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LNJ Logo 報告:山谷で反失業総決起集会開かれる
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福島原子力発電所での事故処理のために、多くの仲間が線量管理下で働く日雇い労働者たちが1月9日、東京の山谷地区として知られる台東区清川にある公園に集まった。

 この日雇全協反失業総決起集会には、渋谷や多摩地区、寿、名古屋、釜ヶ崎と全国からおよそ200名が結集し「仕事をよこせ!」と訴えた。

 政府が「労働の義務化」を課す中で、労働者たちが求めるものは、まず「労働の権利」「就労の機会」である。しかし、この不況下で選択肢としてあるのは、原発のような危険区域での仕事。「賃金をもらっても(健康が)回復することは決してないのが被ばく労働。追いつめられた者たちが超多重層請負で働くのが原発。そして原発は過疎地のような追いつめられたところにしか建たない。もう原発を再稼働させてはならない」と訴えたのは、釜ヶ崎日雇い労働組合。

 山谷の日雇全協メンバーからは「原発で働きたくて働いている仲間はいない。みんな必要にかられて命削って働いているんだ」との発言があった。現在関東圏でさえも、多くの下請け労働者が、水道局や清掃局で高濃度の汚泥を扱っているという。「オレたちが守らないで、原発労働者をだれが守るんだ」例年の年末年始の山谷での炊き出しには、30代・40代で原発敷地内でのがれき撤去作業をした人や、除染作業をしているという人も足を運んだ。

 集会には、5月から原発労働者への相談をはじめたいわき自由労働組合も参加した。書記長の桂武さんは、2月か3月頃に再度、地域内の仮設住宅や集合住宅へ相談案内のビラを撒き、労働者の声が届きやすいルートつくる予定だという。

 日雇い仕事や、超多重層請負構造の中で働く仲間たちは、不安定な雇用や不当な天引きからの低賃金で、路上生活を強いられていることが多い。

 その他、各地からの訴えでは、公共の場ともいわれる公園(渋谷・宮下公園)や河川敷(荒川、竪川)が、民間企業のスポーツ施設などの建設予定地とされ、長年の居場所としてきた野宿労働者が排除されている構図が見えた。また一方で、居場所を失った若者たちが野宿者を襲撃するという事件も起き、「貧しい者同士が居場所を奪われ、お互いを傷つけあうことになっている。」

 この集会は毎年この時期に行われ、26、7年前に暴力団に虐殺された映像活動家たちの弔いとなっている。映画『山谷(やま) やられたらやりかえせ』は、日雇い労働者と手配師との闘いを描いた作品として広く知られている。(松元ちえ)

ーー〔追記〕ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これまで都内を中心にいろいろな地域でのいろいろな趣旨のデモに参加したことがあるが、完全武装の警備隊に囲まれたデモは初めてだった。1月9日の山谷・日雇労働組合全国協議会の反失業総決起集会のデモでのこと。

 台東区にある玉姫公園での集会が終わった後、どこに隠れていたのか、ヘルメットに防弾チョッキ(のように見えるが、Wikipediaによると「防護ベスト」と呼ばれ、新型であれば30口径程度までの防弾性能があるとか)、ポリカーボネート製や鉄製の盾を手にした機動隊が現れた。デモ隊は200人程度で、平均年齢は60歳くらい。日頃、路上で寝泊まりすることが多いこのおっちゃんたちが、いったい何をしでかすというのか。この武装は不思議だった。

 行進するデモ隊と並行して、機動隊や地元警察がそれを囲むというのは通常見られる景色だが、山谷では機動隊が横道をもふさぐ。ヘルメットのガードを下げて布製マスクと警棒を着用し、盾をデモ隊に向けて並ぶ隊員。マスクは顔を隠すためだと推測した人が多かった。

 1970年代から毎年この時期に行われている日雇全協の反失業デモでは「以前から完全武装の機動隊が、通常は上げている顔のガードをはじめから下ろして登場する一種珍しい機会だった」という。

 当時、日雇いの仕事を牛耳っていた地元に根差す国粋会との対立で、暴動事件と発展したことを考えると、この光景は当然のことなのかもしれない。参加していた地元の日雇い労働者などは「昔はもっとひどかった」と声をそろえた。

 国粋会の事務所がある横道には、機動隊が三重にも四重にもなって護衛していた。隊員たちは、右足を一歩前に出し、いつでも出動できるような態勢で身構える。交差点を曲がるときには、そのつど前列から「デモ隊、右へ!」とか「左へ!」などと口頭で伝達する。

 30分もかからないこのデモの最終地点である玉姫公園前では、デモ隊横の機動隊が前列で両手を前に出し、その後ろを警察官が立ち並ぶ。前方には、プラスターグラスの盾を構えた隊列の後ろにさらに二重の機動隊が待機する。

 私を含めた数人が、この滑稽な光景をカメラに収めようと入口付近にたむろしていると、機動隊は「速やかに公園に入りなさい!」と叫び、ザッザッザッと相撲力士のすり足のような形で押し込んできた。

 これも初めてだった。

そして、出発と到達地点には、マスコミが大勢詰めかけたのか?!と思いきや、公安警察のカメラマンだった。映像とスチルとで、ざっと10人ほど。

 新宿などで頻繁に見られるようになった、サウンドデモにへばりつく警察官の人数や態勢も大げさだと思ったが、この山谷での超特別警備には笑うしかなかった。

 この状況をツイッターで報告したところ、「コスプレ?」「防弾チョッキも防護マスクもつけてフクイチへ行け」「暇なのか?」「これは酷い。言葉を失う」「警備員増員体制をする理由がわからない」「この熱心さをもっと有効なことに使ってほしい」「日本はいつのまにか『軍事独裁政権の国』になっていたのか?」など、さまざまな意見が寄せられた。

 「昔」はこうだったかもしれない。しかし、いまや山谷での仕事は(残念ながら)激減し、野宿日雇い労働者も高齢化し、街に以前の活気はない。というか、それ以前に、どちらが搾取され暴力行為の被害者なのかを見極めてほしい。護衛する方を取り間違えているのではないかと、国内どこのデモ警備を見ても思う。過去に一時、これだけの過重警備を必要とした時期があったかもしれないが、考えもなく惰性でその態勢を受け継ぐのではなく、毎年時勢に沿った警備を執行してほしい・・・と、納税者としても一市民としても切に願う。


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