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情報提供 : 飛幡祐規(パリ)

パリ日本大使館から仏日刊紙リベラシオンへ送られた書簡

経過

7月27日、リベラシオン紙のインターネット版liberation.frは、7月19日にコラッセ福島で、福島県の6市民団体が原子力災害現地対策本部と行った交渉の様子を撮影したビデオ(短縮版、仏語字幕つき)をアップした。このビデオのバージョンはいくつかあり、英語字幕つき短縮版の出典(YouTube pejorativeglutユーザーにより7月23日にアップ)を明記した上で、このビデオが8万回近く見られて論議を巻き起こしたことを伝えた。記事では、モンタージュにより劇的効果が強まっている(英語ブログJapan Probe上での指摘)点に触れた後、権限を持たない役人に食い下がる人々をとらえた強烈な映像は、福島住民たちの不安と絶望の深さを示していると評している。
http://www.liberation.fr/terre/06013968-a-fukushima-les-habitants-veulent-des-reponses

このリベラシオン紙インターネット版におけるビデオ放映後、パリ日本大使館が「現地での日本政府の対応について、詳しく説明したい」と、リベラシオン紙に公開書簡を送った。その内容が8月17日に同じくリベラシオン紙インターネット版に掲載された。

http://www.liberation.fr/monde/01012354630-une-lettre-de-l-ambassade-du-japon-a-paris 

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パリ日本大使館からの書簡

編集長

 「福島では、住民が回答を求めている」というタイトルで、貴紙のインターネット版に2011年7月27日に掲載された記事を拝読し、ビデオを拝見したところ (http://www.liberation.fr/terre/06013968-a-fukushima-les-habitants-veulent-des-reponses)、状況を回復させるために日本当局がとっている対策について、これら記事とビデオが貴紙の読者を惑わせるかもしれないと私には思われました。したがって、現在の日本の状況について、ここで詳しい説明をさせていただきたいと存じます。

 被災地域の状況について、公衆はむろん、いろいろな筋から情報を得ることができなくてはなりません。しかしながら、誤解を生じさせるあらゆる危険を避けるために、現地で行われている措置を正しく理解することも、同じように重要です。したがって私は、貴紙のインターネット・サイトにこの書簡が掲載されることを望みます。

 日本政府は現在、福島県から避難した住民を救済し、彼らに対する放射性物質被曝の危険を予防し、彼らの健康に留意するために、全力を尽くしております。貴紙のサイトに掲載され、英語で"Japanese government killing its own people in Fukushima"というタイトルで字幕のつけられたビデオに描かれた状況は、現実とはほど遠いものです。

 そのうえ、このビデオには、自分たちの住む地域が避難区域に含まれることを請願する住民たちが描かれています。避難区域の制定については、福島第一原子力発電所の状況がいまだ完全には復旧されていないため、日本の当局は国際放射線防護委員会(CIPR)が緊急時における住民の防護のために定めた規準を適用し、現時点においても、計画的避難区域と緊急時避難準備区域を制定しつづけています。

 政府はまた、警戒区域以外の地域に住む住民に対して、避難したほうが望ましいと判断する者は自主的に避難を行うよう、呼びかけています。それらの人々は、仮設住宅(民間の貸住宅を含む)の割り当てなど、災害対策基本法(Disaster Relief Act)に定められたように、国家によるあらゆる援助を得ています。

 さらに、このビデオには、子どもの尿検査をしてほしいという人々の請願を、当局の代表者が拒む場面が映されています。まず、この代表者は原子力災害現地対策本部の室長であり、彼の拒否は、その尿検査を現地で直接行うことはできないという、物理的な事情から出たものであることをお伝えします。

 私はまた、住民の不安を消し去り、健康を保証し信頼を維持するために、福島県当局が、県内に2011年3月11日以降住んでいる者全員を対象にした健康調査キャンペーンを設置したことを強調したく存じます。ベースとなる健康問診票(質問紙調査)を含む健康診査の結果に応じて、必要のある住民には、尿検査とより精密な検査が実施される予定です。

 最後に、貴サイトの記事に、"Time Out Tokyo"というサイト上で閲覧可能と紹介される、子どもたちの危険な日常環境を批判する母親が出てくるビデオがありますが、子どもと妊婦の被曝線量の測定は、前述した健康調査キャンペーンの構成要素となっております。いくつかの地域では既に、それらの先行調査が行われました。さらに、日本政府のメンバーは、子どもの生活空間における放射線線量を減らすための措置をとっております。具体的には、空間線量が1mSv/時(原文ママ)以上の校庭においては校長、公園や通学路においては地方自治体がとる放射線防護措置について、日本政府は財政援助を行っています。

 日本政府は今日、なんとしてでも被災した住民を援助し、被曝の危険から守り、良好な健康が維持されるように見守るために、最善を尽くしております。貴紙の協力のもとに、貴紙の読者たちにそのことを伝えられるよう、私たちは期待しております。 敬具
在パリ日本大使館文化担当参事官 志水史雄


Created by staff01. Last modified on 2011-08-22 12:29:59 Copyright: Default

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