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JAL、整理解雇強行か〜労働組合はストで対決へ
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黒鉄好@安全問題研究会です。

日本航空経営陣が、12月9日、整理解雇の実施を決定しました。今後、手続に入ると予想されますが、日本航空では、全職種で見ればすでに希望退職者が目標を超えており、これ以上の整理解雇はいかなる法律にも道義にも反する不当なものです。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101209-00000097-mai-bus_all(毎日新聞)より

 会社更生手続き中の日本航空は9日、パイロットと客室乗務員を対象とする希望退職の応募が削減目標を下回ったとして、一方的に雇用契約を打ち切る「整理解雇」の手続きに入った。約200人を今月末に解雇するが、一部労働組合はストライキや整理解雇の撤回を求めて提訴するなどの動きを見せている。

 日航は9月から希望退職を募ってきたが、削減目標に届かず、11月15日に最大250人の整理解雇に踏み切る方針を発表。その後も希望退職は受け付けたが、追加の募集はパイロットと客室乗務員が各20人程度にとどまり、9日付で約200人に解雇を通知する手続きを始めた。

 解雇の対象は、病気などで欠勤が多かったり、年齢が高い乗務員と見られる。日航は、勤務経験が長いことなどにも配慮し、退職金などは「希望退職とほぼ同等」の待遇とする。ただ、対象者の反発は根強く、一部客室乗務員で作る労組「日航キャビンクルーユニオン」は24、25日にストを設定。日航を相手に解雇の取り消しを求めて提訴することも辞さない構えだ。【山本明彦】
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経営再建中の日本航空で、いよいよ会社側が社員の整理解雇の手続に入ることになった。労働組合は、クリスマスにストライキを構えて最後まで抵抗するする意思を明らかにしている。日本航空再建問題は、航空労働者の大量解雇につながりかねない緊迫した局面を迎えた。

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<参考資料>労働関係調整法第37条に基づく日本航空キャビンクルーユニオンの争議通告(平成22年12月7日付け官報第5452号)(「官庁報告」のコーナーに日航のストが掲載されている。)
http://kanpou.npb.go.jp/20101207/20101207h05452/20101207h054520013f.html

※労働関係調整法に基づいて「公益事業」の指定を受けている業種(運輸事業、郵便、信書便又は電気通信の事業、水道、電気又はガスの供給の事業、医療又は公衆衛生の事業)で労働組合がストライキを実施する場合、10日前までに厚生労働大臣に通告しなければならない。
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当ブログと安全問題研究会の基本的立場は、11月30日の記事(http://www.labornetjp.org/news/2010/1291214839262zad25714)及び11月16日付の声明(http://www.labornetjp.org/news/2010/1289923139566zad25714)のとおりであり、改めて繰り返さない。しかし、この日航の整理解雇が国鉄1047名解雇以来の最も深刻かつ重大な労働者への攻撃であることは疑いない。そして、当時、彼らの解雇に多くの労働組合が見て見ぬふりをした結果、20年後の今日、街は非正規労働者だらけになり、気づけばみんなが年収300万円を下回るワーキングプア状態に陥った。

もしあなたが労働者ならば、この攻撃は航空労働者のみならず、あなたへの攻撃でもある。もしあなたがこの攻撃に見て見ぬふりをするならば、あなたの子どもや孫があなたと同じ生活水準を維持することはできないだろう。

私たちは今こそ歴史に学ぶ必要がある。23年前の国鉄労働者の苦い経験から教訓を学び取らなければならない。

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http://jfau.phenix.or.jp/CCP074.html より

なぜ、そうまでして、整理解雇なのか(航空労組連絡会)

 今回のテーマに、締め切り日、ぎりぎりまで悩んだ。11月末日を挟んで、日本航空を取り巻く客観的な状況と整理解雇問題の局面も、大きく変化するであろう。確定的でない状況について発言することに慎重になった。とはいえ、やはり、発言しなければならない、と判断した。

 それは、報じられている企業再生支援機構の発言からである。11月16日、日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)と支援機構との折衝の場で、支援機構側が、CCUが実施中の整理解雇撤回をかかげるストライキ権確立投票に関係して、「スト権が確立した場合、それが撤回されない限り、3500億円の出資をしない」と述べたという(朝日新聞11月18日)。この後、支援機構側は、この発言を撤回も訂正もしていない。

●国家的不当労働行為事件
 この報道を受けて、国家的不当労働行為事件という呼称が浮かんだ。この呼称は、1987年4月の国鉄改革法を根拠法とする国鉄からJRへの分割民営化が、実は、国鉄労働組合を始めとする労働組合解体に真の狙いがあり、それが強行されたという国鉄争議を指してのものであった。中曽根元首相は、国鉄改革の真のねらいは国労つぶしと総評の弱体化にあった、と語った。この目的を実現するために、国鉄とJR新会社との労働関係がつながらないように、設立委員という第三者を置いて、国労組合員などを排除するという不当労働行為を実行した。設立委員は役割を終えて消え、国鉄は精算される。そうすると、法律形式的には、不当労働行為の実行犯である国鉄と設立委員が消えていない。こういう難しい法律状態のなかで、23年間の国鉄争議はたたかわれたのであった。

●第二の国家的不当労働行為事件
 結論からいおう。先の支援機構の発言は、第二の国家的不当労働行為事件という問題を明らかにした。第一の問題、支援機構という準国家組織が、正当な労働組合の行為に干渉する発言をし、それを取り消さないばかりか、マスコミを通じて繰り返し報道させていること。第二の問題、公的な私的な金融支援を受けた会社は、憲法や労働法などの一切の法的拘束を離れて人員整理ができるという歴史的な前例を作ろうとしていること、第三の問題、年齢差別という違法な基準を用いて、さらに会社に対抗的な特定の労働組合の弱体化を狙うという組合差別をも実行しようとしていること。 こうした意味では、たしかに関係する組織と人員は国鉄争議が遙かに巨大であるが、内包する問題は、より深刻な国家的不当労働行為事件であるともいえる。

●間接的組合間差別問題
 間接性差別という問題は、徐々に社会的にも理解が深まってきている。しかし、間接的組合間差別という問題は、当事者の労働組合もふくめて理解が進んでいないといえる。間接的性差別がそうであったように、形式的には中立的な基準でも、それが現実には特定の属性(性であり、集団であり、組合であり、個人)を差別し、不利益を及ぼす、これが間接的差別という問題のとらえ方である。

 日本航空が、希望退職募集や整理解雇基準案などで用いている年齢基準が、現実の労働関係では、会社に対抗的な航空機乗務員の労働組合や労働組合活動家に決定的ともいえる打撃を与える。この事実をどう考えるのか。年齢基準は原則として(もちろん例外もある)差別的な基準である。その差別的な基準をもちいて、日本航空の労務政策にとっては積年の願望である対抗的な労働組合と労働組合活動家を排除するという不当労働行為という差別的な目的を実現する。こういう二重の意味での差別が強行されようとしている。逆にいえば、だからこそ、年齢基準に固執するのだろう。

●すべての労働者と労働組合の課題
 日本航空再建問題で問われている課題は、一産業の一会社の一部の労働者・労働組合の問題ではない。なぜならば、いま日本航空では、公的私的融資による再建会社には労働法が適用されない聖域であるという前例が作られようとしている。具体的には、希望退職募集という大量退職強要事件の発生、整理解雇法理を無視して既定路線化された整理解雇の強行、対抗的な労働組合と組合活動家の企業外への排除、などなどである。将来への禍根を残してはならない。

 ひるがえって考えれば、60年の三井三池争議における整理解雇者数につぐ大量解雇事件となる可能性がある。そのとき、総資本と総労働の対決、といわれた。時代は変わり、状況も変化した。しかし、日本航空問題は、すべての労働者の問題である。

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黒鉄 好 aichi200410@yahoo.co.jp

首都圏なかまユニオンサイト
http://www.geocities.jp/nakamaunion1/

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