ろくでなし子さんの屈託ない闘い〜「表現の不自由展」トークショー | |||||||
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ろくでなし子さんの屈託ない闘い〜「表現の不自由展」トークショー堀切さとみ東京・江古田にあるギャラリー古藤で連日開催されている「表現の不自由展」。1月27日は漫画家・芸術家のろくでなし子さんのトークショーがあり、会場は超満員だった。 天皇制、戦争責任、放射能汚染、平和憲法・・・これらにまつわる「表現」がことごとく「展示中止」や「撤去」「自粛」「検 閲」に追い込まれる中、ろくでなし子さんは自らの性器を3Dアートにしたことを理由に昨年二度も逮捕されてしまった。こんなことになるとはまったく予想していなかったと彼女はいう。「まんこはわいせつじゃない!体の一部、しかも人が生まれてくる場所を表現して何が悪いの?」というろくでなし子さんは、おおらかで明るくて、とってもチャーミングな女性だった。
そもそも、逮捕される前から「おかしい」と感じていたという。 「面白いものを作りたいという一心でやったことなのに、ネット上では『キチガイ』『くさい』と叩かれた。叩かれて初めて『なんで?』と思った」。そもそも女性器が人の目に触れるのは男性雑誌やAVの日陰の世界のみ。もっとオープンにしようと、ろくでなし子さんは『よいこの科学まんこ展』を開くが、「週刊ポスト」で知ったというおじさんが興味津々見に来たが、「けしからん」と言って帰っていったという。それで彼女は思う。「女を男が消費するのはOKだけど、女が女を表現するのはNGなんだ」。
勾留理由開示裁判の話がまた面白かった。「まんこはわいせつじゃない」と主張する彼女に、裁判官は「被疑者は性器についての言葉を工夫して意見陳述してください」という。かつて、ラジオで有名タレントがその言葉を口にしただけで番組を降ろされたという事実にも言及しながら、ろくでなし子さんは「まんこ差別だ!」という。 「なぜ日本ではまんこがタブーなのか」という問題提起をする番組が、かつてあった。『女性器の名前』(1991年)を制作した、元NHKディレクターの永田浩三さんは「男性器は”おちんちん”とフツーに言えるのに、女性器には古語以外に呼称がなく、埼玉県の性教育の現場では『女性器をおちんちんと呼びましょう』ということが起きた。女性が自分のパーツを堂々と呼べないのは変だ」。
この放送への評価は賞賛ばかりで、批判はまったくなかったという。しかし「ふだんは風俗満載の週刊誌がたくさん取材に来たが、僕の発する言葉をまったく載せなかった」「大事な所を汚いものにしてしまったのは明治以降だ」 ろくでなし子さんが逮捕されたことを受けて、海外のアーティストや記者たちは「医学的な部位を表現することが、なぜ犯罪になるのかわからない」と 言った。何かをタブーにするというのは、どの国・どの民族にもあるだろう。きっとそこには理由があるのだ。 最初に逮捕されたときは黙秘権があることさえも告げられす、ひたすら執拗に「アンタの作品はこういうふうにワイセツでしょ」と決め付けられたが、「ワイセツではない」と主張し続けることによって、二度目(昨年12月)の取り調べでは、いっさいそういう質問はなかったという。「以前は男性記者の興味本位の目線しかなかったが、逮捕されることで“まんこ”ということが何故悪いのか、議論できるようになってうれしい。裁判の傍聴にぜひ来てください!」 命と引き換えの重大な駆け引きに翻弄される中、誰かを傷つけることなく、ただおもしろいことを創造するという人間性。ろくでなし子さんの屈託ない闘いに、来場者はただただ笑い、エールを贈った。 Created by staff01. Last modified on 2015-01-30 18:01:26 Copyright: Default |