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News Item 1355632121282st...
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//  かわら版・ジャパンユニオン 2012/12/15 第306号
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<INDEX>---------------------------------------------------------

 1.今号のきめゼリフ
 2.こんな時どうする
 3.二週間・Newsスッぱ切り
 4.Focus of News
 5.ほっかほか・ほーこく
 6.「No.ゼロ」のぶつぶつつぶやきスペース
 

<今号のきめゼリフ>----------------------------------------------
 
 −たかが2000円されど2000円−

 大手食品メーカーの下請けの運送会社で起きた労働争議。

 約5年間、ボーナスが出ていなかった。職場のドライバーらで14年前に
 結成した労働組合は昨年冬、正社員もパートも給与1カ月分のボーナス
 支給を会社に要求した。団体交渉を重ねたが、経営者は首を縦に振らな
 かった。「原資がない」という建て前だが、高い報酬を払って労務担当
 の弁護士を何人も雇い入れていることからして、組合員には到底納得で
 きなかった。

 ゼロ回答の連続にしびれを切らした組合は、今年春、職場内の休憩所で
 決起集会を開き、会社前での抗議行動に打って出た。その直後、経営者
 と協調的だった10人の組合員が組合を集団脱退した。100人ほどの従
 業員のうち、ぎりぎり過半数を組織していた組合の危機だった。しかし、
 組合は執行部が中心に職場で必死のオルグ活動を行い、逆に30人の労働
 者を新たに組合加入させることに成功し、多数派組合の地位を堅持した。

 組合は「500円でも1000円でもいい。とにかく有額回答せよ」と
 迫ったが、経営者は「1円たりとも出さない」の繰り返し。今年秋、組
 合は二度目の社前抗議行動を行った。これに対し、会社は元請けとの業
 務委託契約を返上し、組合員の拠点職場を奪うという組合つぶしの巻き
 返し策に出た。

 組合は結成以来、初のストライキの検討に入った。他方で会社側は「ス
 トを打てば会社がつぶれる。会社がなくなれば元も子もない」というキ
 ャンペーンを張り、労働者の動揺を誘った。組合員にも不安がないと言
 えば嘘になる。が、ここで屈すればボーナスだけではなく、組合の存続
 すら危うくなる。経営者には一生頭が上がらず、奴隷のように生きてい
 く職場人生になる。

 組合員たちの討議が日々続いた。結論は「次の団体交渉で決裂すればス
 トライキに突入する」だった。

 そして今月、団体交渉が開かれた。腕章を付けて交渉に臨んだ組合員た
 ちの目は真剣そのもの。会社は組合つぶしの策動を撤回し、ついにボー
 ナス支給を約束した。金額は一律2000円。そこから税金が引かれる。ま
 るで子どもの小遣いではないか。ケチな経営者には心底腹は立つが、し
 かし価値ある成果だと思う。経営者がお情けやお恵みで与えてくれた2
 000円ではない。労働組合の団結と、要求への執念と、身体を張って
 闘う決意で勝ち取った2000円である。

 団交後、組合員の誰かが言った。「今度はみんなで20万円取ろう!」。
 労使の攻防はつづく。


<こんな時どうする>----------------------------------------------

 「残業代の分割払い!?」

 <質問>
 会社より「今月から残業代を分割で払う」と言われましたがこのような
 ことはどこの会社でも聞いたことがありません。法的にどうなのでしょ
 うか。
 また、「今月から退勤するときにタイムカードを押さなくていい」とも
 言われました。これについてもどうなのでしょうか。


 <回答>
 メール拝見しました。以下参考にしてください。
 残業代の分割払いは違法です。労働基準法上、残業代など賃金はまとめ
 て払わないといけません。

 タイムカードについてですが、労働時間管理は会社の責任できちんと記
 録を取ることが法律で義務づけられています。残業時間を誤魔化す目的
 で行うのであれば問題です。
 
 労働相談センター


<二週間・Newsスッぱ切り>------------------------------------
  
 11/30 ・10月の有効求人倍率0.80倍 2カ月連続で悪化。失業率
      4.2%/厚労省・総務省
     ・県内失業率5.9%。有効求人倍率0.41倍で全国最下位
      /沖縄労働局
     ・「普天間基地県外移設方針は衆院選の結果に左右されない」
      と仲井真知事/沖縄
     ・最低賃金廃止、維新の会公約に。「労働する国民を奴隷化す
      るものだ」と波紋
 12/4 ・ 第46回衆議院総選挙 12政党1504人 最多の立候補者/衆
       議院選挙公示
 12/5 ・エジプト大統領権限強化に反対デモで衝突 4人死亡350
      人負傷/カイロ
     ・建設現場でのアスベスト被害で国の責任初認定 10億円賠償
      命じる/東京地裁
     ・「組合活動で解雇は無効」トルコ航空と派遣元を訴えた女性
      13人が勝訴/東京地裁
 12/6 ・ 福島第一原発作業員の年間被ばく量100ミリシーベルト
       超20代1.2%が被ばく/東京電力
     ・私鉄総連 13春闘定期昇給分に加え2500円のベースアップ要
      求
     ・オスプレイの本土訓練「いつでも始められる」在日米軍司令
      官が言明/朝日新聞
     ・日産マーチなど49万台がリコール。海外も含めると150万
      台に昇る/日産自動車
 12/7 ・線量計を鉛カバーで覆わせ被曝隠し 青森の下請け会社と社
      長を書類送検
     ・自殺者 15年ぶりに3万人下回るペース 11月で2万5754人
      /警察庁
     ・金属労協13春闘方針 前年賃金水準維持を決める。各産別は
      1〜2月に要求方針を決定
     ・米国の失業率改善 7.7% オバマ政権発足前の水準
     ・国家公務員の政治活動、地位・職務で刑罰判断/最高裁判決
 12/9 ・ 被曝隠し偽装請負認定 東電の主張覆し8社に是正勧告/
       厚労省
 12/11 ・「過酷労働でうつ病自殺」長時間勤務と上司のパワハラが原
      因=元助手両親が東北大提訴/仙台地裁
     ・浜岡原発5号機停止を求め地元住民や弁護士など777人が
      仮処分申請/静岡地裁
     ・米海軍兵の夜間禁酒令、自宅内に限り解除
 12/12 ・生活保護受給者213万3905人 世帯数155万7546世帯 
      共に過去最多を更新/厚労省  
     ・ホンダの「オデッセイ」など米国で80万台リコール
     ・米ミシガン州が労組の強制加入禁止、自動車労組などに打撃
      /ロイター
     ・職員調査めぐり大阪市橋下市長にに対し900万円請求の住
      民提訴/おおさか市民ネットワーク
 12/13 ・ベースアップ要求4年連続見送りへ=13年春闘で/全トヨタ
      労連
     ・4人に1人がパワハラ被害、半数は相談せず/厚労省調査
     ・「さらなる賃金抑制目指せば逆効果の危険」ILO「世界賃
      金報告」が警告/ロイター
     ・米マクドナルド:店員の時給8ドル(約690円)、最高経営
      責任者(CEO)の年収は875万ドル


<Focus of News>-------------------------------------------------

 =さらなる賃金抑制目指せば逆効果の危険、ILO「世界の賃金」報告
  が警告=
【ロイター 12月13日(木)13時46分配信】

 [ロンドン 12日 ロイター] 所得格差の拡大が、世界的な金融危
 機の少なくとも一因だったとすれば、世界各国の政府と企業は、財政再
 建や自らの資金繰りのために賃金をさらに押し下げようとすることに慎
 重になるべきだろう。

 金融危機に至る過程では、家計は債務を積み上げることで、富裕層との
 対比で徐々に落ち込む所得と消費を支えた。しかし、簡単に融資を受け
 ることができなくなった今、賃金をさらに押し下げようとすれば、家計
 の消費を後退させるリスクがあり、社会的な結束を危機に陥らせること
 にもなりかねない。

 米国、英国をはじめとする先進国や発展途上国の富と賃金の不平等にあ
 らためて一般大衆の注目が集まっているという現象は、5年たってもま
 だ消えない金融危機の余波の1つだ。米国で所得階層全体のわずか1%
 である「スーパーリッチ」を取り上げたノーベル賞受賞経済学者ジョセ
 フ・スティグリッツ氏の著作や、ウォール街から世界に広がった「占拠
 せよ(オキュパイ)」運動などはいずれも、今や企業や金融機関、政府
 のエリートたちが無視できなくなった事実を浮き彫りにしている。

 米国の国内総生産(GDP)に占める賃金・給与の比率が1970年に
 比べ10%ポイント低下して43%となっているのに対し、企業の税引
 き後利益の比率は逆に2005年の2倍の12%に拡大している。HS
 BCはこれを「金融における最も冷酷な部類のチャート」と評した。

 ベアリング・アセット・マネジメントのマリノ・バレンサイス最高投資
 責任者(CIO)は先月下旬の「ロイター2013投資アウトルック・
 サミット」で、「米国がかつてこれほど不平等だったことはない。『ア
 メリカン・ドリーム』は過去20年間で『アメリカン・ナイトメア(悪
 夢)』になってしまった」と嘆いた。

 同氏は、所得格差の代表的指標である「ジニ係数」の急上昇と、米国の
 所得の中央値が20年前を超えられずにいることに言及し、所得格差に
 なテーマだと考えている。

 こうした状況は米国にとどまらない。経済協力開発機構(OECD)が
 掌握している30カ国のうち26カ国で1990年以降、国民総所得に
 占める労働分配率が低下している。また国際労働機関(ILO)のデー
 タによると、所得の最上位10%と最下位10%の格差は1995年以
 降、31か国中23カ国で拡大した。

 しかし「原因と結果」、「リスクと対処法」を見極めるのは簡単ではな
 い。例えば、簡単に融資を受けられたこととグローバル化が格差を拡大
 させたのか、あるいはその逆なのかだ。

 ILOが先週公表した「世界賃金報告2012─13年版」は、労働分
 配率の低下を信用バブルの一因に挙げている。金融危機の前の10年間
 に労働分配率が低下したことが、借り入れによって消費を維持しようと
 する家計の債務積み増しにつながったという。

 <生産性/賃金分析>

 ILOによると、1999年から2011年までの間に世界の先進国に
 おいては、平均労働生産性は賃金上昇率の2倍以上のペースで向上した。
 技術革新や労組の組織率低下、世界貿易の拡大などがその理由に挙げら
 れているが、ILOは、株価と住宅価格の上昇や金融のグローバル化、
 融資基準の緩和も、家計にとって借り入れを賃金に代わる消費の資金源
 とすることを促したと説明している。

 報告は「もしも、米国の土台をなす99%への労働分配率低下が、借り
 入れによる消費で埋め合わされていなければ、世界の経済成長はもっと
 低いものになっていたか、もっと早く成長が止まっていただろう」との
 見解を示した。

 英国やオーストラリアにも同様の現象が認められるし、アイルランドや
 ギリシャ、ポルトガル、スペインといったユーロ圏周縁国では、経常収
 支や貿易収支の赤字を膨らませる結果を招いている。

 金融危機以降、賃金環境はさらに悪化している。世界の実質平均月間賃
 金伸び率(中国を除く)は2007年の2.3%から、昨年はマイナス
 0.2%に落ち込んでいる。ただ、その一因は労働時間の減少と雇用確
 保の見返りのワークシェアリングにある。それによって失業率の上昇に
 歯止めがかかっているとすれば、債務の返済に苦闘する家計にとって良
 いことだったといえる。

 しかし、これから先はどうだろうか。ユーロ圏をはじめ先進国の経済成
 長と企業収益に不安が続く中で、国のバランスシートを立て直すため、
 あるいは企業の収益率を維持するために、賃金にさらなる圧力がかかる
 ことは明白だ。だが、今回は所得と消費への打撃を相殺する信用供与の
 支援は期待できない。従って、労働者の所得に対する新たな打撃がもた
 らす社会的・政治的な影響は一層強烈になるだろう。

 そしてILOも指摘するように、世界経済は1つの閉鎖空間なのだから、
 すべての国が黒字を確保することはできない。全員がさらに賃金に下げ
 圧力をかけようとすれば、破壊的な結果を招きかねない。

 ILOの報告は「世界の多くの国が同時並行的に賃金の引き下げあるい
 は抑制を追求すれば、競争面のプラス効果は消えてしまい、消費に及ぼ
 す悪影響が世界の総需要の低下を招く恐れがある」と警告している。
 (Mike Dolan記者)


<ほっかほか・ほーこく>------------------------------------------

 =阪急交通社 中央労働委員会命令を無視し団体交渉を拒否=

 11月29日、中央労働委員会(中労委)は、昨年10月に東京都労働
 委員会(都労委)が発した「阪急交通社は・・・労働時間管理に関する
 団体交渉に誠実に応じなければならない」との命令を支持し、阪急交通
 社の再審査申立てを棄却。東部労組HTS支部との労働時間管理に関す
 る団体交渉に応じなかったことは不当労働行為(違法行為)である、と
 判断しました。

 ■概要http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/a72f98602c967e20695c0f10b08a1c41

 この中労委命令に基づき、東部労組HTS支部は12月3日、阪急交通
 社に団体交渉を申し入れました。
 そして12月7日、阪急交通社から回答書がファックスで届きました。
 あいかわらず文章はたったの3行。今までとまったく変わりません。

 「貴組合から、平成24年12月3日付で団体交渉の申入れがありまし
 たが、当社は貴組合との団体交渉に応じる立場にありません。
 したがって、貴組合との団体交渉に応じることはできません」

 これが阪急交通社からの回答です。

 何が「団体交渉に応じる立場にありません」なのでしょうか。
 「阪急交通社は労働時間管理について、東部労組HTS支部との団体交
 渉に応じる立場にある」し、「団体交渉に応じなければならない」と都
 労委・中労委が認定しているのです。
 労働委員会制度を全く無視する対応であるとともに、添乗員の長時間・
 過重労働の実態、添乗員の気持ちを全く無視する態度、私たちは容認す
 ることはできません。


<「No.ゼロ」のぶつぶつつぶやきスペース>-------------------------
 
 ●夏に続き、以下の日程で「労働組合冬期講習セミナー」を開催します。
 ●「ブラック企業」の実態、法的撃退法、労働組合の有効な活用法につ
 いて笹山尚人弁護士が、そして僕が「職場でいかに闘うか─労働組合の
 意義と役割」と題して講演します。●興味のある方、ぜひご参加くださ
 い。(存)
 ■日時 2012年12月16日(日)13:00〜17:00
 ■参加費 1000円
 ※東部労組とジャパンユニオン組合員およびNPO法人労働相談センタ
 ーのボランティア登録者は無料
 ■場所 NPO法人労働相談センター・全国一般東京東部労組事務所
(京成青砥駅下車3分・東京都葛飾区青戸3−33−3野々村ビル1階)


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