木下昌明の映画批評 : ジョージア映画『とうもろこしの島』『みかんの丘』 | |||||||
Menu
おしらせ
・レイバーフェスタ2024(12/25) ・レイバーネットTV(12/11) ・あるくラジオ(10/10) ・川柳班 ・ブッククラブ(2025/1/11) ・シネクラブ(9/1) ・ねりまの会(10/12) ・フィールドワーク(足尾報告) ・三多摩レイバー映画祭 ・夏期合宿(8/24) ・レイバーネット動画 ●「太田昌国のコラム」第97回(2024/12/10) ●〔週刊 本の発見〕第370回(2024/12/12) ●「根津公子の都教委傍聴記」(2024/12/19) ●川柳「笑い茸」NO.158(2024/10/26) ●フランス発・グローバルニュース第14回(2024/10/20) ●「飛幡祐規 パリの窓から」第96回(2024/12/5) ●「美術館めぐり」第5回(2024/11/25) ★カンパのお願い ■メディア系サイト 原子力資料情報室・たんぽぽ舎・岩上チャンネル(IWJ)・福島事故緊急会議・OurPlanet-TV・経産省前テントひろば・フクロウFoEチャンネル・田中龍作ジャーナル・UPLAN動画・NO HATE TV・なにぬねノンちゃんねる・市民メディア放送局・ニュース打破配信プロジェクト・デモクラシータイムス・The Interschool Journal・湯本雅典HP・アリの一言・デモリサTV・ボトムアップCH・共同テーブル・反貧困ネットワーク・JAL青空チャンネル・川島進ch・独立言論フォーラム・ポリタスTV・choose life project・一月万冊・ArcTimes・ちきゅう座・総がかり行動・市民連合・NPA-TV・こばと通信
|
●ジョージア映画『とうもろこしの島』『みかんの丘』 民族という区分が生む対立〜人間の営みが照らす“争いの愚”『とうもろこしの島』(C)Alamdary Film ジョージア(グルジア)映画に魅せられた。ギオルギ・オヴァシュヴィリ監督『とうもろこしの島』、ザザ・ウルシャゼ監督『みかんの丘』。これは岩波ホールの原田健秀さんが直接2人の監督に会いにいった力の入れようで、映画は見応えがあった。 2本とも、ソ連の崩壊後、これまで普通に暮らしていた人々が「アブハジア紛争」という民族間の争いに巻き込まれ、翻弄される物語だ。 『とうもろこしの島』は、アブハジアとジョージアの国境を流れる川の中州(島)に老人と少女が小屋を建て、とうもろこしを植える話。老人はちょっと勝新太郎似だ。孫娘の少女は、両親を紛争(内戦)で亡くしている。 川の両岸では敵対する兵士のにらみ合いがつづき、時折、兵士の軍用ボートが通り過ぎ、ちらりと少女を眺めたり、けたたましい銃声も響く。そんな中で、2人は黙々と種をまき、苗を育て、やがてとうもろこしの森をつくる。 「ここは誰の土地?」と少女。「耕す者の土地だ」と老人。コーカサス地方の大自然に心が洗われる。まるで寓話のようだ。――と、その畑の中に瀕死の敵兵が……。 『みかんの丘』は、内戦下のみかん畑があるエストニア人の集落が舞台。集落とはいえ、今は2人の老人だけで、みかんの収穫もままならない。やがて銃撃戦が起こり、老人たちは負傷した2人の兵士を介抱するはめに。2人は敵同士で「ブッ殺してやる」「おれの国だ、出ていけ」、などとののしり合うが、老人は「おれの家で殺し合いはするな」と戒める。2人は次第に打ち解けていく。そこが興味深い。 映画は、小さな土地でエストニア人、ジョージア人、ロシア人、チェチェン人らが「民族」という区分にしがみついて争っている愚かしさを浮かび上がらせている。 戦争のさなかにあっても、「とうもろこし」や「みかん」といった自然に根ざした人間の営みからドラマに照明を当てているのがいい。その切なさに胸打たれる。 *9月17日より東京・岩波ホールほか全国順次公開 Created by staff01. Last modified on 2016-09-19 12:22:18 Copyright: Default |