本文の先頭へ
牧子嘉丸のショート・ワールド : 結果と展望〜レイバーネットでふりかえる2015年
Home 検索


    第26回 2015年12月29日

結果と展望〜レイバーネットでふりかえる2015年


 *写真=2015年8月30日国会前

司会ーいよいよ今年も押し詰まってきましたが、きょうはレイバーネットの記事でこの一年をふりかえってみたいと思います。それで週刊誌の匿名座談会をまねて、Aさん、Bさん、C子さんの三人からいろいろコメントしていただきたいと思います。まずはAさん、いかがでしょう。

ーずばり言って2015年は戦争法をめぐっての激闘の一年だったんじゃないかな。後世の歴史にあのときの法案可決で、日本は再び戦争への道を歩み始めた、なんて言われないように我々は奮闘したわけだ。

ーしかし実際、反対運動が盛り上がったのは衆議院委員会の強行採決からで、NHKはまったく中継せず翌日の本会議採決ではこれで法案成立の見込みはついたと番犬メディアよろしく垂れ流していたね。

C子ーもう少していねいに記事を見ていくと、5月26日の安保法案が審議入りした日に議員会館前で反対の声をあげたのは900名。アベが辻元議員に例の「早く質問しろよ」という野次を飛ばした28日には、1100人が国会前集会に参加。6月12日になると「憲法守れ」と国会前行動に学生若者グループが登場。この時ビデオ撮影した木下昌明さんの記事にはオススメがなんと2.5万がカウントされ、呼応するように6月14日の国会包囲デモには2万5000人が結集してるの。

ー7月25日衆院で強行採決されたときには夕方から続々と人がつめかけ、たしか6万人で「アベ辞めろ」の声をあげたんだよね。

ーそのころからかな、8・30の10万人集会が提起されたのは。8月24日に宗教人の集会があって、最後に高田健さんが要請のあいさつで、「一口に10万人と言うけれどこれは容易ならざる数字なんです」と話されたのを記憶している。

ーまさにその容易ならざる人々が12万人も結集したんだよね。あの現場に立ち会った興奮と感動は今に忘れない。

C子ーその時の車道決壊の映像は他のグループの撮影だけど、102262回を記録してるのよ。

ー9月に入ってからの参院での攻防もすごかったね。いつも小雨が降っているんだけど、冷たいなんて思わなかった。

ー「アカシアの雨がやむとき」なんて敗北感も挫折感もないしね。ちょっと古いか。

ーぼくが一番感動したのは横浜での公聴会でダイインして車を止めたこと。いったいだれがあんな闘いを予想した?


 *ダイインで抵抗する人たち

ーやっぱり沖縄辺野古の闘いからうけた影響もあるかもしれないね。それにしてもシールズの登場と活躍は特筆に価するね。あれこれ批判する人もいるけど。

ー日本の大衆運動って、どうしていつもそうなのかな。何かというとすぐ批判したがるよね。ほんとにちょっとしたことで内輪もめばかりしてる感じだな。

C子ー私はこの7月から9月にかけての映像をぜひ一本にまとめて記録映画にしてほしいの。2015年の大衆闘争の革命的ドキュメントとして歴史に残さなきゃ。

ー自分はいっさい撮影しないで、他人から映像を提供してもらって作った記録映画があるくらいだからね。やはり当事者のそれは迫力がちがうよ。

司会ーそれにしても、アリさんマークの引っ越社の追い出し事件で「コラッ、足ふんどるやんけ!」の映像が2060403回をカウントしてるんだから、このレイバーネットのメディア力ってすごくない? 司会が自分で言っちゃいけないけど。


 *写真=200万アクセスをこえた動画

ーこの一年はまさにそういうことを実感した年でもあったよね。それにしてもこの「足ふんどるやんけ」は流行語大賞ものだね。

C子ーお隣りの韓国や香港、またアメリカやフランスのパリからリアルな報告が届くのも心強いわ。

司会ーさて、沖縄辺野古基地建設や原発再稼働阻止の闘いも含めて来年の展望はどうでしょうか。

ー7月に予想される参院選は一人区では候補者を一本化する必要はあるけどそれも大変で、たとえ一人に絞ったからといって簡単に勝てるなんて甘いよね。

ー野党分断の同日選挙や消費税10%の凍結の是非を問うなんていろんな悪だくみを考えているだろうしね。

ー年末の世論調査ではアベの支持率が不支持を上回っている。おまけに衆参同一選挙も過半数ちかい数字で賛成している。これってどう考えたらいいのかね。

ー政治をふくめてあらゆる分野で劣化が言われてるけど、一番劣化してるのは国民自身だよね。ホントにアホとしか・・。

C子ーダメッ、ダメ。それを言っちゃいけないの。先日、多田謡子人権賞を受賞した山城博治さんの話しを聞いたけど、民衆への厚い信頼こそが辺野古での闘いの原動力だということが伝わってきたわ。

ーそうか、ぼくはまだできてないなあ。

ーB君はまだ青いよ。すぐ興奮したり、感激したりする人間は覚めるのも早いんだ。

ーぼくはAさんからは言われたくないな。何だ偉そうに。だいたいAさんはいつも・・。

C子ーモウッ。さっき内輪もめばかりしていると言ってたくせに、すぐこうなんだから。

司会ーまあまあ。それでは最後にみなさんひとこと。

ー労働者派遣法でずっと闘って通信を送ってくれた人やブラック企業やバイトを告発した記事も励まされたね。早稲田の講師問題も前進したと言っていいのでは。

ー今年は多くの青年男女が登場したのも特長だよね。アリさんマークで闘っている青年やハンストで戦争法に抗議した学生など、若者も動きだした。

C子ー国会前で手提げに平和のバッジを付けていた女性が警官に尋問された記事があったでしょ。朝日新聞の声欄に投書したら没になった。それをレイバーネットに載せたら大変な反響があったわね。商業新聞やマスメディアがとりあげない声をとりあげていく。そこになんかこれからの運動のヒントがありそうな気がするわ。この一年間の写真や映像を見ていると、ひとびとの真剣に闘っている表情が素敵で胸がじーんとなってくる。悲観してる場合じゃないわ。AさんもB君もいっしょにがんばりましょう。

ーぼくはC子さんとならがんばれる気がするな。

ーまた、あんなこと言ってる。

司会ーみなさん、どうもありがとうございました。ひょっとしてこれ読んで、ほんとうに4人で座談会してると思った読者がいるんじゃないか、ちょっと心配だな。

一同ーいるわけないよ!!


Created by staff01. Last modified on 2015-12-29 12:03:38 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について