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関越道高速バス事故に想う〜人間は夜眠るようにできている
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元都営交通年休裁判原告の中山です。

関越道での深夜バスの事故、正しく起こるべきして起きた事故です。職場の簡単な報告をしながら論じたいと思います。

昨日の毎日新聞によると、運転手は事故前日も東京→金沢の乗務をし、事故当日は金沢→東京を乗務したとあります。つまり、行きの乗務を終えたのは深夜勤務のため事故前日ではなく、事故当日です。その日はホテルで仮眠を取り、その日のうちに帰りの乗務をしたことになります。

机上の論理では、朝、乗務を終え、夜から再び乗務ですからその間は十分な休憩を取れる時間を確保しているかのように思えます。ただ、人間の身体って、そんな電卓を弾いて答えがでるような単純なものではありません。

時間さえ確保できていれば、休憩なんて昼間取ろうが夜間取ろうが関係なし、同じだって考えているのは資本家の論理であって、労働者の論理じゃありません。
人間は昼、活動して、夜、眠るようにできています。そのため、体内のホルモンには身体が深い眠りに着く深夜時間帯を狙って分泌されるものが数多くあり、深夜労働をすれば、それらホルモンの分泌が阻害されてしまいます。日中に十二分に眠ればいいじゃないかとのご指摘を受けそうですが、日中は明るさや気温、騒音など周りの環境が夜間とは大きく異なっていて、全く同じ条件で眠るとことができません。

私も朝8時50分出勤、翌朝9時20分退勤の地下鉄職員ですからよく判るのですが、明け番で家に帰っても日中はウトウトするだけで眠れないですね。たまに、他の方から「イビキをかいて寝てたよ」って言われることがありますが、イビキをかく=身体は眠っていても脳は眠っていない(これを「レム=覚醒・睡眠」といいます)ので、熟睡しているかのように思われがちですが、実際には疲労回復には繋がりません。

私なんぞ改札で毎日のように欠伸を繰り返し、ショボショボした目で勤務をこなしているのが現状なんです。もし私が今回の運転手のようにハードな乗務をこなしていたならおそらく居眠り運転をしていても全くおかしくないと思います。

余談ですが、私が以前、多くの反対を押し切るかたちで裁判をやったのも、例えどんなに給料水準が高くても、身体を休ませられなければ行き詰まってしまうからでした。決してカネの問題じゃありません。明日の安全を守るために必要な休養が欲しかっただけなんです。

当局は勿論、裁判所も訴えを棄却し、監督官庁である国土交通省も相手にしてくれませんでした。

しかし、他山の石、今回のように大事故が起きないと、人が死なないと動き出さない交通行政に怒りを覚えます。

今回の事故で犠牲となられた皆さまに哀悼の御霊を捧げます。合掌

中山一郎(禅海一玄)拝


Created by staff01. Last modified on 2012-05-01 11:02:40 Copyright: Default

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