全労連が政府に「失業・生活困窮者対策の大幅な拡充を求める要請」

２０１０年１１月１８日
内閣総理大臣　菅　直　人　殿
厚生労働大臣　細川　律夫　殿
全国労働組合総連合　　
議長　大黒　作治

　深刻な雇用情勢、貧困と格差の拡大を踏まえた
失業・生活困窮者対策の大幅な拡充を求める要請　

　“年越し派遣村”から間もなく2年、政権交代が実現し、さまざまな対策が打たれたはずですが、失業率は高止まりし、雇用改善の光は見えてきません。派遣労働者など非正規切りが今も続いています。失業給付は失業者の2割程度しか給付されていません。失業の長期化で借金を重ね一家離散、ついには住まいも追われる事例が後を絶たない状況です。中小企業・業者の倒産・廃業も深刻です。寒さが日に日につのる今日この頃、今年も大都市の主要駅は“毎晩が派遣村”状態となっています。いくら探しても仕事が見つからず、「自分はダメ人間。社会に必要とされていない」と、ココロを病む人々が増えています。若者の雇用も深刻で、ふたたび“就職氷河期”が到来しています。正社員も大変で、長時間・過密労働、成果主義にあえぎ、ココロとカラダを蝕まれています。賃金下落も深刻で、年収200万円未満の労働者が1千1百万人に達し、1年間に平均賃金が5.5％も下落するというかつてない状況です。こうした状況を反映し、自殺者は減らず、年間3万人を超える深刻な状況が続いています。
　「雇用は自己責任」という人々がいます。「規制強化はかえって雇用に悪影響」という声も聞こえてきます。財界・大企業幹部は「派遣切りが悪かったのではない。セーフティネットがなかったことが問題」といいます。果たしてそうなのでしょうか。思い出してください、“年越し派遣村”を！　菅首相も当時、“年越し派遣村”を訪れ、私たちと一緒に「政治災害だ」とコブシを突きあげましたが、仕事と同時に住まいさえ奪い、寒空に放り出すという冷酷なふるまいを、私たち日本国民はこの先も甘受しなければならないのでしょうか。安定した雇用というささやかな願いさえいけないというのですか。労働者派遣をはじめ非正規労働の拡大、雇用の流動化が賃金破壊を引き起こして、内需を冷え込ませて、ひいては日本経済の後退をまねいているのではないでしょうか。
　私たちは呼びかけます。そして政府に強く求めます。安定した良質な雇用の実現を！　まじめに働けば、人間らしいまともな暮らしを送ることができる日本社会を実現しようではありませんか。大企業ばかりが内部留保を膨らませ、労働者の賃金も日本経済も縮小という世界に例のない日本経済の異常を変えなければ日本の将来は危ういのですから、大企業等の雇用責任を明確にして安定した雇用を取り戻すとともに、失業してもまともな生活が維持できるセーフティネットを構築していくことが必要です。
　以上の趣旨から、深刻な雇用情勢、貧困と格差の拡大を踏まえた、“高失業時代”を克服する失業・生活困窮対策の抜本的な拡充を求め、下記事項の実現を強く要請いたします。

記

Ⅰ　運用の適正化を含めた当面する緊急改善要求
　今日の深刻な雇用破壊の実態を踏まえれば、雇用政策全体の転換が求められています。同時に、生活困窮に苦しむ失業者等への支援が必要であり、以下の対策を即刻実施するよう強く求めます。

（１）　今も続いている派遣・期間工切りや解雇・雇止めを止めるため、大企業や経営者団体等に対する指導を強化し、雇用の維持と期間の定めのない直接雇用への移行を促進する実効ある対策を直ちにとること。
（２）　派遣切り等の元凶となった労働者派遣法については、ⅰ）登録型・製造業派遣の全面禁止、ⅱ）専門26業務の高度かつ専門的な業務への限定・縮小、ⅲ）実効ある「みなし雇用制度」の創設、「期間の定めのない直接雇用」への移行の義務づけ、ⅳ）「均等待遇」原則の明記など、抜本改正を早急に断行すること。
（３）　雇用保険制度の全国延長の発動要件を緩和し、緊急に実施すること。失業給付の給付額が生活保護基準を下回り、生活保護の対象となる求職者については、ハローワークと福祉事務所の連携によって救済を確実におこなうこと。また、公的就労の緊急拡充など雇用対策をいっそう強めるとともに、特に失業が深刻な新卒者や女性、中高年者への個別支援を特別に強化すること。
（４）　現行の“第2のセーフティネット”については、貸付中心の制度から給付を基本とした制度に緊急的にあらため、給付額を世帯の実態にあわせて増額すること。職業訓練における給付金受給の要件を訓練受講に限定している点をあらため、公共職業安定所長が真に必要と認める求職者に職業訓練受講指示をおこない、それ以外の生活困窮者は生活保護制度をはじめとする福祉施策で適切に支援すること。
（５）　円高等の影響や景気状況、大企業による下請けいじめの実態等を踏まえ、公正取引ルールや中小企業・団体への支援策を拡充し、倒産や廃業、解雇・雇止めを防止すること。都道府県が独自に実施している特別融資制度や中小企業支援策、若年雇用対策などについて、国庫補助をおこない、全都道府県への拡大をはかること。また、地域最賃の改訂や底上げに中小企業が対応できるよう、具体的な予算措置をおこなうこと。
（６）　事業仕分け第3弾において、十分な議論もなく廃止対象とされた労働保険特別会計の「ジョブ・カード制度普及促進事業」「キャリア形成促進助成金」「介護労働安定センター交付金」などの廃止は、現下の厳しい雇用情勢に逆行することから、即刻撤回すること。また、賃金立て替え払い制度など、特別会計事業から外すとされた雇用調整助成金以外の雇用保険2事業についても方針を撤回し、維持・拡充すること。
（７）　生活保護の運用における稼働年齢等による“水際作戦”を根絶するとともに、保護期間の有期化や医療扶助への一部本人負担導入など、生活保護制度の改悪はおこなわないこと。「現在地保護（生活保護法第19条1-2）」「急迫保護（同法第19条6）」の考え方を徹底するとともに、これにより保護をおこなった場合の費用は全額国庫負担とすること。また、雇用保険給付でも最低生活が営めない失業者世帯への生活保護適用にあたっては、求職活動中であることを踏まえ、必要な資産の保有を認めること。
（８）　福祉行政等における過度な就労指導をあらため、失業者が質の悪い就労を余儀なくされ、新たなワーキング・プアとなることを強制されないようにすること。
（９）　冬季を迎えたなかで、地方自治体・民間団体等と協力して夜回り等を緊急に実施し、窮迫状態にある人の迅速な保護を実施するとともに、住居喪失者や生活困窮者への支援制度の広報を抜本的に強化すること。中核都市にシェルターを確保するとともに、公営住宅等の入居要件を緩和することなど、住居確保対策を十全におこなうこと。地方自治体と協力して、住居喪失のおそれのある人等を対象に緊急の家賃補助を実施すること。
（10）　現状の到達点にかんがみ、本年末については、都道府県と協力して、年末年始の特別体制を準備すること。

Ⅱ　失業・生活困窮対策の抜本的な拡充を求める基本的な要求
　今日の深刻な雇用破壊を克服するには、企業の雇用責任を再確立することが、まず必要です。同時に、これまでの雇用対策が十分な効果を発揮しえていない現実を直視し、抜本的な雇用対策の強化・再構築を断行すべきです。すなわち、生活保護基準さえ下回るような低賃金の就労を強いられ、本当は転職したいと考えている“半失業”状態の労働者を加えれば、日本にも二桁を超える“高失業時代”が到来しているのですから、“失業が怖くない社会”、セーフティネットの重層的構築が必要です。そのため、これまでの“求職者支援”という枠組みから、総合的な“失業・生活困窮”対策へと発展させるべきです。

１．“派遣切り”など雇用破壊を厳正に取り締まるとともに、「期間の定めのない直接雇用」と「均等待遇」を原則に、安定した良質な雇用を実現する法整備をおこなうこと
①「期間の定めのない直接雇用」が雇用の大原則であることを明確にし、有期労働契約を「臨時・一時的な業務」に限定する労働契約法制の整備をおこなうこと。特に、労働者派遣については原則禁止とし、真に高度かつ専門的な業務に限定すること。
② 雇用に対する企業責任を明確化し、解雇規制の法整備をおこなうこと。
③「均等待遇」原則を法制化し、雇用形態や性別、国籍などによる賃金・処遇等の差別的取り扱いを禁止すること。
④ 全国一律最賃制を創設するとともに、最低賃金をだれでも1,000円以上に早期に引き上げるなど、生活できる賃金への底上げをおこなうこと。そのため、中小企業等に対する直接的な支援・財政措置を実施するとともに、公契約法の制定、公正競争ルールの確立、下請けいじめ根絶など、中小企業支援策を抜本的に拡充すること。
1）労働法制の規制緩和が続いたもとで、有期労働契約や労働者派遣が常用代替となる状況が広範にひろがっている。有期労働契約や労働者派遣を「臨時・一時的な業務」に限定することが求められており、雇用の大原則として、ⅰ）無期原則、ⅱ）直接雇用原則を法制化する必要がある。民主党は09年総選挙のマニフェストで「正社員が当たり前」の社会を掲げていたが、その実現に踏み出すべきである。
2）人はモノ、機械ではない。雇用の調整弁とすることは許されない。大企業等の雇用責任を明確化し、正規・非正規を包含した解雇規制ルールを法制化すべきである。
3）同じ職場で同じような仕事に従事しながら、雇用形態等の違いだけで賃金等に大きな格差がつけられている。だからこそ、大企業等は安価でいつでも切れる労働力として、派遣労働者や有期契約労働者を大幅に増やし、正規・常用労働者との置き換えをすすめてきた。「均等待遇」原則を確立し、差別的な待遇を一掃することは、常用代替の使い捨て労働を許さず、雇用の安定を実現する不可欠の課題である。それらを通し、限りない賃下げスパイラルを規制するとともに、女性の賃金が男性の7割弱という男女賃金格差の改善をはかる必要がある。

２．“高失業時代”を踏まえ、国と大企業の責任を基本として、すべての労働者を対象とした失業時の生活保障制度を整備、拡充すること
① すべての労働者を対象とすることを基本に、雇用保険制度の抜本的な拡充・再構築（失業保険制度に戻すことを含めた検討）をおこなうこと。加入・受給要件を大幅に見直し、日雇い労働者などを含め、失業給付の対象外となる人を最大限なくすこと。
② 失業給付に該当しない場合（給付期間超を含む）の“失業扶助”制度を全額国庫負担で制度化（派遣切り等に対する大企業等の新たな負担方法を含めた制度の構築）すること。その際、新規学卒未就業者や請負労働者、廃業した自営業者等についても、その実態に即した所得補償を具体化すること。加えて、最低保障年金制度の創設など、高齢者・障害者の所得補償を充実させること。
③ 失業期間の長期化を踏まえ、失業給付の基本給付の期間は1年を目途（少なくとも6カ月以上）に改善すること。当事者の実態に即して柔軟に個別延長できるよう制度を拡充すること。
④ 給付額については、上限を引き上げるなど、失業者と家族の生活を支えるにふさわしい水準に改善すること。非正規労働者やシングルマザーなど生活保護水準さえ下回るような低い給付額の人については、失業扶助制度による付加給付をおこない、人間らしい生活を保障すること。
⑤ 離職理由による受給資格の有無や所定給付日数、給付制限等の区別（差別）を撤廃すること。給付制限期間を廃止し、迅速な給付を実施すること。生活困窮者を対象に、給付までの間のつなぎ融資を雇用保険制度のなかで制度化すること。
1）雇用保険制度は08年末以降、数次の改正がおこなわれたが、失業給付の給付を受ける人は失業者の2割強に過ぎないという状況が続いている。失業期間の長期化も踏まえ、抜本的な見直しをおこない、雇用のセーフティネットの中核として再構築すべきである。その際、現在の雇用破壊が政治災害であること、大企業等の大量の非正規切りに起因すること等を踏まえ、国庫負担増と大企業の負担割合増を中心に財源を確保することが求められる。
2）雇用の不安定化、非正規労働者の急増によって、雇用保険制度の抜本的な見直しをおこなったとしても、失業給付の対象外となる人や給付額が非常に低い人が残ることは避けられないと考えられる。そのため、国庫負担による「失業扶助」制度を創設すべきである。
　　その際、現在は失業給付の対象外となっている新規学卒未就業者や請負労働者、廃業した自営業者などについても失業扶助の対象とすることなどを検討すべきである。
3）現行の第2のセーフティネットは貸付が中心で期間制限もあることから、十分な機能を果たし得ていない。雇用保険制度の抜本的な見直しを中心とした失業・生活困窮者対策こそ本来の在り方であり、それが整備された段階で廃止すべき（存続すべき部分を包含して失業・生活困窮対策を再構築すべき）である。

３．雇用創出策を強化するとともに、職業紹介・職業訓練制度を抜本的に拡充すること
① ハローワークの職員を大幅に増員し、失業者・相談者の状況やニーズを踏まえた個別援助を抜本的に強化して、安定就労への確実な支援を実施すること。また、就職時の支度・支援金制度を整備すること。
② 緊急雇用創出事業等の要件を大幅に見直し、地方自治体との協力を密にして、公的就労の確保を含む地域での雇用創出策を抜本的に強化すること。その際、生活できる賃金と長期雇用を基本とした安定雇用の創出を基本とすること。
③ 雇用対策、内需拡大策の柱として、雇用の安定に加え、労働時間短縮（不払い時間外労働の根絶と時間外労働の大幅削減＝そのための法定上限創設と割増率の引き上げ）や最低賃金の大幅引き上げ、均等待遇原則の義務づけをおこなうこと。
④ 公的職業訓練制度を質・量ともに抜本的に強化し、地場産業育成、ものづくりに寄与し、安定就労につながるとともに、産業構造の変化に対応する技術、技能の向上がはかれる人材育成を質・量ともに大幅に強化すること。現行の基金訓練については、公的職業訓練制度に包含・改組し、内容の充実をはかること。職業訓練中の生活費支給制度を整備し、生活の心配なく訓練に集中できるようにすること。
⑤ 憲法に規定する国民の勤労権や職業選択の自由を保障するため、雇用対策法や国際条約に違反するハローワークなど労働行政の地方移管をおこなわず、雇用と労働の全国セーフティネットを国の責任で維持・拡充すること。
1）政府もパーソナル・サービスの構築をめざし、就労支援ナビゲーターや住居・生活支援アドバイザーが配置されてきている。しかし、かつてハローワークでは個別支援が日常的・一般的におこなわれていたが、人員削減が続いたもとでそれができなくなってきていることが根本的な問題であり、ハローワークの職員を正規で抜本的に増やし、日常的な個別指導ができる体制整備をおこなうべきである。
2）緊急雇用創出事業等が実施されているが、その雇用は非正規の短期雇用が中心であり、賃金も低いものが少なくない。また、民間への丸投げが大半で、派遣企業等も参入している。今日の雇用情勢を考えれば、公的就労の確保が不可欠であり、生活できる賃金と長期雇用を基本とした安定雇用の創出を基本に抜本的な見直しをはかるべきである。
3）景気回復のためにも内需拡大が必要であり、国際的な指摘も強まっている。個人消費を暖めることこそ必要であり、労働時間短縮による雇用創出や最低賃金の大幅引き上げ、均等待遇原則の義務づけなど、安定した良質な雇用にあらためる総合的な対策を実施すべきである。
4）公共職業訓練は今も高い就職率など実績をあげており、その充実こそ求められている。公共職業訓練やハローワークは国の責任で拡充をおこなうべきである。また、訓練へのインセンティブも考慮し、失業保険を中心とした所得補償制度に加えた、生活・訓練費用の上乗せ制度を具体化すべきである。
5）公的職業訓練制度は、民間活力の活用という政策のなかで、新規中卒者の受け入れ制限や産業構造の変化に対応する教科の見直しがおこなわれず、民間任せにされてきた。経済的理由が結果的に職業選択を困難にしているが、企業が独自の技術教育・社員教育から撤退し、即戦力を求めていることも、学卒者の専門学校志向に連動し、家族の負担を増やしている。職業教育全体を抜本的・系統的に見直すことが求められている。

４．生活困窮者対策を抜本的に強化し、住居喪失者等をなくし、“年越し派遣村”が必要ない社会を実現すること
① 生活保護制度の運用の適正化をはかり、窮迫・困窮状態にある者の迅速な救済がはかられるよう、実施要領等を改正するとともに、国庫負担割合を増やす（当面、少なくとも10分の8以上）こと。
② 必要な援助が実施できるよう、福祉事務所等の人員配置基準を改善（当面、担当上限を80名以下に制限）するとともに、ケースワーカー等の専門性を確保する制度改正をおこなうこと。就職支援等にかかる扶助を拡充するとともに、福祉事務所による格差をなくすこと。福祉事務所とハローワークが日常的に連携し、充実した支援を実施すること。
③ 住居喪失者等についても居宅保護を原則とし、迅速な保護を徹底するとともに、中核市以上については臨時・一時宿泊施設（シェルター）の確保を義務づけること。そのため、住所の定かでない人の保護については全額国庫負担とし、地方自治体に積極的な救済を義務づけること。
④ 年収200万円未満のワーキング・プアが1000万人を超えている現実を踏まえて住宅政策をあらためること。安価な公営住宅の大量増設と低所得者等への家賃補助制度を具体化すること。
1）「年越し派遣村が必要ない社会をつくる」という言葉をかけ声倒れにしてはならない。貧困と格差が深刻化するもとで、最後のセーフティネットである生活保護制度の適切な運用と内容の拡充をはかり、人間らしい生活を保障すべきである。地方自治体等の負担を考慮し、国庫負担を増額するとともに、ケースワーカーの増員と専門性を高め、適切な支援がなされるようする必要がある。
2）今日の実態を考えれば、住宅政策を抜本的にあらため、欧州の先進事例にも学び、住居にかかる費用の社会化をめざす方向に舵をきることが必要である。その第一歩として、公営住宅の大量増設と低所得者への家賃補助制度を具体化すべきである。

５．貧困と格差の拡大という現実も踏まえ、健康で文化的な生活を保障する観点から、いつでもだれでもお金の心配なく享受できる社会保障制度の拡充を実現すること
① 医療や介護、福祉、教育・保育等の利用料・窓口負担は原則無料化をめざすことを明確化し、そのための制度整備に早急に着手すること。
② 当面、国庫負担と大企業の負担によって、利用料・窓口負担の軽減と低所得者等への減免制度を緊急に拡充し、無保険者をなくすこと。また、保険料を軽減するなど、経済的理由から排除されることのないようにすること。
③ 制度見直しの財源としては、国庫負担と大企業負担の増額を基本とすること。消費税率のアップや法人税等の減税はおこなわないこと。
④ 働きたくても子どもを預ける保育所がない待機児童問題を解決するため、公立保育所の増設など、保育制度を改善し、内容の充実をはかること。幼保一元化など、保育に対する国・自治体の責任を後退させないこと。
1）経済的理由から、無保険者が増え続け、医療機関にかかれずいのちを落とす事例があとをたたない。こうした状況を一掃するため、社会保障の抜本的な拡充が必要である。経済的理由による排除をなくすには、医療や介護、福祉、教育、保育などについては、窓口負担・利用料の原則無料化をめざすとともに、保険料等の応能負担の徹底をはかることが必要である。
2）貧困を固定化させないため、子育てや教育に対する支援を抜本的に強化すべきである。乳幼児期の質のよい保育は、その後の子どもの発達に大きなプラスの影響を与え、ひいては質の高い労働力の確保という点で経済的にも大きな利益をもたらす、という実証研究がある。質のよい保育は専門の保育士による詰め込みでない保育でこそ可能であり、量的・質的な整備をはかる必要がある。

以　上