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テロよりもこの雰囲気が怖い〜伊勢志摩サミット・地元三重のもうひとつの声
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投稿:伊勢志摩サミットを考える会みえ

テロよりもこの雰囲気が怖い〜伊勢志摩サミット・地元三重のもうひとつの声

 伊勢志摩サミットが、5月26日(木)、27日(金)に開催された。地元・三重県では、サミットに対して、三重の宣伝の機会となる、国際貢献の機会、「おもてなし」の機会という話ばかりが喧伝されてきた。駅などには「サミットまであと何日」といったカウントダウンボードが設置され、また「〜サミット」というイベントがさまざまに企画され(「頂上(summit)」という意味など意に介さず)、サミットに協力しましょう、みんなで盛り上げましょうといった、ほとんど異論を許さないような雰囲気が醸成されていた。

 私たちは、こうした状況に深い危機感と恐怖心を募らせた。この雰囲気を打破し、表にはあらわれないとはいえ、潜在するはずの多数の違和感、ズレ、反対の思いが自由に表現される、あふれでてくるような場所を設けなければならないと思った。この「勝手に自分たちを主要国と名乗る」非民主的な会合、「大国が世界の、もの、金、人、情報、システム、つまり経済・軍事を自由に支配するため寄って調整する大国の会合」に対して、開催地域からのNOをはっきりと表明し、体現しなければならないという思いが日増しに強くなってきたのだ。

 そこで、サミットに反対する三重の人びと声を集めた冊子をつくった。これは、私たちが5月7日(土)に津で主催した集会に基づいた発言記録でもある(全体は以下に掲載。日本語と英語。http://japan.indymedia.org

 そこには、さまざまな方々のさまざまな立場から、サミットへと抗う声が記録されている。日常生活のなかの小さな違和感から、伊勢神宮のグロテスクな政治利用への異議、はっきりとしたこの既存のグローバルな世界に対するNOに至るまで。反サミット、反G7/G8は、ローカルな対抗的な表現や運動が、世界各地の対抗的な表現、こう言ってよければグローバルな運動と出会うときでもあった。欲張りだけれども、このローカルな声が、既存のグローバリゼーションと闘うそこかしこのさまざまな人びとに届き、かれらとのなんらかの共鳴が生み出されるならほんとうにうれしい。


 *今井くるみさんの檄文

 地元・三重の人びとの声を届けるという意味で、本記事では発言記録から、サミット会場であるがために、「要塞」となった志摩の状況についての部分のみをピックアップして紹介しておく。

●「サミットのため」「安全のため」というのが最優先・・これを一番感じました……住民説明会に行ってみました。はっきり言って?????だけがのこった説明会でした。とにかく、「お願いします」なのです。海で真珠養殖をされている方が、「協力はするから、何日にどの範囲で船の航行が規制されるのか」と聞いても「仕事に迷惑をかけないように考えている。しかし詳しいことは話せない。ご協力をお願いする」地域に住む方が「車の移動が制限されると聞いている。許可証のようなものは発行されるのか」と聞くと、「おそらく通行許可証(ID カード?)渡す方向になると思うが、詳しいことはまだ言えない。ほかの部局とも相談している」など、詳しいことは一切語られずに、(特に日時と場所について)お願いの形で「いや」と言えない空気が流れていました。サミットの安全を確保するためには、住民の日常生活が犠牲になるのはやむを得ないどころか、当然という雰囲気でした」。

●「もう一つ気になったのが、「不審物、不審な人を見かけたら通報してほしい」というお願い。この地域ですから、隣近所の人、大体わかっています。そんな中でテロ対策として協力をというわけですが、人を疑うことを奨励するのかと思いました。実際、昨年11月だったかな、我が家にも警察の方が来て、住んでいる者の確認をしていった。「お願い」という言葉を使い、「サミットのために」「テロ対策」といえば、何でも言うことを聞く住民を求めているのだと感じた説明会でした。テロよりも、この雰囲気の方が怖いです」。

●「道路の補修、木の伐採などで車を止められる事が何回もありました。公共施設の阿児アリーナは12月から閉鎖され6月まで使用できません。イベントの計画をするのも困難、会議のための場所も遠くの磯部生涯学習センターしか使えない状況。2か月前より警察官が入ってきて、1カ月半前になると、2万人近い警察官が志摩市に集中し志摩市の風景が一変しました[ちなみに志摩市の人口は5万人ほど]。警察車両も目立ち、あちこちに警察官が立ち、バイクで、自転車で、徒歩で動き、窮屈、息苦しい生活となりました……莫大な税金を使い、全国から警察官2万人を集中させ、市民生活よりサミット最優先、そこまでして開催するサミットってなんだろう?と疑問を感じてしまいます」。

●「スーパーで、三重県産の食品に貼られたサミット協賛のシールや参加7か国のグルメなどを見ると悲しくなる。無理やりやらされているのではないかという気がしてしまう。昨年、伊勢志摩に決まった時、「賢島は橋を2本だけ守ればよいから」という理由を聞いて、ああそうなのかと思ったが、実はそれが大変な間違いであることがわかってきた。入り組んだ島であることから警護が大変で、ホテルの周りにはフェンスが作られるなど本当にくだらないことに神経を使い、無駄なお金を使わなければならなくなっている。こんなことは想定内であって隠していたのか、それとも本当にわかっていなかったのか、いずれにしても実に愚かしいことである」。

●「お金といえば県民の税金がどれくらい使われるのかは知らないが、もっと有意義なことに使うべきなのではあるまいか……県民の生活は後回し、世界のほんの一部の指導者にいい顔をするだけのために私たちは犠牲を強いられている。先日、サミット期間は3日間学校を休校にするというニュースを耳にして呆気にとられた。おそらく学校現場は大わらわであろう。年度当初に苦労して試験や行事などの年間スケジュールを組んでいるだろうに、突然の3日間の休校はきっと多くの不具合を生み出していることと思われる」。

●「「テロリストを侵入させない」。こんなフレーズもまた耳にする。会議の一週間前からは、近鉄電車は賢島の手前までしか運行しなくなる。賢島の周辺、あるいは会議の行われるホテル周辺には、フェンスが建設されるようだ。賢島の出入りのためには、住民でもさえもID カードを申請しなければならない。聞くところによると、デモも賢島とその近辺ではまったくさせてもらえないようだ」。

●「不審者がいたら通報しましょう」。この種類の貼り紙もよく目にする。言い換えると、住民ひとりひとりが警察官になりましょう、だろうか。きっとこれが、サミットの目指す世界のあり方なのだろう。こんな世界はいらない」。


Created by staff01. Last modified on 2016-05-27 22:08:41 Copyright: Default

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