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レイバーネットTV〜労働者のメディアを育てよう(山口正紀)
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★人権とメディア 「週刊金曜日」9月17日号 

レイバーネットTV〜労働者のメディアを育てよう
     山口正紀
(写真中央)

働く者の情報ネットワーク「レイバーネット日本」が五月、インターネットの「ユーストリーム」という仕組みを使って試験放送した「レイバーネットTV」。その「ゼロ号」放送の様子は本誌五月二八日号で紹介されたが、七月から毎月第三火曜日の夜の定時放送を開始、約一時間強の番組が軌道に乗ってきた。


番組の基本的なコンセプトは、「大手メディアでは、見えない、聞けない、話せない」労働運動・市民運動などのニュース・情報をライブで伝えること。視聴者の感想を番組に取り込み、「双方向のテレビ」にしていくことも重視している。それを実現したのが、ユーストリームという新しい配信方法。生中継ができるうえ、ツイッターと連動し、番組を見ている視聴者の「つぶやき」を直ちに放送に反映させることができる。しかも、番組は放送と同時に録画され、アーカイブで見ることも可能だ。


とはいえ、最大の魅力はやはり「大手新聞・テレビが取り上げない」労働現場の実態、労働運動の最前線の闘いを当事者の生の声で伝えていること。番組には六〜七本のコーナーがあるが、その多くは「レイバーネット日本」ならではの労働運動情報と人脈を活かして作られている。「ゼロ号」を含め三回の放送から主なものを紹介しよう。


「ザ・争議」では、「格安ツアー」の裏で苛酷な労働条件・低賃金・組合つぶしと闘う「阪急トラベルサポート添乗員労組」、突然の閉鎖通告に抗し、半年間の自主営業闘争に勝利した「サウナ王城ユニオン」、国鉄分割・民営化に反対し、「JR不採用・解雇」と二三年間闘ってきた「国労北見闘争団」が登場した。


「ユニ・ゆに」は、既存の労働運動が形骸化する中、元気に頑張っているユニオンを紹介するコーナー。外国人労働者の「駆け込み寺」として約二〇カ国の労働者が参加する神奈川シティユニオン、総数二十一万人と日本一多くの非正規労働者で成り立つ日本郵政株式会社で希望者全員の正社員化を求めて闘う「郵政ユニオン」の闘いが、映像・当事者の話で紹介された。


「教えておじさん!」コーナーは、若い世代が労働組合活動に抱く疑問・違和感を先輩にぶつける。中小労組政策ネットワーク事務局長の平賀健一郎さんがレギュラーだが、八月は全石油昭和シェル労組の柚木康子さんが代打出演し、ストライキの楽しさ、労働運動の中の「男社会」などについて自在に語った。


「不満★自慢」コーナーは、視聴者から寄せられた「絶対おかしい、こんな働き方」をジョニーHさんによる替え歌と乱鬼龍さんの川柳で紹介する。八月の放送では、「職場のスタッフ全員が茶髪にするよう命じられた」アパレル産業労働者、「学期末の通知書三十八人分を書き換えるよう校長に命じられ、拒否すると校長が書き換えた」小学校教員と、信じがたい職場状況が二人の掛け合いで紹介された。


このほかに、メディアが伝えない「ニュースダイジェスト」(八月は反ヤスクニデモ、自衛隊セクハラ訴訟など)、映画評論家・木下昌明さんの「今月の一本」(八月は「キャタピラー」「ANPO」)、そして番組最後に「山口正紀のピリ辛コラム」で、メディア批判を中心に、私も番組に参加させていただいている。


自分には伝えたいことがある。そんな人たちが知恵と力を出し合って創る「労働者の・労働者による・労働者のためのメディア」。次回放送は九月二一日午後八時から。グーグルで「レイバーネットTV」を検索すれば放送ページがわかる。アーカイブも含め、本誌読者にもぜひ見てもらって、大きく育ててほしい。

★視聴サイト 21日午後8時〜9時 http://www.labornetjp.org/tv

*著者の了解をえて、本サイトで紹介させていただました。


Created by staff01. Last modified on 2010-09-20 23:06:56 Copyright: Default

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