「日本最高!」〜愛国と奉仕にみちびくオリンピック・パラリンピック教育 | |||||||
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「日本最高!」〜愛国と奉仕にみちびくオリンピック・パラリンピック教育根津公子東京都教育委員会は全公立学校に今年度から年間35時間の東京オリンピック・パラリンピック教育の実施を課し、公立・国立・私立の小学校4年生以上に「オリンピック・パラリンピック学習読本」(小学校編、中学校編、高校編)を、各学校にオリンピック・パラリンピック映像教材(DVD)を、公立小学校5年生以上の全児童・生徒に都独自英語教材「Welcome to Tokyo」を配布しました。アスリートを招くなどの企画ができるよう、各学校に30万円を、100校の重点校にはさらに20万円を上乗せして支給しています。さらに9月には4年生以上の児童・生徒に「オリンピック・パラリンピック学習ノート」を配布。2020年までこのノートを継続して使い、学習・体験したことや調べたことを書き込み、オリジナルノートを作ろうといいます。 「オリンピック・パラリンピック学習読本」を一読した感想は、子どもたちは「日本はすごい、私もオリンピック成功に向けて役に立つことをしたい」と思わされるだろうということです。高校生はボランティア活動が全員必修とされていますから単位認定に関係するでしょうし、同調圧力がはたらき拒否することは更に難しくなるでしょう。 以下、「学習読本」の内容を紹介します。 「はじめに」では、「1964年(昭和39年)の第18回東京大会から半世紀以上の時を経て2020年(平成32年)・・・、正に、世界中の注目が、東京に集まることになります。」「国籍、人種、肌の色、性別、宗教、言語や文化の違い、障害の有無等を超えて、交流の輪が・・・街では、大勢のボランティアが活躍し、その温かい『おもてなし』は、東京のすばらしさを世界に広めるきっかけとなるでしょう。」「東京2020大会は、開催都市東京で学ぶ高校生の皆さんにとって貴重な機会となるとともに、この経験は、生涯にわたるかけがえのない財産となります。・・・理解を深め、自分にとってできることは何かを考え、」「開催都市の都民の一人として東京2020大会に主体的に関わることを期待します。」(「高校生」を「中学生」に換えただけで、中学生用、高校生用ともに同じ文面) 小学生用にも、「開さい都市東京に暮らす一人として東京2020大会に主体的に関わることを期待します。」とあります。 1964年東京大会や72年の冬季札幌大会、98年長野大会について、レガシーや環境保全に配慮したことなどを取り上げます。問題点や反対運動があったことには触れていません。 「1964年東京オリンピックは戦後復興に努力してきた日本の国民に夢と希望、元気をもたらした。」「1964東京大会の有形レガシーは交通網と競技施設」(中学生用)「1964年東京オリンピックがのこしたものが、新幹線と高速道路」の写真(低学年用)。「1972年札幌大会は、1964年東京大会が成功だったこともあり、日本での開さいに賛せいする人が世界中で増えた。」(小学生用)「札幌オリンピックの開催により、札幌の町は大きく変わった。14の施設が新たに建設され、地下鉄が整備され、・・・札幌市は政令指定都市に指定された。」(中学生用) 「1998年長野大会で『1校1国運動』が行われた。」「20年近くたった今も続く交流」の写真(小学生用) 「オリンピックと環境」で長野冬季大会について、「『美しく豊かな自然との共存』を目ざし、環境対策がとられた。森林伐採を減らすためになるべく新しい施設を建設しないようにし、大会後は・・・樹木の苗を植えた。」(小学生用)、「滑降コースでは、自然に配慮し、散水や雪面硬化剤を散布せず、圧雪車を活用するとともに役員や自衛隊150人の人海戦術で滑降コースを整備した。」(中学生用)と言い、「東京2020大会では、水素エネルギーで電力を賄う『水素タウン』として選手村を整備する」「バスも水素エネルギーで」(中学生用)と言います。 そして、「日本の伝統・・・和の心」を言い、「2020東京オリンピック・パラリンピックが目指すもの」では「震災復興に向けた取組み」と「世界の中の日本人として国際マナーを知ろう」を言います。前者では、「がんばれ!ニッポン!」プロジェクト、JOC「応援ありがとう!in東北」「聖火台が石巻市へ」を挙げ、「原発」の一文字もありません。後者では、「国旗と国歌・・・敬意を表すことは国際社会の基本的マナー」と言い、ハタの揚げ方を説明します。(中学生用)「開会式で選手たちが自国の国旗を先頭に行進します。表彰式では、優勝した選手の国旗を掲げ、国歌を演奏します。」(小学生用)と、うそを教えます。オリンピック憲章は「国旗、国歌」ではなく、「選手団の旗、歌」と規定しています。 最後は、「自分にできること、やるべきことは何かを考え、2020年の自分のあるべき姿を思い描いてみよう」と締めくくリます。(中学生用)高校生用では「ボランティアと社会貢献」を言った上で、「自分がやるべきことは何かを考える」ことを勧めます。 余程疑いの目を持たなければ、「学習読本」を通して子どもたちは「日本最高!」に持って行かれると思いませんか。社会の右傾化ももちろんありますが、「日の丸・君が代」の強制と「君が代」不起立処分によって、東京の子どもたちは学校生活の中で、「クニに反対する」教員の姿を見なくなり、それによって「従順」にされてしまった面があります。オリンピック・パラリンピック学習は、従順さだけではなく、積極的に「愛国心」を持つよう仕向けられる装置なのではないでしょうか。都教委に学校に声を上げていかねばと思います。 ※12月4日に以下の講演会が開かれます。ぜひご参加ください。 ●谷口源太郎さん講演会・オリンピックの闇と病みー子ども達を「国威発揚」の渦に巻き込むな! Created by staff01. Last modified on 2016-11-30 10:38:58 Copyright: Default |