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東電総会レポート : 「戦争犯罪人」と糾弾した株主も
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福島第一原子力発電所の大惨事から1年3か月しか経過していないのに、6月27日に開催された第88回東京電力株主総会は、怒号が飛んだ昨年の勢いをすでに失っていた。

4462名が参加した株主総会には、筆頭株主である東京都から猪瀬直樹副知事も出席。日本原子力発電の非常勤取締役として再任が内定している勝俣恒久会長に、再任を辞退するよう迫った。事故直後の昨年の総会には9000人以上が参加した。

個人株主からは、原発は東電がやりたくてやったのか自民党におしつけられたのかを問い詰める声もあり、会社を「戦争犯罪人」だと糾弾した人もいた。

福島県から他県に避難した株主は、昨年会長と社長から「誠意をもって対応していきたい」という直筆の手紙をもらったが、その言葉通りの対応が見られないと指摘があった。この株主は、「東電は、『被害をうけた福島の方がたに寄り添って対応する』と言ったが、福島の実情を完全に理解せずに賠償問題など様々なことが進められている」と語り、取締役員とその家族が福島県内に移住してはじめて理解できると詰め寄った。

総会中、事故の責任追及は繰り返しあったが、その多くは今回の原発事故の責任は国にあるとする発言だった。

脱原発・東電株主運動の木村結氏は、25人発言した株主のうち全員が男性であり、会社に動員された株主からの発言が多かったと話した。動員されたと思われる株主は、何を質問していいのかわからない状態であったり、議長を務めた勝俣会長は指名する発言者をすでに把握しているようにも映ったという。

最後に、はじめて女性の発言者として指名された株主は、東電が賠償の対応について「親身・親切に」とか「寄り添う」といった言葉を使っているが、これは加害者の使う言葉ではないと指摘。「この言葉から、心の奥では今回の事故は天災で人災ではなかったと思っていることがわかる」

20年ぶりに株主総会に出席したという武藤類子氏は、この間なに一つ会社の体質が変わっていないことを実感。「株主総会の茶番さかげんに本当に腹が立つ」と総会後の集会で発言した。

総会では、事故以後の株価急落や事故の対応、給与や賞与の削減で、仕事へのモチベーションが見つからず精神的に病んでしまう社員を心配する声もあった。東電によると、これまでに500件以上の精神科関連の電話相談やカウンセラーとの面接などがあったという。

会長に新任した下河邊和彦氏は、東電社員と「心をひとつにして誠心誠意つくしていく。新生東電の前進のために理解をたまわるよう、お願いする」と会を閉めた。(松元ちえ)


Created by staff01. Last modified on 2012-06-27 18:20:05 Copyright: Default

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