健康被害は実害!「避難計画」も「原発再稼働」もありえない!
井戸川克隆・前双葉町長と「脱原発をめざす首長会議」のメッセージ
西中誠一郎
この数日、漫画「美味しんぼ」に描かれた「鼻血」問題と、前福島県双葉町長•井戸川克隆氏(写真)の被曝健康被害に関する発言が、マスコミで大きく取り上げられている。しかし報道の多くは、福島第一原発事故後に福島県内や関東各地で発生している「原因不明」の体調不良が実際に存在していることを隠蔽し、政権閣僚や福島県知事、大阪市長などの「風評被害を助長する」という批判発言や、低線量被曝の健康被害を否定する医師や研究者のコメントに重点を置いている。
また、福島県内の仮設住宅で周囲に気を使いながら厳しい生活を送らざるを得ない避難住民が、テレビカメラの前で、体調の異変と放射能の関連について積極的に話すこと自体、大変困難だと思う。初期被曝や低線量被曝、内部被曝で健康被害は出ないと断定する「専門家」の発言のほうが、被曝による体調の異変を疑っている多くの人々の気持ちを深く傷つけると思う。政府や福島県政は、事故発生直後から放射能拡散のデータを情報隠蔽してきたし、福島県立医大を中心にした現在の「県民健康管理調査」体制の実効性を、国連の人権機関や日本医師会なども問題視している。
【国連人権理事会「健康の権利」特別報告者アナンド・グローバー勧告】
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-05d7.html
【日本医師会 日医NEWS】
http://www.med.or.jp/nichinews/n260320b.html
原発事故から3年以上が経過したが、汚染水問題に象徴されるように事故は未だに収束しておらず、事故原因の真相究明もできず、故郷を追われた避難者の生活再建は東電の賠償任せで被害者救済の切り捨てが進行し、健康被害に対する制度保障も極めて不十分な状況の中で、福島県内への「帰還政策」が急ピッチで進行している。安倍政権は「原発を重要なベースロード電源」とした「新エネルギー基本計画」の閣議決定を行い、実現不可能な住民の避難計画を地方自治体に押しつけ、原発再稼働を推し進めようとしている。福島第一原発事故の被害者の存在を無視した棄民政策が進行する中で、それにストップをかける取り組みが各地で何とか継続しているが、それを取り上げるマスコミ報道はどんどん減ってきている。
4月26日に神奈川県小田原市で「脱原発をめざす首長会議」の年次総会が開催され、5月9日には同会議による政府交渉が行われ、それぞれ記者会見も行われた。井戸川氏と地方自治体首長の発言の中に、福島第一原発事故から3年が経った現状と「美味しんぼ」問題の背景、その先にある「原発ゼロ社会」の実現に向けた問題提起を読み取って頂きたい。
【YOUTUBE動画配信】
http://youtu.be/S0cFWdkuyy8
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staff01.
Last modified on 2014-05-15 15:23:19
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