中国の高速鉄道事故 : ハルビン鉄道労働者、怒りのレポート | |||||||
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↓7月25日、事故現場近くの温州市広場に座り込み、当局の対応に抗議する遺族(右) 〔レイバーネット国際部発〕 中国の高速鉄道での追突事故をめぐり、「落雷のせい」とへいへいと言ってのける当局の滅茶苦茶な対応が遺族をはじめ中国全土の人々の反発を招いています。27日午前中には事故のあった付近の温州駅で遺族100人が事故の真相究明と責任追及を訴えるデモを行ったとasahi.comの報道もあります。 中国の鉄道事業、とりわけ高速鉄道事業は、日本の原発とおなじように、巨大な利権と腐敗の温床となっていて、それが政権内部の権力闘争にも関係しています。役人たちは被害者や遺族よりも自分の保身だけを考えているようです。 インターネット上にはさまざまな論評が飛び交っており、それらをひとつひとつ紹介することはできませんが、地方鉄道局職員で労働争議をたたかっている労働者のブログに掲載されている論評を超訳で紹介します。また鉄道局傘下の車両製造メーカー「中国南車」の子会社「南車眉山車輌有限公司」では、7月21日に不公平な賃金改定に抗議するストライキが打たれています。 以下、超訳です。 ===== 高速鉄道「和諧号」の追突事故の救援作業で考えたこと ハルビン鉄路局旅客運輸区職員 この数日、高速鉄道の追突事故に注目し続けてきた。事故後、愕然としたり誰もが憤ることが立て続けに発生した!インターネット上で映像、画像、書き込みなどを収集し自分のウェブサイトに掲載している(サーバーは海外のものを使っている。理由は言わずもがなである)。 2011年7月23日20時30分ごろ、北京から福州へ向かうD301号と杭州から福州南へ向かうD3115号が追突した。D310号の1両目から4両目、D3115号の15両目と16両目が脱線した。中国では50年代から大量の自動停止装置を設置してきた。わが国の鉄道省は多くの特許や技術を持っており、高速鉄道は最新の技術と最も安全であり、絶対に追突事故などは起こさないと信じられてきた。だがそれは「奇跡」的に追突事故を起こしてしまった。中国北車唐車株式会社(鉄道省傘下の車両製造メーカー)のゼネラルエンジニアの孫幇成は時速600キロ以内であれば「脱線する可能性はほとんどない」と豪語していたが、今回たった時速300キロで(追突による)脱線事故を起こしてしまった。 事故発生後の救助や事故原因の調査などは、決められた規則どおりに進めることが肝要なはずだ。しかし事後後わずか数時間で、鉄道省はそそくさと事故車両内部には生命反応がないということで、夜中の2時に救助作業を終了してしまった。欧州の先進国では同じような事故の場合に50時間以上もかけるのに、わが国ではわずか6時間で生命反応がないと断定し捜索救助作業を終わらせてしまった!この国は「スピード」の創造にかけては「奇跡」的な国である。〔高速鉄道だけでなく〕生命反応の断定のスピードでさえも世界一になろうとしている! そして、なんと事故車両をユンボで埋葬する事態も発生した。テレビの映像では、ユンボに転がされる事故車両から被害者の人体とおぼしきものがいくつもこぼれ落ちていたにもかかわらず! 事故現場で車両を切断し、架橋から転落して縦にぶら下がっていた車両を地面に落とした作業について、鉄道省は、証拠隠滅ではなく、スペースを作るためだ、と言っていた。午後5時に〔2歳の〕女の子が生きて発見された。鉄道省の報道官の王勇平は「生命の奇跡」と賞賛した。またもや「奇跡」だ!鉄道省が捜索を放棄してから21時間が経過し、車両解体のユンボのショベルに殺されることなく発見されたことがまさに「生命の奇跡」、薄ら寒くなるような「奇跡」だ!だが脱線して落下した4両の車両の中どれほどの「奇跡」があり、それらが埋葬されてしまったのかを知る由もない。 36時間後、中国政府は救助活動の終了を宣言した。なんら現場検証などをすることなく事故車両を土に埋めてしまった。憤らずにはいられない! これはまさに殺人であり、邪悪な行為以外の何者でもない! なぜ慌てて車体を埋めてしまったのか? たくさんの遺体があり、そして救助を待っていた被害者も居たであろうに! ユンボによってどれだけの命を奪ったのか?かりに全員が亡くなっていたとしても、遺体はできるだけ保存することが、死者の最後の尊厳を守ることではないか。なぜ厳粛に、尊厳をもって、そして安らかに死者を送ることができないのか。 「もし埋葬してしまったのならひどい話だ。生き埋めという殺人であり、それは犯罪だ。また遺体への無礼であり、これに対して遺族は訴えなければならない。三つ目に、証拠隠滅。事故原因と責任の究明を妨害しており、これも犯罪だ」。インターネット上ではこんな考えに共感を寄せる人たちも多い。 鉄道関係の同僚たちのなかには「おまえには関係のないことだ。自分の争議だけやってればいい」と言うやつもいるだろう。〔※争議についてはhttp://www.labornetjp.org/news/2011/1298444926887staff01参照〕 だがあんたらには父や母はいないのか? 兄弟や姉妹や親友はいないのか? 子どもはいないのか? もしあんたらの両親や親友や子どもたちが同じような目に遭って、救助もされずにそのまま埋葬されてしまったら、そんなことを言えるだろうか? 自分の身には絶対に起こらないなどと考えてはならない。どんなに普通の生活を送っていたとしても、とつぜんビルが倒壊したり、飛行機が墜落してきたりしてあなたや親友が巻き添えにあうことだってある。そのときにはあなたも生き埋めにされてしまうかもしれないのだ! 誰だって当事者になる! 自宅に居た者は鉄道に乗ってなかったことを幸いに思う 事故にあった乗客の多くはそれなりに裕福な人たちが多かったに違いない。だが、権力者にとっては、簡単に踏み潰すことのできるアリくらいにしか思っていないのだろう。 こんなインターネットの書き込みがあった。 「今日の中国こそが雷雨の中を疾走する高速鉄道みたいなものだ。そして、あなたもわたしもその乗客なのだ。」 わたしもそう思う。 中国では、小さな特権が、大きな特権に直面したら、それは特権でもなんでもなくなってしまう。だから中国の役人たちは必死になって上へ上へと這い上がろうとする。なぜなら、権力者は自分よりも権力がないと見ると、まるでゴミのように扱い、アリを踏み潰すように扱うことを、官僚たちが一番良く分かっているからだ。 中国人はこのように卑屈に膝を屈して生きている。尊厳からは程遠い。だがしっかりとした思想を持ち、頑なに抵抗し、それを堅持すれば、権力者どもが張子の虎であることを知るだろう。 ↓7月25日、事故現場近くの温州市の世紀広場で市民による自発的な追悼集会が開かれた Created by staff01. Last modified on 2011-07-27 21:02:03 Copyright: Default |