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追加レポート:裁判所はここまで腐ってしまったの? 「報道記者席」の怪
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松原です。

ジョニーHさんの報告が掲載されていますが、この裁判を私も傍聴に行きました。ジョニーHさんの報告とダブるところもありますが 、その後の記者クラブと裁判所への要請内容もありますので、「追加レポート」としてお読みいただければ幸いです。

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●裁判所はここまで腐ってしまったの?〜「報道記者席」の怪               松原 明

裁判所がひどくなっていることは、よくわかっていたつもりだったが、「ここまで腐っ ていたのか」と驚く出来事があった。それは、5月11日「裁判所前の男」大高正二さん 裁判の第1回公判だった。事件自体は、裁判所職員の頭をこづいたかどうかという極め て小さな事件なのだが、裁判所が用意したのは429号法廷で「警備法廷」の指定がされ ていた。ここでは約40人の職員が入口にバリケードをつくり、傍聴人はボディチェック された上に荷物を取り上げられる。凶悪事件や「過激派」裁判で「警備法廷」が指定さ れるが、その異様な雰囲気に震え上がる。しかし、今回驚いたのはそのことではない。 私も開始時間10分前に行ったが、すでに満席とのことで傍聴を断られた。ところが、裁 判終了後にわかったのは、報道記者席5席がずっと空いていたことだった。

この日の傍聴席は33席あったが、28席がうまり5席は「報道記者席」の白いカバーがか けられていた。傍聴希望者は多く、大高正二さんの妻も含め10名以上が入れず、法廷ロ ビーで待機することになった。途中、報道席に空いたままだったので被告の弁護人(国 選弁護士)が多和田裁判長に「空いているなら被告の妻を入れてほしい」と裁判長に要 請したが、裁判長は言下に拒否した。私も外での待機組だったので、こうした事実を後 で知り驚いた。なぜ記者は来なかったのか、記者クラブはどうなっているのか、が最初 の疑問。そこで、すぐその足で裁判所ビル2階にある「司法記者クラブ」を訪ねた。

幹事社はフジテレビの人で、すぐ調べてくれた。その人は「いま刑事の広報にも確認 してみた。通常、報道記者席は記者クラブが申請して確保することになっているが、そ の裁判には申請していなかった。だから誰も行っていない。書類も調べたが間違いない 」とのことだった。つまり記者クラブの申請もないのに、報道記者席が5席つくられた ことになる。だから空いたままなのだ。

そこで、その後、裁判所の担当部局に電話で問いあわせてみた。「記者クラブが申請も していないのになぜ“報道記者席”が5席あり、しかも空席。私も傍聴できなかったが 、傍聴者の権利が侵害されている。どうしてか?」。電話は3度たらい回しされ、結局、 訟廷(しょうてい)係という現場の責任者K氏につながった。K氏によれば「報道記者席 は、記者クラブから要請があった場合と裁判長の指示で行う場合の2つのケースがある 。今回は後者で多和田隆史裁判長の指示だった」とのこと。そこで「裁判長が指示した とすれば5席の根拠・理由は何なのか」と聞くと、K氏「それは裁判長の判断なのでわか らない」。傍聴できずに時間を棒に振った私は、「私もそのために傍聴できなかった。 裁判長に直接理由を聞きたい。取り次いでくれないか」というと、K氏「それはできな い。伝えておく。返事をもらえるかわからない」との答えを繰り返した。

私は「傍聴する権利が奪われるのは、おかしいですよね。裁判所は人権を大切にすると ころですよね」と重ねて尋ねたが、K氏は言葉を濁すばかりだった。「裁判所は人権を 大切にするところ」と堂々と言えないのがいまの裁判所職員。情けなさすぎる。また「 私はフリーだが、空いている“報道記者席”に記者クラブが来ない時に、私が傍聴を希 望すればできるか」と聞くと「それは総務課に申請してくれ、許可がでるかどうかはわ からない」という。

さらに「こうした記者クラブの要請がなくて裁判長の指示にだけで報道記者席をつくる ケースは、これまで何件あったか教えてくれ」と言ったら「答えられない」とのこと。 同じ質問を記者クラブ幹事社であるフジテレビの人にも聞いたが、「幹事社は月交代な ので前のことはわからないが、自分の期間にはなかった」とのことで、そうしたケース は皆無か異例であるとの感触をえた。

この大高裁判はこれから3回の公判日程が決まっているが、多和田裁判長は、これから も毎回5席の「報道記者席」をつくるつもりなのだろうか。裁判の公開、傍聴する権利 は、国民の基本的権利である。それを裁判長の一存で、33席のうち5席を「報道記者席 」にして「空席」のままにしてしまうことは国民の基本的権利を侵害した「犯罪行為」 といえるものである。日本の裁判所は、ここまで腐ってしまったのか、と呆然とした5 月11日の出来事だった。

●今回の大高正二さん「暴行・公務執行妨害」事件について

この事件は、そもそも毎日裁判所前で「裁判所のおかしさ」をマイクアピールしている 大高さん(写真)を裁判所が嫌って起きたものだった。以前、大高さんがケータイ電話をもって 法廷ビルに入ったときに、ビル内で写真を撮った撮らないのトラブルがあり、以来、裁 判所は大高さんに限って「ケータイ持ち込み禁止」を決めて大高さんがビルに入るとき は厳しくチェックしていた。

今回の2010年8月10日に起きた事件とは、裁判所職員が大高さんがケータイを持ってい るのを法廷ロビーで見つけて、それを理由に十数人の職員が大高さんを取り囲み担ぎ上 げて強制退去させたというものだった。この時、大高さんが退去させられた門扉ごしに 裁判所職員の頭をこづいた、というのが今回の逮捕・起訴の理由で、「暴行・公務執行 妨害」に問われている。目撃者は裁判所職員だけで「でっち上げ」のニオイがぷんぷん する事件。大高さんは全面否認しているどころか、逆に十数人に手足を押さえられて担 ぎ出されて「ケガをした」として、その直後に診断書をとり、裁判所の暴力行為を丸ノ 内警察署が調べるように訴えていた。ところが、この8月の些細な事柄を理由になんと3 ヶ月後の11月に大高さんは丸ノ内署に逮捕され起訴、以来現在にいたるまで半年以上、 東京拘置所に勾留されている。

第一回公判が5月11日、東京地裁の警備法廷指定の429号法廷で行われ、第二回は6月8日 (水)午後2時半から429号法廷で行われ、証人尋問などがある。裁判所の本当の姿に知 る絶好の機会なのでもあり、多くの人に傍聴をしてほしいと思う。なお、大高正二さん の活動については3分ビデオ「裁判所前の男」で知ることができる。↓
http://www.youtube.com/watch?v=9Hdi4nIB78s


Created by staff01. Last modified on 2011-05-16 00:41:32 Copyright: Default

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