本文の先頭へ
マレーシアでTPPに反対の声
Home 検索
APECとともにすっかり忘れ去られたTPP(環太平洋パートナーシップ、ま
たは、とんでもないペテンのパートナーシップ)ですが、TPP参加国のマレー
シアで反対する声があり、労働にも関係するかなー、ということでこちらにも紹
介します。(I)

======

マレーシアとEUおよび米国とのFTAと環太平洋パートナーシップに反対する
2010年12月3日

原文および申し入れ写真(12月2日)
http://utopia.e-channel.info/read.php?1251

自由貿易協定反対連盟(Gabungan Membantah FTA)の代表は、2010年12月
2日に貿易・工業省に対して、EU・マレーシア自由貿易協定交渉に反対する覚
書を提出した。マレーシア政府は2010年12月6日から10日までブリュッ
セルにおいてEUとFTA交渉を行う。またアメリカと環太平洋パートナーシッ
プ(TPP)協定に向けても準備を進めている。

自由貿易協定反対連盟は政府に対して、EUやアメリカとの自由貿易交渉の停止
、一切の交渉の前にはまず民衆から意見を求めることを要求した。

マレーシア政府が以前アメリカとFTA交渉を行っていたときにも、FTAを締
結すれば人々の生活や自然環境に対して甚大な悪影響がもたらされるという市民
団体や在野の政党などから反対の意見が出されてきた。その後、マレーシアとア
メリカのFTA交渉はうやむやとなっていたが、ここに来て「環太平洋パートナ
ーシップ」として再燃し始めた。

いま世界は1930年代の大恐慌依頼の経済危機、金融危機、食糧危機、そして
気候変動の危機などに直面している。そしてこれらの諸危機はアメリカ主導によ
る地球規模の自由貿易体制と密接に関連している。マレーシアとEUおよびアメ
リカとのFTA締結は、これらの危機がもたらすマレーシアへの衝撃をさらに加
速し、危機にある社会経済を回復軌道に乗せようとするマレーシア政府の政策を
制止するだろう。

自由貿易協定が外国資本財団に巨額の利益をもたらすことについて、自由貿易協
定反対連盟はその覚書のなかで以下のような憂慮を示した。

1、農民と食糧安全保障に対する影響

自由貿易協定では、EUと米国は農業補助金を削減することはない。しかしマレ
ーシアに対しては農産物に対する関税を引き下げることを強制する。これはマレ
ーシアのコメ農民や牧畜業者などの農業従事者を、EUや米国の補助金漬けの安
い農産物と直接競争させることになり、ひいてはマレーシア農民が農業を放棄す
ることになるだろう。輸入関税を引き下げたガーナでは、とりにくの輸入関税を
引き下げたことでEUからの輸入が増加し、ガーナの養鶏農民の市場占有率が9
5%から11%に低下した。マレーシアにおいてもこのような状況が出現すると
、輸入食品への依存が増大し、世界的な食糧不足がマレーシアにおける食糧危機
を引き起こすかもしれない。

2、マレーシア産業の付加価値能力の向上への影響

マレーシアは2020年までに、バリューチェーン(価値)の向上などで先進国
の仲間入りをすることに意欲を見せている。だがEUや米国はマレーシアに対し
て製品の80%の関税を撤廃することを要求している。もしそれが実現するとマ
レーシア産業の高付加価値化への道筋は困難となる。なぜなら、関税で保護する
ことなく新興産業の工業化を達成できた国などこれまでなかったからだ。

3、医療保険に対する影響

これまで他の国と締結してきたFTAに比べ、EUと米国は、知的所有権の問題
ではWTO協定よりもさらに厳しい条件を押し付け、グアテマラが直面したよう
な困難をマレーシアにももたらすだろう。グアテマラでは薬価が84万5600
%も高騰した。EUは東欧国家に対して薬の知的所有権を25年延長することを
受け入れさせた。WTOの協定では20年であるにも関わらず。こうしたことか
ら、マレーシアに対してもジェネリック薬の輸出入の制限を要求してくるだろう


4、自然環境、社会、金融などの規制に対する影響

EUと米国は、マレーシア政府に対して投資化の利益を保護する措置と、現在マ
レーシアの国内法で定めている自然環境や労働者の権利などの保護に対する規制
の削減を要求するだろう。FTAにおける投資に関する条項では、政府の政策な
どによって企業が損失を蒙った場合、企業が政府を訴え、巨額の賠償金をせしめ
るることができるというものである。実際に提訴するかどうかは別としても、企
業活動を規制を強化しようとする政府に対して充分な恫喝となりうる。アメリカ
が他の国と締結したFTAでは、有害物質の輸出禁止、有害物質の廃棄禁止、神
経性毒素禁止などを定めた国内法律が改悪されている。自然環境保護や労働者の
権利などに関する法律がFTAの条項に抵触したからだ。

自由貿易協定反対連盟は、FTAによって民衆の権利が不当に侵害されることの
ないよう、政府に対してFTAがもたらす影響に関する研究報告の公開を要求し
、連盟代表との対話を求めている。


Created by staff01. Last modified on 2010-12-09 15:53:25 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について