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小さなアリは巨象に挑む ─読売新聞との訴訟に際して私たち七つ森書館の考え
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みなさまへ

一部で報道されましたが、去る4月11日、私たち七つ森書館が読売新聞東京本社
によって提訴されましたので、その経緯をご報告し私たちの考えを述べさせてい
ただきます。

今後、さまざまな展開が予想されますし、多大な訴訟費用も必要になると思いま
すが、全力で闘い抜く所存です。「七つ森通信」などで逐次ご報告しますが、ご
支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

より詳しい説明(A4、3ページ)もご用意しております。ご連絡をいただけれ
ば、お送りいたします。

取り急ぎ失礼いたします。東京地方は春らしい日が続いていますが、朝夕は冷え
ることもありますので、どうぞご自愛ください。

    株式会社 七つ森書館
     代表取締役 中里英章

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小さなアリは巨象に挑む
──読売新聞との訴訟に際して私たち七つ森書館の考え──

読売新聞社は発行部数1000万部を誇るメディア界の巨象です。
巨象が、内部告発者とスタッフわずか5人の小出版社に襲いかかったのですが、
アリのように小さな存在が巨象に挑んでいるのです。

 2011年11月11日、読売ジャイアンツの清武英利球団代表・GMが、球団会長で読
売新聞社主筆の渡邉恒雄氏に重大なコンプライアンス違反があると告発する記者
会見をおこないました。そのため、清武氏は解任されたばかりか、1億円の損害
賠償訴訟をおこされたのですが、元気に闘っています。

 私たち七つ森書館はスタッフ5人の小出版社で、『高木仁三郎著作集』『原子
力市民年鑑』『自然エネルギー白書』など脱原発系の本を中心に広く社会の問題
を考える本を出版してきました。3.11後の時代にあって注目をあつめる出版社だ
と自負しています。昨年から「ノンフィクションシリーズ“人間”」の刊行を開始
しました。ドキュメンタリーの良書を復刊し世に広める企画です。監修・解説は
評論家の佐高信氏で、すでに6冊を発行しています。このシリーズに『会長はな
ぜ自殺したか──金融腐敗=呪縛の検証』(読売新聞社会部。1998年新潮社刊、
2000年新潮文庫)を入れようと企画し、2010年12月から読売新聞社と交渉を始め
ました。交渉は順調に進み、著者名を「読売社会部清武班」とすることも合意
し、2011年5月9日に出版契約を結んだのです。本書の取材記者もつとめた読売新
聞社会部次長(当時)が交渉の窓口となって読売新聞社の法務部門と協議した上
で結ばれた出版契約です。

 その半年後に、清武氏の内部告発です。2011年12月1日、読売新聞社は七つ森
書館に「出版契約を解除したい。補償はお金でする」と申し入れてきました。私
たちは「良書を復刊するのが『ノンフィクションシリーズ“人間”』の目的です」
と理解を求めました。読売新聞社は代理人同士の交渉もうまくいかないと見るや
「出版契約無効確認請求事件」として東京地裁へ提訴しました。2012年4月11日
のことです。

 読売新聞社の主張は「読売新聞社において、出版契約は局長が了解・決定する
のが通例であるが、今回はそのような手続きが実行されていなかった。権限を有
していない社会部次長が署名しているから無効である」というものです。出版契
約にいたるプロセスをまったく無視しているばかりか、読売新聞社内の規則にす
ぎないものを社会一般の論理と見せかけて押し通すものにほかなりません。出版
差し止め訴訟へ持ち込めなかったのです。

 巨大メディアである読売新聞社が、小出版社の七つ森書館を訴えることによっ
て出版を妨害したのです。多大な時間と訴訟費用の浪費を迫り、自らの主張を押
し通そうとするものです。われわれジャーナリストにとって社会的正義は何より
も重く、言論・表現の自由は社会的正義を守り抜くためにあることを忘れてはな
りません。

 この数十年で、どれだけの巨大企業が膨大な利潤を奪っていったことでしょ
う。どれだけ多くの貧困層が生まれていったことでしょう。このような社会の矛
盾を監視していくのがジャーナリストの眼なのです。清武氏は本書執筆中に、経
営陣に対して「おかしいじゃないですか」と叫んだ社員の声が忘れられないとい
います。私たちアリのように小さな存在が、巨象のように大きな読売新聞社に対
して、おかしいことはおかしいと言って誤りを正していくことが重要だと思うの
です。少年少女のような考え方かもしれませんが、私たちは少年少女時代の美し
い心を忘れません。

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連絡先
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〒113-0033
東京都文京区本郷3-13-3 三富ビル
株式会社 七つ森書館
TEL. 03-3818-9311
FAX. 03-3818-9312
URL:http://www.pen.co.jp/
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