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斎藤美奈子のコラム : スカッとする「新9条論」批判
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佐々木です。

スカッとする「新9条論」批判です。

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2015年11月11日東京新聞

本音のコラム<敵に送る塩?> 斎藤美奈子

 東京新聞(十月十四日)に続いて、朝日新聞(十一月十日)が「新9条」を記事にした
。「平和のための新9条論」(東京)、「憲法論議に第三の視点」(朝日)だそうである
。

 ま、議論だけなら、いくらでもおやりになればいい。だけど私が官邸の関係者なら「し
めしめ」と思いますね。「東京も朝日も『つぶさなあかん』と思っていたが、意外と使え
ますよ、総理」「だな。改憲OKの気分がまず必要だからな」

 新九条論者の意見は、二項「陸海軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は
、これを認めない」の改正を意味する。専守防衛に徹する、集団的自衛権の行使を禁じる
、国連中心主義にする、外国の基地使用を許可しない…。

 いちいちごもっともである。でも「みなさまロマンチストだなあ」の思いも禁じえない
。現行の条文でも「地球の裏側まで自衛隊を派遣できる」と解釈する人たちだ。条文を変
えたら、おとなしく従うってか。新九条とはつまり、安保法論議の過程での禅問答に疲れ
、「憲法を現実に近づけませんか」って話でしょ。それは保守政治家がくり返してきた論
法だ。

 このタイミングで、あの政権下で、改憲論を出す。彼らはウハウハである。「あとは新
九条論者と護憲論者の対立を煽るだけですよ、総理」「だな。もう新聞も味方だからな」
   (文芸評論家)

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