本文の先頭へ
真実を求めて1ヶ月〜韓国・独立メディア記者が見た日本
Home 検索
*レイバーネットMLから

安田(ゆ)です。

2月21日に来日した韓国の独立メディア記者/活動家のチョン・ジェウン/朴ドヨ
ンのコンビが帰国し、大半の日程に同行し、通訳兼ガイドをした嵐のような1か
月が終わって、僕も日常に戻ります。
今回の取材旅行では、メディアチャンポンやレイバーネットの会員にも多くの支
援やアドバイスをいただき、何人かのレイバーネット会員からはインタビューも
させてもらいました。

この間の取材を通じ、韓国の「メディア忠清」に掲載されたチョン・ジェウン氏
が書いた記事はこれまでに20本を超えています。取材費がないので移動はバスと
徒歩、宿舎はメディア活動家の家、食べ物はインスタントラーメン、という、無
茶苦茶ハードなスケジュールでした。
取材の意図は、「何が『真実』なのか、自分で確かめる」ことでした。
韓国のマスメディアも地震や津波、原発事故については、膨大な情報を吐き出し
ていますが、ほとんどの記事が日本での報道の引き写しか焼き直し、あるいは数
日の滞在で見聞きした内容でしかなく、「情報はあっても『真実』が見えない」
と感じたそうです。未曾有の大惨事を経験した日本の人々が何を感じ、どうしよ
うとしているのか、1か月間、さまざまな人の話を聞いて「真実」を見つけた
かったと言います。
記者のチョン・ジェウンさんは、双竜自動車の77日間のストライキの時、工場内
に立てこもっていた記者の一人で、また、最近の江汀村の反基地闘争ではやはり
長期間、江汀に滞在して記事を書いてきたそうです。現場の空気を感じて、その
中から「真実」を見つけるタイプのジャーナリストなのでしょう。
今回、彼女が日本で見つけた「真実」が、われわれ日本人が感じている「真実」
と同じなのかどうかはわかりません。日本人だから見える真実、外国人だから見
える真実があるのでしょう。
彼女と話をしていて面白かったことはいくつかあります。最近日本の反原発運動
の中ではかなり広く共有されていると思うのですが、原発は差別の中で存在す
る、という発想は韓国にはないとのことですが、「言われてみれば韓国でも原発
は差別そのものだ」と気がついたという話。
また、彼女は「放射能」を感じることができるそうで、線量が高いところでは口
の中に金属的な味を感じたり、胃のあたりがむかむかしかり、肌がピリピリする
そうです。日本でも福島の人などからそのようなことがあるという話を聞いてい
ましたが、そんな話を知らない彼女から、福島に入っていきなり「何か変な味が
しませんか?」と聞かれた時には正直、驚きました。「もしかしてお腹も何か変
じゃない?」と聞くと、「胃のあたりがむかむかする」というのです。その後も
福島や郡山など比較的線量が高い地域で、どうようの感覚を感じたそうです。い
ろいろ話を聞くと、単なる暗示や気のせいというわけでもなさそうですが、本当
に放射線や放射能によるものかどうかは別として、実際に何かを感じているよう
です。
そして、自分の体で変調を感じた彼女が見つけた別の「真実」は、「体で感じら
れる異常の中で生活しなければならない人々」や「そこから逃げ出さなければな
らなかった人々」の苦しみでした。
この他に、J-ビレッジの前まで行った時に起きたちょっとしたハプニングで、原
発を巡る喜劇的なまでの虚構性という「真実」を彼女は発見します。
1か月という時間は、長いようで短いもので、取材し、歩きまわり、記事を書く
時間であっという間で、本当なら農民や政治家、学者、官僚、東電などにも取材
をしたかったところですが、とてもそこまでの余裕はなく、決して十分とは言え
ませんし、日本人の目から見れば少し妙な部分も少なくありませんが、それでも
地震・津波・原発という重層的な災害の中を生きる人々の気持ちのいくらかを韓
国に伝えることができたのではないかと思います。

彼女が日本で書いた記事を翻訳して紹介したいような気もしますが、これだけの
量を翻訳するのも大変なので、そのうち気が向いたら、ということで題目とURL
だけを以下に紹介しておきます。


「東日本大震災から1年、現場を行く」一覧 メディア忠清・チョン・ジェウン記者

1. "放射能は心配していないが、福島には行かない"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=22980
2. "福島の子供のための病院は、我々が作る"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=23116
3. 最悪の状況を適用して食べろ、安心か?
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=23205
4. 放射能の恐怖の悪循環... 犠牲者は語らない
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=23334
5. まっ暗な夜に星が輝く... 3.11を忘れないために
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=23451
6. 避難民"3.11から1週間後に東京に着いて泣いた"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=23522
7. 戻れるか? 30年後には私は天国に
何の展望もなくここに... "原発は絶対にだめだ"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=23820
8. 原発から20km 赤色灯から出てくる労働者
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=24023
9. "原発は貧困と差別の象徴である"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=24378
10. 日本の"被爆労働を考えるネットワーク"発足予定
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=24383
11. "事​​故収拾を口実に青年の働く権利を奪っている"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=24615
12. 3.11以後に深まった労組の悩み 1
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=24610
13. 低い危険手当... "1日15分の作業"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=24612
14. 3.11以後に深まった労組の悩み 2
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=24831
15. 放射能のゴミの山、日本では暫定貯蔵施設も決められず
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=25051
16. 状況はさらに悪く...約束のない生活を続ける自主避難者
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=25437
17. "被災地をどんな共同体に? これからが重要"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=25504
18. 3.11 1周年、日本全域で"脱原発"を要求
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=26001
19. "人海戦術で下請け労働者を原発に投入"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=26115
20. "福島知事との面談...拒否されて座り込み"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=26172
21. 3月11日2時46分、時間が止まったところ
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=26685
22. "日本特有の自粛ムードが気持ち悪くて反原発"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=27077
23. 原発再起動? "寝た子を起こすな"
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=27145

番外 原発20km、警察と日本の真実攻防?
http://www.cmedia.or.kr/news/view.php?board=news&nid=25549





Created by staff01. Last modified on 2012-03-19 19:18:47 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について