7.6官邸前「青年の姿―そこにはモラルがあった」(志真斗美恵) | |||||||
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青年の姿――そこにはモラルがあった志真 斗美恵昨日(7月6日)の首相官邸・国会前の原子力発電所再稼動反対行動に参加した。 6時ごろ地下鉄国会議事堂前駅に到着したが、すでに舗道は人でうずまり、首相官邸前までは行き着けなかった。 人びとは、手作りのさまざまなプラカートをもち、声をあわせて叫んでいる。自発的に誰かがシュプレヒコールを先導し、周囲の人が声をあわせ繰り返す。だれに言われたわけでもない、交通費や日当を貰って参加しているわけではない幾万もの人びとが、自発的に集まってきている。メイン会場へたどりつけなくとも、舗道上で、手作りの、工夫をこらしたプラカートや旗やうちわを持ち――アジサイの花やひまわりを手にした人もいる――声をあわせてる。 舗道の切れ目になると、その先に進めないよう規制する即席の柵がある。そのような柵と柵の間の路上には、主催者が用意した誘導の黄色い旗をもった人が立っている。そのボランティアには若い男女が目立った。 そこで私は、前へ進めなくなってしまい、国会議事堂に向かい、柵の傍で声をあげていた。柵の向こうは、誘導の旗を持った人、取材のカメラマンなどがいる。そこは私たちがいるところよりは、すこし余裕があり、雨でぬれたアスファルトが見える。 そのとき、目の前にいる誘導の旗を持った青年の姿に、私は少々驚いた。彼は、黒っぽいTシャツを着てリュックを背負い、ズボンは、同じような色のニッカボッカ、地下足袋をはいている。要するに、かれは、工事現場の作業を終えて参加し、その役割を担っているのだ。 そこに、どこからか空になったペットボトルが、カラカラと、彼の立っているところから1〜2メートルのところにころがってきた。ちょっと間が開いて、かれが数歩出てきて、その空のペットポトルをさりげなく拾った。 私は、強くなってきた雨の中、傘をさし、声をあげながらその様子をみていた。もちろん、傘もささずに誘導の仕事を担当していた彼は、ころがってきたペットボトルをひろった。 たったそれだけのことではあった。だが、この抗議行動の素晴らしさを、ここに私は見たような気がする。かれの姿に接することができただけで、この日の私には充分だった。何かが変わる気配がある。そこには、私たちがもつべきモラルがあった。 *写真は官邸前デモの誘導係(撮影=レイバーネット)。本文と直接関係はありません Created by staff01. Last modified on 2012-07-08 11:19:19 Copyright: Default |