『もうひとつ国鉄闘争』〜臨時労働者差別・女性差別と闘った和田弘子さんの記録 | |
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『もうひとつの国鉄闘争』〜臨時労働者差別・女性差別と闘った和田弘子さんの記録久下格(JR東日本勤務・国労組合員)26年前、国鉄が分割・民営化されたとき、JRへの採用を拒否された1047名が解雇撤回闘争に立ち上がったことは知られていますが、その直前、全国で6000名以上の臨時雇用員が一斉に解雇されたことはほとんど知られていません。本書は、1972年、18才で国鉄大阪工事局に臨時雇用員として採用されて以降、国労大阪工事局分会婦人部長として臨時労働者差別、女性差別と闘い、83年に解雇されてからは、不当解雇と闘い続けた和田弘子さんの、42年間にわたる半生をかけた闘いの記録です。 本書を読んで、私は改めて、退職金まで法に違反して差別、減額した国鉄のやり口を、執念を込めた調査で突き止めた和田さんたちが、国鉄を継承した清算事業団側の弁護士に「和田さんには悪いことをしたと思っている」と言わせるまで追いつめていたことを知りました。差別への怒りをバネに、とことん闘う気概を持ち、支えてくれる仲間たちがいれば、たとえ一人の闘いであったとしても、国を相手に勝利に手が届くところまで進むことが出来ることを本書は教えてくれます。 しかし、追いつめられた清算事業団は、労働者救済機関であるはずの労働委員会が不当命令を出すことで救われました。裁判所は、長年にわたる差別や不法が実証され、事実、判決文でそれを認めながら、詭弁を弄して国、国鉄、清算事業団…を擁護し、和田さんの訴えを退ける判決を出し続けました。 国鉄労働組合は臨時労働者差別、女性差別と闘うことができず、和田さんたちの闘いを孤立させ、ついに闘いを終結させることになりました。そして今、JR各社では業務の外部委託と非正規労働者の導入が際限なく広がっています。 『もうひとつの国鉄闘争』という題名の通り、本書には、1950年代から国鉄には非正規労働者の連綿とした闘いの歴史があり、職員化を勝ち取った闘いのあったことが記されています。和田弘子さんは本書を通じて、まだ見ぬ未来の若い仲間たちへ、たとえば駅で、5年間と期限を切られた脱法的契約の下で呻吟するたくさんの契約社員たちへ、そうした闘いのバトンを渡そうとしています。そして、本工と非正規労働者の差別を労働者自身が闘いの中で克服していくことが、これからの労働運動にとって何よりも大切であることをすべての労働者に訴えています。私たちはこの訴えに向き合わねばなりません。 <目次> 発刊に際して― 不正、いまだ正されず! 第一部 臨時雇用員・和田闘争― 国鉄の女性差別・臨時雇用員差別を許さへん! 第1章 一人の闘いから国労婦人部・あゆみ班の闘いへ 第二部 国鉄の差別的な労務政策に抗して 第5章 戦後の女性労働者と臨時雇用員の闘い 第三部 臨時雇用員・和田闘争に寄せて ◎和田闘争から汲みとるべきこと……佐藤昭夫 発行 三一書房 http://p.tl/vVhz Created by staff01. Last modified on 2013-11-24 23:22:39 Copyright: Default |