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「国歌斉唱拒否」のキャパニック選手は日本人でなくて幸運だった!

     レイバーネット国際部

*『フォーリン・ポリシー』の記事。写真右がコリン・キャパニック選手

 9月15日に発行された米国の外交問題隔月刊誌『フォーリン・ポリシー』に、英国ジャーナリストの記事が載った。タイトルは、「コリン・キャパニックは日本人でなくて幸運だった」。コリン・キャパニック選手はアメリカプロフットボールのスター選手で、8月26日、試合前の国歌斉唱セレモニーで起立を拒否した。かれはその理由を「黒人や有色人種を抑圧するような国の国旗に敬意は払えないので起立はしない」と語っている。これについてオバマ大統領が「彼の真摯さを疑っていない」と擁護するなど、全米で論争が広がっている。

 『フォーリン・ポリシー』にこの記事を書いたのはアレックス・マーシャル氏で、日本の「君が代強制」問題に詳しい。この記事でも「戦場に再び教え子を送るな」と軍国主義のシンボルである「日の丸・君が代」に反対してきた日本教員組合の歴史を紹介しながら、とくに「君が代不起立」で「解雇手前」の重い処分を受けた根津公子さんのケースを詳述している。

 思想・良心の自由を認めず、強制処分を行うようになったのは、2003年の東京からだとして、記事では、「右翼の石原慎太郎氏が知事になると強制がはじまり、教員が処罰されるようになった。その流れは大阪の橋下府政につながっている。そのため多くの教員は拒否をやめたが、根津さんは拒否を続けたため、停職処分や遠隔地の転勤命令などの処罰を受けていた」「ほとんどの日本人はいまやこうした国歌強制の政策を受け入れてしまったが、それは日本がナショナリズムにシフトしていることを示している」と論評している。

 外国から見えるいまの日本は、思想・良心の自由を抑制して国家主義に急旋回する姿だった。

 また記事では根津さんの感想も引用されている。「コリン・キャパニック選手はわずか28歳。私が処分覚悟で不起立を始めたのは50歳代で、そのときは子育ても終わっていた。もし自分が20代だったらとても行動は起こせなかっただろう。だから、キャパニックさんの行動に、私は深く感銘を受けた」と。

 築地移転問題でも馬脚をあらわした石原元都知事だが、「日の丸君が代」強制の罪も忘れてはならない。世界はみている。

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●『フォーリン・ポリシー』誌
カーネギー国際平和基金が発行する米国の隔月刊誌。1970年創刊。アメリカ外交政策研究の有力誌で、日本の岸田外務大臣が2015年に「ISIL問題」で寄稿したこともある。
↓『フォーリン・ポリシー』の原文記事
https://www.yahoo.com/news/colin-kaepernick-lucky-not-japanese-191749765.html

●アレックス氏は、『Republic or Death!: Travels in Search of National Anthems(共和か死か!〜世界国歌の旅)』(2015年)著者でもある。


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