盗聴拡大・密告取引導入を許すな〜通常国会で通過狙う悪法 | |||||||
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●週刊金曜日・人権とメディア・(2015年1月9日号掲載/山口正紀) 盗聴拡大・密告取引導入を許すな/「可視化」関連法案
アベノミクスという空手形と低投票率を見込んだ狡猾な師走解散・総選挙で、安倍晋三〈極右〉政権を支える自民・公明両党は、衆議院の3分の2を上回る326議席を掠め取った。この巨大与党を背景に安倍政権は2015年、辺野古の新基地建設、川内原発再稼働、集団的自衛権行使に向けた法整備などを強権的に進めようとしている。 そんな中、安倍政権と法務官僚が1月下旬開会の通常国会で通過を狙っている悪法がある。盗聴拡大と密告取引の導入だ。 昨年9月、法制審議会は裁判員裁判対象事件などでの取調べの録音・録画(可視化)、通信傍受(=盗聴)の対象範囲拡大と手続きの簡素化、司法取引(=密告取引)の導入などを柱とした法改正要綱を法相に答申した。 この答申案をまとめた法制審特別部会は、厚労省事件での大阪地検の証拠改竄をきっかけに11年5月、民主党政権の江田五月法相(当時)が「取調べの可視化」について法制審に諮問し、設置された。 その背景には、07年の鹿児島・志布志事件、富山・氷見事件をかわきりに、足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件と3年連続した再審無罪判決、そして厚労省・村木厚子さんの無罪という冤罪ラッシュがあった。 江田法相の諮問は概略、〈冤罪が多発する中、取調べ・供述調書に過度に依存した捜査・公判のあり方の見直しや、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の導入などについて、具体的に検討してほしい〉という内容だった。 ところが、審議では警察・検察側が「可視化すると供述を取れなくなる。それに代わる武器が必要」と強硬に主張。答申案は、可視化の対象を全事件の2〜3%にとどめる一方で、「通信傍受拡大」や「司法取引導入」を盛り込むものとなった。これには布川事件の桜井昌司さんら冤罪被害者たちが強く反対したが、日弁連の委員や映画監督の周防正行さんら有識者委員も最終的には賛成し、採択された。 なぜこうなったのか。12月に開かれた「人権と報道・連絡会」のシンポジウムで周防さんは、「警察はものすごく抵抗した。たとえ3%でも、取調べ全過程の録音・録画を法律で決めることには大きな意味がある。盗聴拡大や司法取引には反対だが、可視化を捨ててまで、ということはできなかった」と話した。 これに対し、冤罪被害者と一緒に法制審への申し入れなどを重ねてきたジャーナリストの今井恭平さんは、「冤罪をなくすための法制審で、なぜ盗聴拡大、司法取引なのか」と疑問を呈した。司法取引といっても、実態は、自分が助かるための「密告取引」であり、新たな冤罪の温床になる。また、99年の盗聴法制定に反対した日弁連が、なぜ「盗聴の拡大」を容認するのか。 官僚を相手に孤軍奮闘した周防さんの〈苦渋の選択〉は、私も理解できる。だが、答申の法制化に際しては、可視化と盗聴拡大・密告取引をセットで受け入れる必要はない。国会に提出される関連法案は、刑事訴訟法改正、通信傍受法改正などの個別法案になるはずで、日弁連も冤罪の温床を増やすような法改悪には反対すべきだと思う。 メディアは審議で盗聴拡大や司法取引が論じられた時、「警察の焼け太り」と批判的に伝えた。昨年7月の答申案も、各紙(10日付)は《「人質司法」改革見送り/司法取引 冤罪生む恐れ》(『東京新聞』)、《可視化2%のみ 司法取引を導入》(『朝日新聞』)などと批判的に報じた。関連法案が上程された時にはその内容を詳しく報道するとともに、国会審議を監視・報道し、市民の知る権利に応えてほしい。 やまぐちまさのり・「人権と報道・連絡会」世話人、ジャーナリスト ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Created by staff01. Last modified on 2015-01-13 20:25:14 Copyright: Default |