ガーナ人男性スラジュさん強制送還死亡事件で緊急街頭署名活動 | |
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法務省は控訴しないで、判決を受け入れて!〜ガーナ人男性スラジュさん強制送還死亡事件で緊急街頭署名活動西中誠一郎3月22日午後、高田馬場駅前で緊急署名を求める声が響いた。「4年前の今日3月22日、一人のガーナ人男性が強制送還中の飛行機の中で死亡する事件がありました。男性の名前はアバカル・アウドウ・スラジュさん。20年間連れ添った日本人の奥様がいらっしゃいました。真相究明を求めて、ご遺族が国家賠償請求訴訟を起こし、今週19日に東京地裁で判決が出ました。入管職員の過剰な制圧による窒息死であることが認定されました。今までの入管での死亡事件の裁判では前例がない、国の違法行為を認めた画期的な判決です。私たち支援者はこの裁判がこれ以上続くことがないように『国、法務省は控訴するな』ということを呼びかけ、署名活動を行っております。どうかひとりでも多くの方のご支援ご協力よろしくお願い致します」。 スラジュさんと遺族の支援を続けてきたNPO団体「A.P.F.S.」(「ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY」)が、2週間以内に国が控訴する期限に間に合うように、判決前から緊急に呼びかけてきた署名活動である。
「スラジュさんは(複数の入国警備官によって)、口に猿ぐつわの様にタオルをかまされ声を出せない状態になり、航空機の座席に座らされた上で金属手錠で両足を、結束バンドで両手首を固定され、更に膝に顔が近づく位深く前屈みの体勢を強制的に取らされるという制圧行為によって、呼吸が困難になって窒息死したものと裁判所は認めます」。その上で小林裁判長は「制圧行為は必要範囲内で、死因はスラジュさんの持病の結果である」とした国側の主張を退け、入管警備官による過剰な制圧行為の違法性について認定した。一方で「違法な制圧行為を誘発したスラジュさんの過失(自殺をほのめかすような発言等)を考慮した『過失相殺』により、被告(国、法務省)が賠償すべき損害額は、損害額の2分の1の限度(総額約500万円)にとどめる」としたため、傍聴席からは不服の溜め息も漏れた。
「入管職員の違法性が認められましたので、私の心のわだかまり、つっかえがとれたという感じです。とても辛い裁判だったのですが、スラジュの死因について訴えてきたことが認められたことに対して、裁判長には心から感謝しております。入管職員の違法性が認められたわけですので、法務省からは正式に謝罪して頂きたいと思っております。これからは強制送還の体制についても見直して頂きたいと思います。ほぼこちら側の主張が認められたわけですが、ガーナ人の命がこんなに安いのかなということに関しては納得いかない面もあります」。 長年連れ添った夫が、超過滞在の外国人であったがために、法務省に対して「在留特別許可」を求めてきたが、厳しい入管行政の壁に阻まれ認められず、退去強制令書取り消しの裁判を起こし2008年には東京地裁で勝訴判決を勝ち取った。しかし高裁で逆転敗訴し、入管へ再収容された。そして2010年2月に強制送還未遂、約1ヶ月後に強行された2度目の強制送還でスラジュさんは死亡した。享年45歳。在留許可が認められれば、妻と一緒に平穏な日本での暮らしが続くはずだった。 妻は2010年6月に千葉地検に対し入国警備官10名を刑事告訴したが、2012年7月に同地検は不起訴処分とした。国家賠償請求訴訟を起こしたが刑事裁判が先行していたことを理由に証拠開示もなかなか行われなかった。入国管理局も検察庁も管轄する法務省は、謝罪も真相究明も行わず、4年間の歳月だけが流れていった。妻と支援者はひたすら真相究明を求めて裁判を闘ってきた。 スラジュさんは母国ガーナの情景を描くことや音楽が大好きで素朴な人間愛に満ちた絵画は、CDジャケットを飾ったり、雑誌の挿絵にも掲載されたりした。裁判でも毎回多くの友人や支援者が駆けつけ、傍聴席はいつも満席だった。事件の真相究明を求めるデモ行進も友人たちが呼びかけて何回も行われてきた。 高田馬場駅前を行き交う人ごみの中で、署名活動は続いていた。「国が2週間以内に控訴したら、まだまだ争いが続きます。ご遺族も私たちもこれ以上争いは続けたくないのです。この裁判にピリオドを打ちたいのです。ひとりの外国人の命が、ひいては日本社会で暮らす皆様の命が尊重される判決です。司法が今回下したこの判断を社会が尊重することを望み、本日署名活動を行っております。皆様のご協力をよろしくお願い致します」 Created by staff01. Last modified on 2014-03-23 21:09:38 Copyright: Default |