福島県民大集会 | |
[MenuOn] Home | ニュース | イベント | ビデオ | キャンペーン | 韓国 | コラム | About | Help [login ] | |
震災・原発事故から1年になる3月11日、福島県郡山で開かれた集会には全国各地から1万6千人が集まり、「原発はいらない」を叫んだ。 午前中、労働福祉会館で開かれたトークセッションに参加した後、開成山球場に向かう。地震の影響なのか、郡山の街は空き地や空のビルも目立つ。 午後12時30分、会場の開成山球場に到着すると、すでに多くの人々で込み合っていた。 最近の東京の反原発集会は、「無所属」の市民が多数派になりつつあるのだが、ここは労働組合の旗が目につく。東京でも集会でよくみかける旗も多い。他の集会と比べると、全国の教職員の組合の旗が多いようにも思える。 集まった人々は続々と、それぞれあらかじめ決められたスタンドに入っていく。 コンサートが始まる午後1時前にスタンドに入ると、もう内野席の座席はいっぱいだった。 開会前の場内アナウンスで、球場の線量が高いことが告げられる。同行した韓国のメディア活動家が持ってきた線量計の表示は1uSv/hを超えている。1年間、ここに居続ければ10mSv弱の被曝量になる計算だ。 ちなみに郡山の市街地では、線量計は0.4-0.5uSv/hを表示していた。東京ではせいぜい0.1uSv/h程度の表示だったので、やはり高い。 東京からふらりとやってきた我々よそ者のオジサンたちの被曝量としては微々たる量なのだが。 コンサートが始まり、われわれは記者席へと移動し、しばらく撮影した後、ベンチに入る。今回は韓国のオルタナティブ・メディアの記者の取材やら、レイバーネットTVの関係で、電源が取れるベンチで取材を続けることにした。 集会は、開会のことば、呼びかけ人あいさつ、連帯のことば、県民の訴え、そして宣言採択という順番で進んだ。 今回は、韓国の記者に集会の内容を説明しなければいけないので、ちゃんとメモを取っていなかったので記憶に残っている発言しか紹介できないが(「これは韓国語でどう言えばいいのか」と悩んだことばかり思い出す)、呼びかけ人の一人、福島大学副学長の「福島県民は鎮魂の余裕がない」という言葉が印象に残っている。 マスコミには、震災は終わった、原発事故は収束したという記事があふれている。しかし1年前の災害を乗り越えて希望に満ちた復興に立ち向かうというには、福島の現実は厳しい。数万人の人々が福島を離れて各地で苦しい避難生活を送っている。いくら除染して、以前よりは線量が下がったとはいえ、それでもやはり線量は高く、がれき処理の問題も残る。駅前の商店街には、地震でひびが入ったり、壁面が剥がれ落ちた空きビルも多い。 町には子供たちの姿が見えない。 責任を取るべき東電も国も、形ばかりの対策で幕引きを図り、放射能を含むがれきの中間貯蔵施設を県内に作るとか、さまざまな口実で原発の再稼働を主張しさえする。 東京の都心で働くサラリーマンや役人にとって、このような福島の現実はどこか遠い田舎町の話でしかないのかもしれない。ただでさえ失政の連続で身動きの取れないこの国の政府は、他の選択の余地がないのかもしれない。 だがそんな計画も、今回の集会で壇上に立った各層を代表する何人かの福島県民の痛切な叫びの前では、その底の浅さをさらけ出す。 集会の最後に採択された集会宣言では、相変わらず先が見えない苦しみの中にいる福島県民の現実が語られ、チェルノブイリという歴史から学ぶことに失敗した電力会社や政府、地方に負担を押し付けて経済的な繁栄を求める首都圏の住民の責任と義務を指摘、福島の犠牲を無駄にしないためにも原発をなくすことを訴えている。 集会が終わると、参加者は2コースに分かれてデモ行進を行った。野球場から出ると、まわりは大混雑で何がなんだかわからない。とりあえず行列について写真を撮り始めたところ、同行していたはずの韓国の記者の姿を見失ってしまった。なにしろ日本語も英語もできない記者なので、大変なことになったと思いつつ、待ち合わせ場所にで待っていると、午前中に取材した人を偶然記者が見つけて電話で連絡をとってくれて無事再会。 集会参加者の多くはそのままデモ行進に参加したようだが、 郡山ではこれだけの数のデモ行進は、史上初めてとのことで、いろいろと細かい条件がつけられた。 距離も1.5kmと短く、コースも市街地を通らない。そして決まった終了時刻が来たらその場で解散しなければならないという。 最近の東京の反原発でもと違って、労組などを中心とする比較的クラシックなスタイルのデモ行進だったが、その姿はインターネットを通じ写真や映像で世界中の多くの人々に伝えられている。 ここにぼくも、自分でとった何枚かの写真を追加することにしよう。 文責・撮影: 安田(ゆ) Created by Staff. Last modified on 2012-03-12 13:45:47 Copyright: Default |