東部労組多摩ミルク支部の訴えで東京地検が経営者を起訴!
エイチ・ビー・エスは法律を守れ!長時間労働とサービス残業をやめろ!
*社前抗議行動で「労働基準法を守れ!」と声をあげる多摩ミルク支部組合員と支援者ら(2015年12月1日)
固定残業代制度を悪用し違法な長時間労働をさせたとして、東京地検は昨年12月
24日付で、森永乳業東京工場などの下請けの運送会社である多摩ミルクグループ
の「株式会社エイチ・ビー・エス」(東京都葛飾区)と同社の小島逸成(こじま
・いつなり)取締役を労働基準法第32条違反の罪で起訴しました。
東京地検などによると、同社らは時間外労働に関する協定(36協定)の限度を超
えて長時間労働を行わせていたことなどです。同条違反は6カ月以下の懲役また
は30万円以下の罰金に処せられることになっています。
この問題をめぐっては、2014年4月7日付で向島労働基準監督署が同社に是正勧
告を発していましたが、同社は従わなかったため、全国一般東京東部労組多摩ミ
ルク支部に加盟している同社のドライバー3人が昨年1月23日に同労基署に刑事
告訴していました。それが受理し捜査していた同労基署は昨年12月1日付けで東
京地検に書類送検していました。
同社は、ロジスティクス・ネットワーク、名糖運輸グループ、キリングループロ
ジスティクスなどから飲食品などの配送を請け負っています。
同社では、2013年から14年にかけて、ドライバーに過労死レベル(月80時間の残
業)をはるかに超える長時間労働を恒常的に強いていました。残業だけで月206
時間を記録したドライバーもいます。
その背景には給与の半分をも占める同社の「固定時間外手当」の存在があります。
あるドライバーの場合、「給与30万円」と単に記載されていた求人案内を見て入
社しましたが、実際には基本給15万円と固定時間外手当15万円という内訳でした。
同手当をのぞく基本給だけで計算すると、時給が最低賃金法を下回っていました。
固定時間外手当がいったい何時間分の残業に相当するのかは契約書に明記されて
いません。残業と他の賃金は明確に区分しなければならないという最高裁の判例
で示されている要件を満たしていません。さらにどれだけ長時間の残業をやった
としても定額の固定時間外手当を上回る残業代は支払われていません。
この問題では、2014年6月5日、組合員のドライバー3人が未払い残業代など約
4000万円(付加金を含む)を請求する裁判を東京地裁に起こし、現在も係争中で
す。
現在、同社だけではなく、前もって残業代を賃金に含んだり、様々な名目の手当
を「残業代として支払う」などと就業規則や雇用契約書で定めたりする固定残業
代制度を導入する企業が増えています。その結果、残業代がごまかされるケース
や何時間働いても定額の手当以上は残業代が支払われないケースが労働相談で相
次ぎ、長時間労働の温床となっています。「残業代を払わずに長時間労働させら
れる方法」などと指南する悪質な弁護士や社労士も後を絶たず、「ブラック企業」
の常とう手段として悪用されています。
労働事件が送検されたり起訴されたりすること自体極めて珍しいことですが、そ
れが今回は送検・起訴にまで至ったということは、それだけ同社の行為の悪質さ
を捜査当局が重く見たものと思われます。
当労組は、固定残業代を悪用した長時間労働とサービス残業をなくすために、向
島労働基準監督署と東京地検が刑事事件として今回立件したことを広く社会的に
明らかにするものです。(東京東部労組・須田光照)
ブログ「労働相談センター・スタッフ日記」記事参照:
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/f9abf4b9f696438a0d66904e9fcdaa4d
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