ビデオニュースドットコム〜日本経済の復活のための処方箋 | |
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マル激トーク・オン・ディマンド更新しました。 http://www.videonews.com ■マル激トーク・オン・ディマンド 第460回(2010年02月06日) 日本経済の復活のための処方箋 ゲスト:池尾和人氏(慶應義塾大学経済学部教授) <プレビュー> http://www.videonews.com/asx/marugeki_backnumber_pre/marugeki_460_pre.asx リーマンショックに端を発する世界同時不況から約1年5ヶ月。日本経済はGDP実質成長 率が3四半期連続でプラスとなるなど回復基調の兆しが見られるものの、景気回復の実感は 薄く、雇用情勢も失業率5.1%、有効求人倍率0.46倍と依然として厳しい状況が続いている。 さらには円高や消費低迷でデフレの進行が止まらず、二番底を懸念する声も根強い。折し も5日、米国株式市場の急落を受けて日経平均株価が1万円を割りそうになるなど、景気 動向については予断を許さない状況だ。日本経済はいつになったらこの不況を打破ででき るのか。 経済学者で金融論が専門の池尾和人慶應義塾大学教授は、不況には一時的な景気悪化で その経済が本来持っている実力よりも下ぶれしている場合と、そうではなく実力そのもの が低下している場合があり、現在の日本の経済不況は明らかに後者だと言い切る。 2002年以降の日本経済は米国の過剰消費に輸出産業が引っ張られ、実力以上に好調な景 気を維持してきたが、リーマンショックを契機に一気に失速した。その後、緩やかに回復 してきてはいるが、現在の停滞状況は日本経済の本来の実力を反映しているに過ぎないと いうのが池尾氏の見立てだ。今後の見通しについても、「質素で退屈で憂鬱な」低成長時 代が続くと池尾氏は言う。 かつてジャパン・アズ・ナンバーワンとまで言われた日本経済は、なぜそこまで力を 失ってしまったのか。池尾氏はその問いに対して、一言で言えば日本の経済の仕組みが硬 直化し、内外の環境の変化に対応できていないからだと見る。 90年前後に起こった冷戦の終結は、ロシアや東欧の自由主義経済への参入や中国の開放 政策の成功、インドやその他の新興国の台頭をもたらし、市場経済の規模が一気に拡大し た。その結果、グローバル資本主義が成立し、そこに参加する人数もそれまでの10億人か ら40億人へと一挙に膨れ上がった。当然、グローバル市場における日本経済のウェイトは 相対的に低下することになる。 また、世界の工場として躍進を遂げた中国をはじめ、韓国や台湾などの近隣諸国が産業 化に成功し、外でつくった製品を輸入した方が安いという経済合理性から、日本の国内向 け製造業も大打撃を受ける。 こうしたドラスティックな環境変化に日本は対応できず、産業構造の転換を図ることを してこなかったと池尾氏は説明する。加えて、追いつき追い越せというキャッチアップ型 の成長時代が終わったにもかかわらず、先進国型の経済成長に不可欠な、独自の技術開発 やイノベーションを生み出すための教育や社会の仕組みづくりにも手を付けてこなかった。 内外の激的な変化に対して何ら手を打たずにいれば、日本経済が弱体化するのも当然だ。 そればかりか、日本経済の実力自体が落ちていることを直視せず、不況の原因を一時的な 景気悪化と見て、財政出動というカンフル剤の投入を繰り返してきたのがこの20年間だっ たと池尾氏は言う。すでに長期債務残高は国と地方を併せて816兆円、対GDP比で160%以 上にまで膨れ上がり、これ以上の財政出動の余力はない。しかも、そのツケは将来世代に 回されるという世代間不公平が生じている。 今や重篤な病にかかってしまったかのような日本経済だが、果たして打開策はあるのか。 池尾氏は、日本経済が抱える最大の問題点は需要構造と供給構造のミスマッチにあると指 摘する。しかし需給ギャップというと、その原因は需要側にあると短絡的に考え、慢性的 な需要不足に対して慢性的な財政出動を行ってきたのが、これまでの経済政策だった。現 在の需給ギャップはむしろ供給サイドに問題があるというのが池尾氏の見方だ。つまり、 売れるモノやサービスを提供できるように、人やリソースを配分するという供給構造の大 転換が必要だという。そして、その際に生じる痛みを手当することに経済政策の主眼を置 くべきだと池尾氏は主張する。 医療、健康、介護、教育、環境といった分野における生産性を向上させることが日本の 経済成長にとっての最優先課題になると説く池尾氏とともに、日本経済の現状と復活のた めの処方箋を議論した。(本日のマル激本編は経済ジャーナリストの町田徹と宮台真司の 司会で、ニュースコメンタリーは神保哲生と宮台真司の司会でお送りします。) <今週のニュース・コメンタリー> ・検察の民主統制は法務大臣の責務 ・郷原信郎氏インタビュー 小沢氏不起訴に見る深刻な検察の能力低下 ・奥平康弘氏インタビュー まず政治に金がかかるという神話を疑え ・最初から無理筋だった「悪質性」の立証 ・世論形成にネットが果たした役割は <関連番組> ■マル激トーク・オン・ディマンド 第357回(2008年02月02日) サブプライム問題が露にしたグローバル経済の実相 ゲスト:水野和夫氏(三菱UFJ証券参与・チーフエコノミスト) http://www.videonews.com/on-demand/0351351360/000760.php ■マル激トーク・オン・ディマンド 第354回(2008年01月12日) 2008年日本経済の課題 ゲスト:熊野英生氏(第一生命経済研究所主席エコノミスト) http://www.videonews.com/on-demand/0351351360/000757.php ■マル激トーク・オン・ディマンド 第403回(2008年12月20日) 見えたり、金融資本主義の正体 ゲスト:小幡績氏(慶應義塾大学大学院准教授) http://www.videonews.com/on-demand/0401410/000806.php ○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎ 番組開始から10年を迎えるマル激が、メールマガジン でもお楽しみいただけるようになりました。 【マル激!メールマガジン】毎週水曜配信中 http://www.videonews.com/mail-magazine.php ◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○ Created by staff01. Last modified on 2010-02-07 13:54:30 Copyright: Default |