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LNJ Logo 韓国環境美化員を迎えて非正規公務員の正規雇用化報告集会を開く
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 ー日韓清掃労働者交流から非正規問題を考えるー

 ↑ 韓国環境美化員15名が葛飾清掃事務所を訪れ、日本の労働者と一緒にごみ収集を体験した(6月25日、葛飾清掃事務所)

 ↑ 非正規公務員の正規雇用化報告集会(6月26日夜、SKプラザ)

 韓国の民主労総傘下の民主連合労働組合(組合員約5,000人)の各地代表15人が日本の清掃労働者と交流するために来日し、26日夜東京のSKプラザで「非正規公務員の正規雇用化報告集会」を開き、100名が集まった。主催は東京清掃労働組合(吉田壽委員長)と自治労公共サービス清掃労組(河津竜司委員長)、前者が東京二十三区の公務員労働者の組合で、後者は民間下請けの清掃車運転手の組合。それにNPO法人官製ワーキングプア研究会(理事長・白石孝)。

 ↑ 熱気にあふれる非正規公務員の正規雇用化報告集会(6月26日夜、SKプラザ)

 ↑ セウォン号沈没事故の犠牲者のために全員で黙とう(6月26日夜、SKプラザ)

  集会の冒頭にセウォン号沈没は非正規労働が招いた事故であり、全員で犠牲者に黙とうを行った(写真)。吉田壽委員長と河津竜司委員長の主催者あいさつの後、韓国のチョン・スンヨン(民主連合労働組合委員長)が「ソウル:正規職化報告および韓国非正規問題」と題して報告を行った。

 ↑ 韓国のチョン・スンヨン(民主連合労働組合委員長)さん(6月26日夜、SKプラザ)

韓国の清掃労働者を含む公務員は1998年の経済危機の際IMFの指導によって公務員の削減が大々的に行われ、26,000人が解雇された。その中に私も入っており、私は公務員の身分を失い民間委託の労働者になった。私たちはそれに対抗するため全国民主連合労組を結成し、解雇と民間委託に闘った。地方議会や国家などの選挙にも努力した。その結果、清掃労働者のホン・ヒドク氏を国会に送り出した。「清掃労働者に洗う権利を!」の全国キャンペーンも展開して、清掃作業場にシャワーや浴室を勝ち取った。また、不正腐敗、民間委託、雇用破壊と闘った。

報告はソウル市の非正規労働者の公務員化に移る。2011年のソウル市長選挙で公約に「非正規職の正規化」を掲げてパク・ウォンスン氏が当選した。市長は公約に沿って非正規職の内、市の直接雇用の労働者(7,600人「週刊金曜日」2013・9・27白石孝報告参照)を「無期契約」に転換し、「公務職」と名付けた。チョン委員長は、ごみの収集・運搬に携わる派遣や日雇いの間接雇用労働者が含まれていないことが問題だと指摘。
しかし、市長は民間委託や政府の「総額人件費制」の撤廃を掲げている。そして、公務職の賃上げや定年延長(清掃等は65歳)も推進している。野党の予算増の批判に対して、人件費は増えるが間接経費が減るため、全体として経費節減できたという。チョン委員長は最後に公共事業の非正規撤廃のためにさらに組織拡大と団結強化に努力していくと述べた。

 ↑ 上林陽治氏(地方自治総合研究所)(6月26日夜、SKプラザ)

 続いて、上林陽治氏(地方自治総合研究所)が昨年6月官製ワーキングプア研究会のチームでソウル市を訪問して調査した結果を「ソウル市非正規公務職の無期転換が照射するもの」と題して報告した。2011年にソウル市長に就任したパク・ウォンスン氏が進める「非正規職の正規化(公共部門の非正規職の正規職化)」の具体的な経過と成果、そして日本の非正規公務員との制度的な違いを説明した。

次に、「私たち日韓両国の労働者は、非正規労働者に対する労働条件の差別を許しません」を含む「韓日公共部門労働者宣言」(別紙)を日韓双方の労働者代表が交互に読みあげて提案し、参加者全員で採択した。(写真)

 ↑ 白石孝氏(官製ワーキングプア研究会理事長)(6月26日夜、SKプラザ)

最後に、官製ワーキングプア研究会理事長の白石孝氏が集会のまとめを述べた。以前は韓国も企業別労組だったが、韓国は産業別労組に変換を実現した。労働運動は市民運動との連携が重要だ。今年6月のソウル市の市長と教育長選挙で労働運動と市民運動が連携した進歩派が勝利した。ソウル市で非正規職から「公務職」になった労働者が「私たちに名前ができた」と喜んでいる。労働者が誇りを取り戻すことができたのだ。「日韓連帯して新しい労働運動を切り開こう」と結んだ。

 ↑ 練馬清掃事務所を訪れ、始業時ミーティングに参加した(6月26日朝、練馬清掃事務所)

 ↑ 光が丘四季が香小学校で環境学習授業を参観した(6月26日朝)

 ↑ 光が丘四季が香小学校で(6月26日朝)

 ↑ 練馬区資源循環センターでごみのリサイクル作業を見学した(6月26日昼)

 日韓清掃労働者の相互訪問・交流は2009年に日本の下請け清掃労働者が初めて韓国を訪問して以来4回目。韓国の組合は2000年に結成して10年余りと若いのに比べて、日本側は公務員と下請け民間労働者が別の組合だが、長い歴史がある。そして、韓国の清掃労働者が大方民間下請けの非正規職労働者から出発して、労組を結成して急速に劣悪な労働条件の向上を闘いとってきた。
 一方、日本では1990年代から自治体の正規職(公務員)が担ってきた清掃事業が急激に民間下請け化され、雇用の不安定化と劣悪な条件の非正規職に置き換えられてきている。日韓清掃労働者交流は、両国労働者共に非正規化と闘い、正規化を目標にして闘う上で相互の教訓を学び合う国際連帯のプログラムである。
 6月24日に来日以来、東京都庁を訪れ、東京都の職員の労働組合連合会(都労連)の武藤委員長と会見した。25日葛飾区で葛飾区の清掃労働者とともに実際にごみ収集体験をした。3日目の26日、始業時の練馬区清掃事務所を訪れ、始業ミーティングで全員にあいさつ、その後、光が丘四季が香小学校で環境学習授業(写真)を参観した。その後、練馬区資源循環センターを訪れ、布団、家具、電気製品などのごみがリサイクルする作業の現場(写真)を見た。それぞれの現場で日韓双方が労働条件や質問や意見を出し合った。翌日27日、次回の交流を決めて、韓国代表団15人は成田空港から日本を離れた。

(報告=高幣真公、写真=山崎精一、高幣)

 <参考資料>「韓日公共部門労働者 宣言」(日本語・ハングル PDF)


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