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福井地裁高浜原発異議決定を受けての弁護団声明
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福井地裁高浜原発異議決定を受けての弁護団声明

2015年12月24日 高浜原発3・4号機については、本年4月14日、福井地方裁判所の樋口英明裁判 長、原島麻由裁判官、三宅由子裁判官による運転差止仮処分命令が発令されていまし たが、本日、同裁判所の林潤裁判長、山口敦士裁判官、中村修輔裁判官により仮処分 命令は取り消されました。 私たちは、福島原発事故のような事故を二度と招いてはならないという観点から新規 制基準の不合理性、基準地震動の策定手法の不合理性、津波の危険性、工学的安全性 の欠如、シビアアクシデント対策・防災対策・テロ対策の不備といった様々な危険性 を指摘しました。 これに対して、本決定は、原子力規制委員会の判断に追随するだけの形で私たちの主 張立証を排斥しました。 とりわけ、基準地震動に関しては、「最新の知見に従って定めてきたとされる基準地 震動を超える地震動が到来しているという事実」は、「当時の基準地 震動の想定が 十分でなかったことを示すものである」と認めながら、「いずれも福島原発事故を踏 まえて策定された新規制基準下での基準地震動を超過したもの ではない」とし(1 13頁)、新規制基準下ではこのようなことは起こらないとされています。 しかしながら、一方で、本決定は、「新規制基準の策定に関与した専門家により『基 準地震動の具体的な算出ルールは時間切れで作れず,どこまで厳しく 規制するかは 裁量次第になった』との指摘がされていること」も認めており(105頁)、この認 定からすれば、新規制基準における基準地震動の策定手法は見直されていないのです から、上記決定は、論理矛盾を来しているといわざるを得ません。 さらに、本決定は、「あらかじめ判明している活断層と関連付けることが困難な地震 でマグニチュード7を超えるものが起こる可能性を完全に否定するこ とはできな い」とし(122頁)、「本件原発において燃料体等の損傷ないし溶融に至るような 過酷事故が起こる可能性を全く否定するものではないのであり,万が一炉心溶融に至 るような過酷事故が生じた場合に備え」なければならないとしています(223 頁)。本決定は、福島原発事故の深刻な被害から何も学ぼうとしない、極めて不当な 決定であり、原発周辺住民が事故によって被害を受けることを容認していると言わざ るを得ません。 林潤裁判長は、11月13日の審尋期日の際に「常識的な時期」に決定を出すと発言 しましたが、私たちが指摘したすべての問題点について正面から検討した上で本日1 2月24日に決定を出すというのは「常識的な時期」とは到底いえず、年末も押し 迫った常識外れなこの時期に出した本決定は、高浜原発3・4 号機の再稼働スケ ジュールに配慮した、結論ありきの決定であると言わざるを得ません。高浜原発3, 4号機が再稼働して重大事故を起こした場合、その責任の 重要部分は再稼働を許し た3人の裁判官にあるということになります。 しかし、私たちは、このような不当決定に負けることはありません。なぜなら、理論 的正当性も世論も私たちの側にあるからです。福島原発事故のような 事故を二度と 招いてはならない、豊かな国土とそこに根を下ろした生活を奪われたくない、子ども 達の未来を守りたいという国民・市民の思いを遂げ、ひいては 失われた司法に対す る信頼を再び取り戻すため、最後まで闘い抜くことをお約束します。 2015年12月24日 脱原発弁護団全国連絡会、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団 共同代表 河合弘之・海渡雄一

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