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LNJ Logo 木下昌明の映画批評 : 「ネット発」映画に市民が共感〜『オキュパイ・シャンティ』『選挙が生まれる』
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「ネット発」映画に市民が共感〜『オキュパイ・シャンティ』『選挙が生まれる』

    木下昌明

 世の中めまぐるしく移ろっていくインターネットの時代。映画もまたネットから生まれてくる。世界情勢から小さな事件の情報まで下からの目線で発信している「レイバーネット日本」では、毎年12月に「レイバーフェスタ」を催している。

 今年の目玉は日常の活動から生まれた2本のドキュメンタリー。一本は、この6月にインドカレー店で起きた「助けてください」の張り紙事件を追った松原明の『オキュパイ・シャンティ』(写真)。張り紙は、都内のカレー店「シャンティ」の5店舗で働く外国人従業員15人が賃金未払い(1人約500万円)の上に解雇されたことへの悲鳴だった。それがネット上に流されてメディアで大騒ぎとなった。

 松原は事件に密着し、折々に情報をネットに動画で流した。彼らは追いつめられ、社長に対抗するために、ついに組合をつくり店を占拠した。この八方塞がりをいかに切り開いていくかが映画の見所となっている。「一円も無理」というのに「やります」と引き受ける弁護士の心意気にひかれる。

 もう一本は、湯本雅典『選挙が生まれる』。これも今年7月の参院選で長野と群馬の選挙区に通いつめ、そこでの市民の活動を追いかけた作品。これは1月からネットに動画を載せていたものだ。2013年の参院選で、野党が共倒れして31の1人区では2人しか当選できなかった。これでは国会はあってなきに等しくなる。そこで今回は「野党共闘」で闘うことに。そのためには従来型の選挙ではなく市民が主体となる新しい取り組みが必要となる。その人々の手探りの活動が興昧深い。

 映画は、群馬で無名の若い候補者堀越けいにんに寄り添ったシーンがいい。ラストの「何ができるんだろう」の彼の歌も最高だ。

 選挙はどうあるべきか、これは格好のテキストとなろう。群馬ではすでに上映運動も。

 また映画ではないが、長年築地の魚市場で働いていた体験を生かした高橋織丸の講談『人を喰う魚・豊洲移転騒動の巻』も見もの。 (木下昌明・『サンデー毎日』2016年12月18日号)

●レイバーフェスタ 12月17日(土)10時30分より、東京・田町交通ビル6Fホール

10:00 開場
<第一部>
10:30 『オキュパイ・シャンティ〜インドカレー店物語』上映
    トーク=指宿昭一弁護士
11.30 スライド「テント川柳・鶴彬墓参ツアー」
    公募川柳入賞作発表
12.00 休憩(60分)
<第二部>
13:00 『選挙が生まれる〜長野と群馬の挑戦』上映
    トーク=堀越けいにん氏
14:30 講談「人を喰う魚・豊洲移転騒動の巻」(高橋織丸)
14:50 休憩 15分
<第三部>
15:05 音楽「脱原発テント・カスチュー」
 After3.11〜霞ヶ関の中心で愛を叫ぶ!(浦邊力氏ほか)
15:55 三分ビデオ14本一挙上映
16:55 <特別アピール>沖縄から・韓国サンケン労組から
17:05 フィナーレ
17.15 終了

当日1700円(前売・メール予約1500円)メール予約受付
障害者・失業者=一律1000円 学生=無料

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Created by staff01. Last modified on 2016-12-11 14:55:24 Copyright: Default

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