「公園返せ」「とんでもナイキ」――リズミカルな叫びが、街中に響きわたった。9月24日、渋谷区は宮下公園への行政代執行を強行。野宿者、支援者らをねこそぎ排除して出入り口を封鎖した。この暴挙に抗議して26日、同公園を包囲する緊急サウンドデモが闘われた。
午後１時過ぎ。公園に続く階段の下に、続々と人々が集まってくる。抜けるような秋の青空の下、参加者は思い思いの楽器をかき鳴らし、のぼりやプラカードを高々と掲げて出発した。
「渋谷区の強制排除を許さないぞ」「代執行に抗議するぞ」。渾身のコールが続く。公園前をすぐに左折。ＪＲのガードをくぐり、渋谷勤労福祉会館の横から公園通りを右折。坂を上り、区役所前を右折、原宿駅前へ。休日でにぎわう表参道へ出ると、生い茂る街路樹の左側に見えるのが、昨年秋にオープンした「NIKEフラッグシップストア原宿」だ。
デモ隊は立ち止って力強いシュプレヒコールをぶつけた。通行人が興味深げにカメラやビデオでデモ隊を撮り始める。この時、店舗の前で日の丸の鉢巻きをつけた人物が、デモ隊にヤジを飛ばし、あろうことか警官が隊列に割り込んでくる。抗議を終え、神宮前交差点を右折して明治通りへ。毛並みのきれいな茶色のワンちゃんも一緒 だ。
「ナイキ化計画を撤回しろ」「寝場所を奪うな」。
南下して宮下公園北側に近づくと、地元の祭りで神輿や山車が出ている。氏子らも大きく手を振って、デモ隊に声援を送る。再びガードをくぐり、丸井の脇を過ぎて右折。井の頭通りへ進むと道幅が狭くなり、沿道の人々の注目度も最高潮に達する。やはり学生、若者が多い。
文化村通りへ出て、渋谷駅前に向かう。メディアの報道もあって、通行人の注目度、認知度は抜群だ。先頭集団からは「宮下公園音頭」が聞こえ、反応はどれも好意的だ。危機感を深めた警察は、ハチ公前の大交差点で規制に乗り出す。みたびガードをくぐり、宮益坂下を左折。公園に戻ってきた。
1時間半に及ぶデモ行進は、繁華街をすみずみまで練り歩き、公園売り渡しの不当性を、通行人にしっかりとアピールした。
「渋谷区は宮下公園を返せ」「みんなの公園を返せ」――300人のコール、リズミカルなドラム、ハウリングを利用したノイズ。デモにはアコースティックギターを抱えたジョニーＨさんの姿も。にぎやかに、そして激しく、休日の街に怒りのパフォーマンスが繰り広げられた。（Y）
↓封鎖された宮下公園からデモは出発した
↓「NIKEフラッグシップストア原宿」前
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