司法記者クラブで会見〜キヤノン非正規争議・勝利和解の大きな意義 | |
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キヤノン争議の被解雇原告、正社員雇用2名を含む勝利和解既報の通り12月20日、深夜に及んだ東京都労働委員会における和解協議を経て、同争議の被解雇原告5名は キヤノン非正規労働者組合、組合員5名、キヤノン株式会社が開示に合意した内容は、以下の通り。 雇用を実現できなかった3名についても、解雇撤回に匹敵すると評価しうる解決金が支払われることとなった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以下は会見に臨んだ、原告5名のうちのひとり・阿久津真一さんと、訴訟代理人のコメント(発言順) ●久保木亮介弁護士 私が知る限り、キヤノンのような大企業と偽装請負で争った事件で、「正社員として2名を雇用する」といった解決は例がない。 加えて、和解の中で是正指導を受けたことに言及し、「再発防止に向けた不断の取組を続ける」ときちんと言明させたことは非常に大きな意味を持つ。 ●笹山尚人弁護士 キヤノンのような大企業が、大きな違法状態を長期に渡って継続して、原告らの就労の権利を侵害し続けたということは、極めて社会的な問題。残念ながら訴訟の場で“判決”というかたちで救済に結びつかない事例が多く見られる中で、原告らがこのたび権利を回復したことは、彼ら自身の救済になると共に、同種の問題に苦しむみなさんにも救いの光になるだろう。同時に、「同様の行為が繰り返されてはいけない」ということが、キヤノンやその他大企業に対しての警鐘になったのではないかと自負している。 ●萩尾健太弁護士(写真上) 裁判所も、栃木県労働局に対して是正指導の際のさまざまな資料を文書提出するよう命令するなど、本和解への役割は果たしてくれた。ただ、我々は裁判所の提示した和解の金額に納得できなかったため、東京都労働委員会で継続して交渉し、和解に到達した。 労働委員会は、“労働者の団結権の保護機関”としての役割を発揮してくれた。 ●阿久津真一執行委員長(キヤノン非正規労働者組合) 2000年からキヤノンで、正社員の半分ほどの賃金に過ぎなくても、職場のリーダーを任されるなど一生懸命働いてきた。3ヶ月や6ヶ月の契約を繰り返しながら、がんばってきた。2006年夏、新聞等で偽装請負について大きく報道され、自分たちもまさにその通りの働き方をしていることを知り、「正社員になって安心して働きたい。生産に打ち込みたい。それこそがキヤノンにとっても自分たちにとってもいいことだ」と思って上司に相談したときから、私たちの運動は始まった。 しかし残念ながらキヤノンの回答は「この職場は請負にはふさわしくないから、派遣に戻す」というものだったため、「組合をつくって、労働局に偽装請負を訴えることでしか正社員にはなれない」と組合を立ち上げた。 組合をつくってから6年2ヶ月、解雇されてから3年4ヶ月、私たちは常にキヤノンに対して真摯に話し合うよう申し込んできたが、残念ながら話し合いがされないまま、事件は長期化した。その中で、多くのみなさんのご支援をいただき、弁護団の尽力もあり、この12月20日、キヤノンと和解を取り交わすことができた。 同様の裁判で、「派遣法違反をしていることを派遣元も派遣先も判ってやっている」と裁判所も認定しながらも損害賠償すら認めないような判決が続くなかで、私たちの解決が「明確に派遣先であるキヤノンの責任を認め、正社員として戻す」という救済がされたことには、大きな意義があると考えている。 松下PDPの最高裁不当判決以降、「偽装請負・違法派遣では訴訟すら起こせない。違法があっても声すら上げられない」という状況にある中で、「ダメなものはダメだ」と労働者が声を上げられる・・・。私たちの解決がそういう解決になるよう本当に願っている。勝利解決というかたちでこの争議を終えられたということは、みなさんの支援のおかげだと思っています。この場を借りて、改めてお礼を申し上げたいと思います。 ●横山雅弁護士 企業の違法状態を告発した当事者が職を失うという不当が常態化し、裁判所においても妥当な判決が出ない・・・という、多くの労働者が厳しい状況に置かれた中で、原告のみなさんの奮闘があり、このような解決に至ったことは、社会的に大きな意義がある。 報告・写真=杭迫隆太 Created by staff01. Last modified on 2012-12-29 00:25:10 Copyright: Default |