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LNJ Logo JR廃止線、史上初の復活へ 住民運動実る/安全問題研究会
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黒鉄好@安全問題研究会です。

2003年に一部区間が廃止されたJR可部線(広島県)で、廃止区間の一部が復活することになりました。JR廃止線の復活は史上初めてとのことであり、復活を求めてきた地元住民の運動があげた巨大な勝利だと思います。

以下、ブログから転載です。

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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110204-OYT1T00091.htm(読売新聞)より

JR廃線、初の復活…広島市の可部線

 広島市は、8年前に廃止されたJR可部線の可部―旧河戸間(安佐北区)約2キロを電化して復活させる方針を固めた。

 2011年度に着工、13年度の完成を目指し、JR西日本の事業化判断を待って運転を開始する見込み。国土交通省によると、廃止路線の復活はJRでは初という。

 市などによると、可部駅から西に延びる廃線敷を活用し、新駅は終点と中間の2駅を設置。この区間で1日平均約2000人の利用を見込んでいる。事業費の3分の1を国が負担し、残りを市とJR西で負担する方向で協議する。可部線は赤字のため、03年11月末、未電化区間の可部―旧三段峡(46・2キロ)間が廃止に。旧河戸駅周辺は商業施設や住宅地などの開発が進んでおり、住民から再開を望む声が上がっていた。市とJR西などは08年に協議会をつくり、10年2月、電化延伸案をまとめていた。
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2003年11月30日限りで廃止となった可部線の可部〜三段峡間のうち、可部〜河戸間が電化の上、既存の横川〜可部間に接続する形で復活することになった。記事にもあるように、廃止されたJR線の復活は史上初めてであり、在来線に関しては久しぶりに明るいニュースである。

廃止された区間46.2kmに対し、復活する区間はたったの2kmに過ぎないが、当ブログはこれを無駄なことだとは思わない。在来線に関しては縮小・廃止しか考えていなかったJR、「儲かる区間は自分が取り、儲からない区間は地方移管」で23年間、地方に痛みを押しつけ続け、地域崩壊と「買い物難民」発生の主犯であり続けてきたJRに、初めて地域住民の意思を強制することができたのだ。鉄道史に燦然と輝く巨大な前進といえよう。

可部線の歴史は赤字との闘いでもあった。1968年、総裁の諮問を受けた「国鉄諮問委員会」が、歴史的使命を終えたローカル線として83線の廃止を答申した「赤字83線問題」が発生したとき、その1つに選定されたのが可部線だった。この答申には法的強制力がなかったため、実際に廃止されたのは15線にとどまり、可部線も生き残った。その後、国鉄再建法成立(1980年)に伴い、浜田(島根県)への延長を目指して進められていた工事は凍結となったが、可部線自体は特定地方交通線への選定は行われなかった。しかし、90年代末から可部〜三段峡間46.2kmの廃止が表面化した。

沿線では、2003年の部分廃止後も、太田川流域鉄道再生協会(http://www5a.biglobe.ne.jp/~kabeline/)による復活運動が2005年まで続いた。この団体が募集した復活費のカンパはわずか720万円しか集まらず、1両数億円といわれるレールバス購入費にさえ遠く及ばなかった。2005年、太田川流域鉄道再生協会は復活運動を中止、カンパを出資者に返還して解散したが、可部〜河戸間だけは広島市街地の郊外への延伸に伴い、復活を求める運動が続いていた。

今回復活する可部〜河戸間に関しては、2003年の部分廃止の際に、広島市とJR西日本との間で「いずれ復活させる」との密約が交わされていたと主張する声もある。しかし、たとえそのような密約が存在したとしても、地域住民の粘り強い運動なくして復活はあり得なかったに違いない。私たちは地域住民の運動を決して過小評価してはならないのである。

たとえ不採算であろうとも、公共交通として地域住民が必要だと判断するならそれは残らなければならないし、地域住民が復活を望むならそれは復活しなければならない。そんな当たり前のことが当たり前のこととして実現するまでに「民営化」から実に四半世紀もの時間を必要とした。そのような地域社会と公共交通の徹底的な破壊をもたらした国鉄「民営化」の本質をもう一度考え、公共の福祉に適合する新たな経営形態を確立する運動につなげなければならないと当ブログは考える。

今、政権交代への期待は急速に衰え、菅民主党政権は小泉・竹中ラインですら踏み込めなかった究極の市場原理主義へまっしぐらに突き進んでいる。国民の願いをかなえるためには、もはやこの内閣が倒れるまで徹底的に対決する以外にないというところまで来ている。そうした逆流の嵐の中で、市場原理主義の象徴だったJRに公共交通としての役割を強制した広島市民の運動はかけがえのない価値を持っている。それは、法人税減税と消費税増税、TPPによる農業・地域社会破壊へ突き進む菅政権に対し、地方から示された「明らかな回答」である。

さて、当ブログ管理人は鉄道ファンとして全国全線完全乗車に取り組んでいるが、完乗ルールでは廃止路線の復活は全く想定しておらず、可部〜河戸間が復活した場合にこの区間を「乗り直し」の対象とすべきかどうか考えなければならない。すでに当ブログ管理人は部分廃止区間も含めた可部線全線に乗車しており、復活する区間がかつて廃止された区間の一部と完全に重複している以上、乗車記録の補正を行えば乗り直しの必要はないように思える。一方、復活区間を新規開業と考えるなら、乗り直しをすべきだという考えもまた説得力を持っている。

最終結論はいずれ出したいと思うが、JR史上初の廃止区間一部復活であり、復活区間とその沿線住民に謝意を示す必要があること、また復活区間に乗車しなかった場合、一定程度の鉄道ファン仲間から「全線完乗と認めない」という意見が出るおそれがあることを考慮すれば、将来は乗り直しに行くことになるだろう。

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黒鉄 好 aichi200410@yahoo.co.jp

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