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表現の自由は保障されているのか?〜「外からみた日本メディア」院内集会

    ジョニーH

 4月21日(木) 参議院会館で「表現の自由は保障されているのか? ―外からみた日本のメディア規制と国連特別報告者 日本公式訪問について」と題する院内集会が開かれた。国連人権委員会「表現の自由」担当官デビッド・ケイさんの訪日に帯同した英国エセックス大学人権センター研究員の藤田早苗さんによる講演が行われ。50人以上の市民やジャーナリストが参加した。主催は「秘密保護法」廃止へ! 実行委員会。

 講演の前に、特別ゲストのシールズの元山仁士郎さん(写真上)が現在の活動状況を次のように報告した。「私たちシールズは北海道と京都の衆議院補欠選挙での野党統一と選挙のサポートに入っています。京都では百田尚樹らによる誹謗中傷デマを潰す活動をしています」

 藤田さん(写真下)は、日本に帰国するたび秘密保護法成立以前から警鐘する講演をこなしてきた。今回も国連が日本の表現の自由が消滅していくことに懸念し勧告してきた経緯をわかりやすく説明した。

ーー以下講演内容ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 日本も批准している国連自由権規約第19条「情報にアクセスする権利」 市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)第19条(意見を持つ権利・表現の自由) 1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。 2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及ぴ考えを求め、受け及び伝える自由を含む。3 2の権利の行使には、特別の義務及ぴ責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。(a)他の者の権利又は信用の尊重(b)国の安全、公の秩序又は公衆衛生若しくは公衆道徳の保護

 「安倍内閣による秘密保護法はこの19条を著しく違反している」とデビッド・ケイさんの前任者のラ・ルーさんは、2013年11月23日に秘密保護法を批判する公式声明を次のように出している。「基本は公開であり、誰でも情報にアクセスできなければなのません。ジャーナリストは特にそうです。公の情報は公共財だと認識すべきです。公の情報は市民に属するのです。ポケットに仕舞い込んで隠す人には属さないのです。このことが、秘密保護を、人々の利益に対立するもので、民主主義にも対立するもの、本質的に反民主主義だと私たちが強く主張する所以です」

 この声明に安倍内閣は反発し秘密保護法を強引に成立させてしまった。しかも世界人権デーにあたる12月10日に敢えてぶつけるかのように2014年12月10日に「秘密保護法」施行して、国際的に顰蹙を買っている。

 2016年4月19日の外国特派員協会記者会見でデビッド・ケイさんは次のように発表した。
 「日本が報道の独立性を担保するために、次の4つについて国連人権委員会に持ち帰り、議論します。それは『高市発言の問題』『放送4条改定すべき』『自民党改憲案21条の言論の自由に対する制限の問題』『記者クラブは問題があるので解体すべき』」
 「国会答弁における高市早苗大臣の放送法に関する答弁の真意について面談要請したが断られてしまった。会いたくないということだろう。2回のドタキャンは日本政府が情報を隠すという姿勢を判断する材料になる」
 「1950年に制定され政府に放送メディアを規制する直接的な権限を与えた『放送法』は、4条において、ジャーナリストの職業的義務と、放送免許の取り消しを行う政府権限を混同しています。政府は放送法4条を廃止し、メディア規制から手をひくべきです」  「現在の憲法21条を変更して、公益及び公の秩序を害すると政府が判断する集会・結社及び言論、出版その他の自由を認めないとしようとする自民党政権下では、ジャーナリストは将来逮捕殺害などの危険性があるという環境にあり、『特定秘密保護法』は、実施の初期段階ながら、重大な社会的関心事のメディア報道を委縮させる効果を生んでいる。内部告発者を保護する体制が弱いことは、情報源の枯渇につながり、ジョーナリスト自身も情報入手によって処罰されることを恐れるようになるでしょう。こうした恐れを持つことで、特に影響を受ける可能性があるのは、原子力産業の未来、災害対策、政府の国家安全保障政策など、日本の今日的な公共の関心事についての報道です」
 「脆弱な法的保護、新たに採択された『特定秘密保護法』、そして政府による『中立性』と『公平性』への絶え間ない圧力が、高いレベルの自己検閲を生み出しているように見えます。こうした圧力は意図した効果をもたらします。それはメディア自体が、記者クラブ制度の排他性に依存し、独立の基本原則を擁護するはずの幅広い職業的な組合組織を欠いているからです。記者クラブはすぐさま解体すべきです」
 「多くのジャーナリストが、自身の生活を守るために匿名を条件に私との面会に応じてくれましたが、国民的関心事の扱いの微妙な部分を避けなければならない圧力の存在を浮かび上がらせました。彼らの多くが、有力政治家からの間接的な圧力によって、仕事から外され、沈黙を強いられたと訴えています。これほど強固な民主主義の基盤のある国では、そのような介入には抵抗して介入を防ぐべきです」


 *3氏降板を報じる海外メディア

 藤田さんは、記者会見の様子と、日本では報道されないが世界各国で報道されている情報を紹介した。その中には安倍政府による報道圧力としてNHK・テレビ朝日・ニュース23のコメンテイタ―が降板したことを海外で大々的に報道していること、2011年に11位だった「国境なき記者団による報道の自由度ランキング」が2016年に日本はとうとう72位(タンザニアは71位)になってしまったことなどがあった。


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