アピール : アベ労働「規制改革」を跳ね返す国民的な運動をつくりましょう | |
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アピール
労働のあり方を根本的に変え、雇用破壊をいっそう深刻化させる アベ労働「規制改革」を跳ね返す国民的な運動をつくりましょう 2013年6月4日 労働法制中央連絡会 労働法制中央連絡会に結集されるすべての仲間のみなさん、そして市民のみなさん。 安倍首相は「世界で一番、企業が活動しやすい国」をめざすといい、それを自民党の参議院選挙公約にも盛りこもうとしています。しかし、「世界で一番、企業が活動しやすい国」とは、働く人々や地域社会をないがしろにして、多国籍大企業の利益にばかり奉仕するということです。 近々出される予定の「規制改革会議・報告書」も、労働者の代表は一人もいれず、財界代表や剥き出しの新自由主義論者(研究者)による議論の結果、多国籍大企業のための「成長戦略」と表裏一体に、すべての働く人々の仕事と生活に重大な影響を与える労働者保護法制の大改悪案になろうとしています。私たち労働法制中央連絡会は、アベ労働「規制改革」を許さない国民的な世論づくりと共同した運動を強く呼びかけます。 規制改革会議の労働「規制改革」の最大の柱は、非正規雇用労働者をいっそう大量に利用し続けながら、正社員の雇用や待遇も引き下げようという「正社員改革」です。安倍政権が掲げる「産業の新陳代謝の促進」にあわせて、雇用政策も「雇用維持型」から「労働移動支援型」に転換し、“企業から人が動く”「正社員改革」をすすめるというのです。「企業から人が動く」という言葉が示すように、最大のねらいは解雇規制の緩和です。 規制改革会議は、「失われた20年」では、「数量調整」(人数調整)よりも「価格調整」(賃金の抑制・低下と非正規雇用の活用)に頼り過ぎたとして、「賃金を上げるのであれば、雇用の柔軟性を高める政策を実行すべき」としていますが、これほど逆立ちした論はありません。失われた20年の経緯にも明らかなように、雇用の柔軟性、流動性を高めれば、失業者が増え、雇用は不安定化するのであって、かえって賃金も下がります。 規制改革会議は「正社員改革」の突破口(第一弾)として、「勤務地」や「職務」を限定した「限定正社員制度」の導入(法定化)を掲げようとしています。正規と非正規の「二極化」を見直し、「多様で柔軟な働き方」を実現するためだと説明していますが、非正規雇用労働者の待遇改善の具体策はどこにもありません。 実際には、「勤務地」や「職務」を限定するかわりに、賃金などの労働条件を「正社員」より引き下げ、勤務地(工場や営業所)や職務(仕事)がなくなれば、雇用契約も終了するというのですから、解雇規制の緩和(合法化)であり、「名ばかり正社員」化です。さらに、「試用期間のルール化」と称して、「テニュア制度」(数年の有期契約で能力が認められれば正社員に転換する仕組み。能力なしと企業が判断すれば雇止めできるお試し雇用)なども検討されています。 一方、残された「正社員」は経営者のいうままに、世界中どこにでも転勤し、長時間の「無限定」な労働を強いられることになります。過酷な「無限定正社員」か、それとも処遇の劣る「限定正社員」かという身勝手な振り分けを許してはなりません。 政府はマスコミなども使って、「限定正社員制度」の一種である「短時間正社員制度」を、仕事と子育てや介護など生活との両立が可能な勤務制度だと大宣伝しています。しかし、これもまた、おかしな論です。仕事と生活との両立(ワーク・ライフ・バランス)は重要な課題ですが、ならばなおさら、「正社員」のままで働き続けられる時短措置としての短時間勤務制度などを整備すべきです。正社員から「短時間正社員」という身分(雇用契約)の切り替え(結果としての処遇引き下げ)は必要ありません。「短時間正社員制度」は結局、時短など職場での両立支援の努力を棚上げにし、女性などへの差別、格差をかえって助長しかねません。 規制改革会議はまた、「限定正社員制度」とあわせて、企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制の要件緩和など、労働時間規制の大幅な弾力化(残業代削減といっそうの長時間労働化)についても検討しています。これでは、「無限定正社員」はもとより、勤務地・職務限定の「限定正社員」もタダ働きの長時間過密労働を強いられることになります。 規制改革会議は、「民間人材ビジネスの規制見直し」も打ち出そうとしています。有料職業紹介事業を拡大し、ハローワークの各種就労支援施策の民間開放など、民間人材ビズネスを最大限に活用して、雇用政策を「雇用維持型」から「労働移動支援型」に切り替えようというのです。 さらに重大なことに、労働者派遣制度の大改悪もねらわれています。「常用代替防止」という大原則の見直しを迫り、派遣受入れ期間の制限をなくして、永続的に労働者派遣を使えるようにしようとしています。正社員から労働者派遣への置き換えが飛躍的にすすみ、「派遣村」が再現されかねません。「限定正社員制度」と一体に「非正規があたり前」の制度づくりです。 留意すべきは、今回の「規制改革会議・報告書」はアベ労働「規制改革」の「第一弾」に過ぎないということです。報告書が出たら、「規制改革実施計画」が策定されます。規制改革会議は、その実施状況をフォローアップしつつ、第2年度、第3年度と検討を重ねていく予定です。今後の検討項目には、国民的な反対運動で過去に見送られた解雇の金銭解決制度やホワイトカラー・エグゼンプション(いわゆる残業代ゼロ法案)など、さらなる雇用破壊の施策が並んでいます。雇用のあり方の全面的な見直し、大改悪が企まれています。 すべての仲間のみなさん、そして市民のみなさん。 こんな大改悪を許せば、解雇・雇止めの多発、いっそうの低賃金化で、働く人々と家族の生活は成り立たなくなります。個人消費も低迷し、地域経済が破壊されます。いま必要なことは、雇用の流動化ではなく、非正規雇用労働者の処遇改善、均等待遇実現をはじめ、人間らしい生活を送ることができる雇用の安定です。最低賃金の引き上げなど賃上げ・底上げで内需を活性化させることです。それこそがデフレ脱却の確かな道です。 世界の多くの国々でも、グローバル化の弊害を和らげようと、最低賃金の大幅アップなど労働者保護政策が強化されています。ところが、日本だけは剥き出しの「自由競争」に労働者と市民、地域社会を突き落とし、途上国並みの賃金水準(コスト)まで下げようというのです。 アベ労働「規制改革」を許さない国民的な世論と運動を大きくひろげ、撤回を迫りましょう。7月の参議院選挙は、雇用破壊にストップをかける絶好のチャンスです。「雇用破壊は許さない」「賃金あげろ。雇用の安定で内需拡大を」の声を徹底して強めていきましょう。 私たち労働法制中央連絡会も、雇用の安定と日本社会の健全な発展を願うすべての人々と連帯共同し、アベ労働「規制改革」を跳ね返し、憲法がいきる社会をつくるために全力をあげます。 以上 Created by staff01. Last modified on 2013-06-04 15:53:06 Copyright: Default |