良い影響を与えた者」「ウ.地域における活動を継続的に実践した者」「エ.スポーツ・文化活動において著しい成果を上げた者」「オ.人命救助、これに類する行為を行った者」の個人・組・団体を教育長が表彰すると言う。1984年度から開始し、今年度は211名(うち、エが146名)を決定した、表彰式を2月11日に行うとの報告。 エは、東京2020オリンピック開催も影響して昨年度に比べ1.5倍に増加、全国大会での成績とその回数を判断基準にして決めたとのこと。ウの活動では、清掃等のボランティアや和太鼓等の継承が目立つ。こちらも、都教委の施策に合致した活動が表彰対象になっている。 高校入試にはこうした功績が加点されてきたし、大学入試でも「得点化する」(遠藤教育委員 日本学生支援機構理事長)中、その弊害は大きく、「学校教育の一層の充実に資す」はずはない。表彰などされなくても、自身の中に達成感や充実感を持ち、自己形成を図っていくことはできる。そのことが大事なのだ。また、周りの子どもたちはその行為をきちんと評価するはずだ。表彰は、当該者・周りの者の、その気持をねじれさせてしまうと私は思う。 2 今年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果について 2011年度から始めた、全児童・生徒を対象とした「東京都統一体力テスト」の今年度の報告。握力、持久走、50m走等文科省指定の8種目のテスト結果、及び生活・運動習慣等の実態に関する質問調査結果を、小中学校は区市町村ごとに、高校は学校ごとに集計し、東京の平均結果を出し、経年変化、全国標準との比較、全国での順位を出している。 そのうえで、「東京都統一体力テストを始めた平成23年(2011年)度と比較すると、全学年ともに向上傾向にあり、体力合計点平均値も上昇している」などの「成果と課題」を示し、来年度の重点的取り組みとして「体力向上のモデル校において、体力を向上させるための指導法の工夫や運動部活動加入の促進等の、体力向上の取組をさらに充実させ、その成果を全中学校へ発信する」等を挙げる。 小学校1年生から結果を求められ評定をされ続けたら、良い結果が出せなかった子どもが運動することの楽しさを持ち続けることはできるであろうか。否。劣等感を持ち、運動嫌いにさせてしまうだけだ。そのことが都教委指導部や教育委員にわからないはずはない、と思う。とすれば、都教委の狙いは、どの子にも運動を楽しむ生活習慣をつけることではなく、都教委の施策によって全国順位を上げたこと、トップ選手を育成した成果を世に誇示することなのではないか。そこにしか、都教委の関心はないのではないかとさえ思ってしまう。 都教委は、「低学力」校の学校予算を削り、「高学力」校・生徒にその予算を充てる「都立高校改革」をしてきたが、そのことと同じ思考・施策で体力・運動面についても当たっているのだ。子どもたちは、都教委の競走馬ではない。 Created by staff01. Last modified on 2017-01-14 10:48:08 Copyright: Default |