「こういう人で本当にいいのですか」〜自民党本部にワタミ過労自死遺族申し入れ | |||||||
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娘を殺そうと思って殺した人間を、国政の場に送りだすので本当にいいのかと、自民党に問いたいと、ワタミで長時間労働を強いられ過労自死に追いやられた森美菜さんの両親が、6月28日自民党本部をおとずれた。渡邉美樹前ワタミフードサービス会長を参院選比例区候補として擁立する件について、自民党に考え直すよう要請した。 「24時間365日死ぬまで働け」というワタミの理念は、「殺すつもりで殺したと言ってもいい。殺意を持って娘を雇い、低賃金でギリギリまで使って殺したあとには、『責任はない』と言う。確信犯と呼んでいいのではないか」と記者会見で語気を強めたのは、美菜さんの父・豪さんだった。自民党本部には何を伝えるつもりかとの質問に、豪さんは「単純素朴に聞きたいだけです。『こういう人で本当にいいのですか』と」と答えた。 記者会見の後に出向いた永田町の自民党本部では、入館を拒否し続ける調査局の担当に業を煮やした豪さんが、胸倉を掴み、涙ながらに「どうしてワタミを候補にするんだ」と攻め寄る場面もあった。「娘は、美菜は雨のなか死んだんです・・・」豪さんのと なりには、母・祐子さんさんが美菜さんの遺影をもって立っていた。 当時26歳だった美菜さんは、入社して2カ月間、141時間の長時間労働を強いられ、そのうえに会長著書を読まされたりレポートを書かされたりして、貴重な休息日と睡眠を奪われていった。高いビルから身を投げることでしか、過酷な労働と生活から解放されなかった。 美菜さんはワタミの言うことを信じて、いい企業だと思っていた。「夢を持って入社したのに、渡邉氏の言葉とはかけ離れ過ぎた労働実態に絶望していた」と祐子さんは言う。「娘は、とにかく最後まで生きようとしていました。あの夜、アパートを出るまで死のうと思っていなかったのでは――」祐子さんは、美菜さんの行動パターンからこう読み取っている。 ワタミでの労働基準法違反や安全基準法違反については、すでに多方面で告発されているが、森さん夫妻は、今回の立候補についても「すでに個人の問題ではない。社会全体で考えるべきことでは」と呼びかける。 「法律違反を重ねて利益追求をした経営者に、若者を死ぬまで働かせ、使い捨てにして利益をあげた経営者に、国会議員になる資格があるのでしょうか?」森夫妻は、こう書いた要請書を自民党の担当者に手渡した。 仕事を辞めた今でもなお、夜中の2時に徘徊しなければ眠れない元ワタミ従業員。有給休暇を取りたいと言ったら「甘えるな」と叱責された現役労働者。美菜さんも最後には「もうくたびれきった」「渡邉氏は120%働けと言うが弱肉強食。これが本当なんだろうか」こう自問しながらレポートに書いていたそうだ。 豪さんは、周りが渡邉氏の言うことにだまされているのでは、と問うた。「(渡邉氏は)きれいごとを言っているが信じない。実態を見て明らかにし、みんなに知ってほしい」と話す。自民党が渡邉氏を擁立することについては、ワタミでの労働実態を知らないからではないかと言い、だからこそ自分たちの話を聞いてほしいと続けた。 ワタミはこれまで2回遺族との話し合いに応じたが、そのあとは賠償額を確定するために簡易裁判所に調停を申し立てた。これまで、美菜さんの働き方や死に対して責任を認めていないし、謝罪もしていない。さらに、交渉に関して週刊誌の取材に応じた森さん夫妻に対して、調停委員への上申書という形で抗議文も送っているという。 森さんが加入した東京東部労組の須田光照書記長は、過労死・過労自死を出したすかいらーくや他の企業と比較して、ワタミの対応は最悪だと言う。他企業は、まず遺族と向き合い 話し合いに応じる。部分的に謝罪すべきだと判断すれば謝罪し、それについて賠償金を支払うという手続きを取ってきた。一方で、ワタミは一切責任を認めず、逆に取材に関して脅しをかけるようなことをする。「遺族がどんな気持ちで、何を一番求めているのか。想像力が決定的に欠けている」と須田書記長は言う。 森さんの要請行動には、およそ100名の支援者が駆けつけた。(松元ちえ) ●動画(ワタミ遺族の訴え)↓ ●松元ちえのツイキャス録画↓ Created by staff01. Last modified on 2013-06-29 17:55:51 Copyright: Default |