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心が温かくなった若い人の声〜釜ヶ崎メーデー
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心が温かくなった若い人の声〜釜ヶ崎メーデー

    黄金餅(写真=渡辺充春)

 第47回釜ヶ崎メーデーが、5月1日闘われた。釜ヶ崎日雇労働組合のビラには、「歴史的に既製の労働運動から切り離され、孤立させられ・・」とある。日雇労働者という「その日」の仕事につけるかどうか、わからない労働者。そういう労働者を必要としている社会の仕組みの中で、仕事がなくなれば、労働者はまさに見捨てられ、見殺しにされてきた。自分達も人間だ、生きさせろ!という長い闘いの歴史の中で、現在は「特別清掃事業」というものを労働者自身が作り上げ、行政にその充実を訴えている。毎年必ずあるスローガンは「野宿をさせるな!働いて飯を食わせろ!」だ。あまりに当然過ぎて、これを常にいわなければならない日本の社会とは、いったいどうなっているのだろう、と思う。

 メーデー当日、若い学生の声をきくことができた。それを紹介したい。Aさんは、23才の大学院生だ。彼女は、大学の先輩に連れられて釜ヶ崎へきてから、支援活動をはじめた。

 「関西のいくつかの大学から学生が集まって、何ができるかという話し合いをし、釜ヶ崎の歴史やヒバク労働のことなども学習する」。小学校の頃、「野宿をしている人たちが、自分の出た小学校のそばでも見かけた。ブルーシートのテントの人に、ちょっかいを出す子どもがいたので、学校の先生が、近寄ったらあかん、と言った。しかし、なぜ、野宿する人がいるのか、ということを、先生は話しはしなかった。長期休み用のプリントに、野宿している人のところへ行くなとあった」。                  

 そして大学での、より学生を管理する動きも聞く事ができた。「福祉を学ぶ学部等もあり、ボランティアにも興味のある人はいる。でも、釜ヶ崎のことなどのビラをまくのは、大学にきらわれる。」

 「全ての大学というわけではないですが、サークルは、学内でまくビラを,事前に大学の学生生活課などに提出しないといけないのです。文化系・運動系を問わずサークルは、活動内容・人数等を報告するようにと指導されている。まるで、高校生活のようだ。」

 彼女が言った中で印象的なことは「繁華街のそばにも、野宿している人がいる。その人たちのことを、気にしないなんて、それはおかしいと思う。」「若い人達に、自分達の働き方の事や社会の事を、もっと一緒に考えていってほしいと思う。働き出したら、ブラック企業のように、自分に関わりのあることが沢山ある」。

 若い人の素直な、そして他の人への優しさを持った心情に、私はとても心が温かくなった。そんな若い人が一人でもいることに励まされたメーデーの日だった。


Created by staff01. Last modified on 2016-05-03 09:55:12 Copyright: Default

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