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LNJ Logo 労運研の研究会〜労働契約法20条を活用して格差解消を!
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●労運研の研究会「労働契約法20条訴訟」報告

有期雇用労働者の差別をなくそう
労働契約法20条を活用して格差解消を

                   伊藤彰信

 労働契約法20条を活用した訴訟がはじまった。東京東部労組メトロコマース支部と郵政産業労働者ユニオン(郵政ユニオン)の訴訟である。労働契約法20条の「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」を活用して、有期雇用労働者の労働条件の格差を解消しようという訴訟である。

 8月2日、東京・飯田橋で「労働契約法20条訴訟―内容の理解と活用を考えるー」をテーマに研究会が開かれた。主催した労働運動研究討論集会実行委員会(労運研)は、昨年4月、今年4月の2回にわたって労働運動研究討論集会を開催してきた。民間労働者と公務労働者が、正規労働者と非正規労働者が共通の課題について学習し、労働運動の現場で共同のたたかいを作り上げていくために研究会を開催していくことにしている。今回の研究会が第1回であった。

 研究会では、東京東部労組の須田書記長(写真左)と郵政ユニオンの倉林中執(写真右)が提訴の内容と提訴に至ったたたかいの経過を報告した。

 東京メトロの100%子会社メトロコマースが直営する駅売店「メトロス」48店舗の販売員は114人だが、正社員19人、契約社員A14人、契約社員B81人と3つの雇用形態に分かれている。組合員7人は契約社員Bだが、うち4人が提訴した。同じ仕事をしているのに、正社員の賃金は月給制。契約社員は、時給賃金、正社員に支給されている各種手当もなく、賞与も僅かであり、退職金はない。組合を結成してから、忌引休暇、食事補助券、労災上乗補償などを要求してきた。裁判では、正社員と契約社員Aの労働条件の開示を求めているが実態を明らかにする文書は開示されていない。労働契約法20条が施行された2013年4月以前の格差分は民法90条違反として請求した。

 郵政職場では1960年に非常勤職員2万人を本務化したたたかいがあった。その後当局は日々任用制度をつくり非常勤職員を増やしてきた。非常勤職員は80年代、90年代の増加し、民営化の過程でも有期雇用労働者が増えてきた。日本郵政(株)の社員構成は、昨年4月で正社員20万人、期間雇用社員180、300人(時給制契約社員167、600人、月給制契約社員11,200人、管理職の再雇用であるエキスパート社員1,400人)である。期間雇用社員は社員の47.3%を占めている。正社員の年収平均は606万円、期間雇用社員は227万円と会社は説明している。郵政ユニオンは労働契約法の改正にともなう要求書を提出して団体交渉をしていたが、会社は別途回答するとしたままで明確な回答はなかった。裁判では各種手当の格差分を請求しているが一人年額100万円を超えている。さらに社員給与規定、就業規則が適用される労働契約上の地位確認を求めている。東京、大阪につづいて訴訟を拡大していく予定である。

 つづいて棗弁護士(写真)が解説した。20条は差別禁止規定ではなく、不合理な差別を禁止する規定である。雇用形態による差別で労働者が勝った裁判は丸子警報器事件だけである。労働契約法20条は、初めて労働者が手に入れた武器である。実態として差別がないようにするたたかいが重要である。条文の詳しい説明に加えて、団交で勝ち取る内容、裁判を行う場合の注意など実践的な説明があった。

 会社側も無期雇用にすることを検討している。低い労働条件のまで無期雇用に移行されないよう、日常的な団交で有期雇用労働者の格差是正、労働条件の引き上げをたたかっていくことが、裁判の支援にもなることを確認して終了した。


Created by staff01. Last modified on 2014-08-04 14:47:09 Copyright: Default

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