三重地労委、アミカンの不当労働行為を認定(酒井徹) | |
[MenuOn] Home | ニュース | イベント | ビデオ | キャンペーン | 韓国 | コラム | About | Help [login ] | |
三重地労委、アミカンの不当労働行為を認定 ――「金銭支払い持ちかけ労組脱退を働きかけ」―― http://imadegawa.exblog.jp/13311862/ ■労組への謝罪文の交付を命令 三重県四日市市に本社を置く 人材派遣会社・アミカン(代表取締役:伊藤勘作)が 派遣労働者に、 金銭の支払いを示唆して 労組からの脱退を働きかけたなどとして、 三重県の個人加盟制労働組合・ ユニオンみえ(「連合」構成産別・全国ユニオン加盟)が 救済を求めていた事件で、 三重県労働委員会は3月29日付で、 同社の不当労働行為の事実を認定し、 労組への謝罪文の提出を命じる命令書を交付した。 ■就業初日にスポット溶接で指先負傷 金銭の支払いを示唆され、 ユニオンみえからの脱退を働きかけられたのは、 日系ボリビア人女性のBさん(32)。 Bさんは派遣会社・アミカンから、 契約書も交わさないまま 三重県鈴鹿市の派遣先・ 有限会社田中メタルワークス(代表取締役:田中哲夫)に 派遣され、 派遣された当日にスポット溶接機で指を負傷。 今も左手親指の関節を曲げるのに 痛みと困難とを伴う後遺症を残す障害を負っている。 厚生労働省からは障害等級12級の労災であったと 認定された。 以前からユニオンみえに加入していたBさんは、 組合を通じてアミカンや田中メタルワークスに、 組合員であることを通告。 必要によっては団体交渉を申し入れることを 書面で予告していた。 金銭の支払いと引き替えに ユニオンみえを脱退するよう アミカン従業員から持ちかけられたのは そんなときのことである。 ■決め手になった「動かぬ証拠」 アミカンの通訳をしていたH氏から、 組合を脱退すれば 会社は給料1ヶ月分を支払うという情報を 2008年5月23日に聞かされたと Bさんはいう。 これが事実であれば、 労働組合法が禁止する不当労働行為に 該当するのは間違いない。 だが、 Bさんはそのとき会話を録音していたわけではないので いくら「言われた」と主張しても 証拠がない。 (事実、アミカン側はBさんのこの主張を 完全に否定)。 そこでBさんは、 相手に気付かれないよう録音機をセットし、 2008年5月30日、 アミカン通訳のH氏にこのように話しかけたのだ。 「ねえ、Hさん。 あなたが話していた 例の件覚えている?」と。 「Tさん(筆者注:=アミカン課長)のこと?」 とH氏はこたえた。 「アミカンのこと」というBさんに、 通訳H氏はこう告げたのだ。 「もし、 あなたが辞めれば、 あなたの月給を払う。 組合を脱退すれば あなたと交渉(合意)すると彼は言っていた」。 こうして始まる証拠CDが、 「動かぬ証拠」としてアミカンの不当労働行為を 立証することとなったのだ。 ■誹謗中傷まじえ脱退働きかけ 「話ができるのは あなたが組合を脱退してから。 大体いつ頃辞めるのか私に知らせれば、 私がTさん(筆者注:=アミカン課長)に 連絡する。 もし彼が同意したらあなたは辞めて、 …組合から金を払ったと言われないため、 あなたがアミカンからお金をもらって……」 録音機が回っているとも知らず、 H氏は堂々とBさんに裏取引を持ちかける。 「あなたは組合を脱退して アミカンも退職する。 お互いに後腐れの無いように 片を付ける」と。 命令書はアミカン通訳のこうした行為を、 「HはBに対して、 組合を脱退しさえすれば、 会社と退職に関する交渉が可能となり、 しかも、 その代価として金員を支払う容易があると 提示していることから、 Hは組合脱退を促しているものと 考えることができる」と 認定した。 さらにH氏は、 ユニオンみえへの誹謗中傷さえ展開した。 「あなたは別よ、 ちゃんともらえたのも 糞ユニオンの助けを求めなかったからよ。 はっきり言うわよ。 ちゃんと対応していたら ユニオンとの問題もなかったはず。 あなたが今ちゃんと受け取っているように、 まともに対応していれば、 このような問題はなかったはず」、 「彼らは利用するだけ。 日本語を話せない人たちを 利用する人たちよ」と。 命令書はこうした通訳H氏の発言を、 「組合を誹謗中傷する発言を行い、 組合に援助を求めなかったことが Bにとって得策であったと話している」と 認定した。 「HはBに対し、 一応は組合員であれば 会社との直接交渉は出来ないと言いながらも、 交渉材料として金員の支払いを提示し、 組合を誹謗中傷しつつ 組合からの脱退を働きかけ、 退職するよう求めたものと認められる」。 ■「組合つぶし、やり得は許さない」 Bさんは現在、 アミカンや派遣先・田中メタルワークスを相手取り、 後遺症の障害補償など、 約1600万円の支払いを求めて 津地方裁判所で裁判を行なっている。 これだけの問題を、 たった給料1ヶ月分でアミカンは 「後腐れの無いように片を付け」ようとしたのである。 ユニオンみえの広岡法浄書記長は、 「組合に対する支配介入・組合つぶしの やり得は許されない。 違法行為をした会社は 社会的な制裁を受けなければならない。 アミカンは歴史のある会社で、 本業では経営を維持できないことから 違法な人材派遣業に シフトしていったということだろうが、 歴史のある会社なら それにふさわしい仕事の仕方が あるのではないか。 三重県労働委員会から出された命令を 真摯に受け止め、 組合との間にある諸問題を解決し、 コンプライアンスに徹する業態に 改めることを望む」と話し、 職場の安全衛生の問題や労災事故の補償問題などの 総合的な解決を目指す意向を示した。 酒井徹 Created by staff01. Last modified on 2010-04-05 23:54:08 Copyright: Default |