報告 : 「NO―VOX 国際連帯フォーラム」シンポジウム | |
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日本で初めての「NO―VOX 国際連帯フォーラム」が3月1日から7日まで、東京と大阪で開かれている。6日の土曜日は、東京・お茶の水の明治大学でシンポジウムがあり、約50人が参加した。 国際的な反貧困運動を続ける「NO―VOX」(声なき者、持たざる者の国際ネットワーク)は08年12月、パリで「NO―VOX 国際連帯フォーラム」を開催した。社会的な排除に抗する、生きる権利を取り戻す闘いと、非正規の労働運動を結び、新たな労働運動、社会運動の展望と可能性を探る。フランス、カナダ、韓国から、創造性あふれる当事者運動を担う活動家たちが来日した。 シンポのタイトルは、「居住の権利と越境する社会運動」。山谷労働者福祉会館のなすびさんが総合司会を、コーディネーターを権田さんが務めた。 なすびさんは、「新自由主義の行きづまり、資本主義の矛盾が多くの人々にあらわになったときに、『居住権』を問い直すことが焦点になる。多様な運動が世界中で闘われている。その報告を聞いて、今後何ができるのかまで、具体的に踏み込めたらいい」と提起した。 権田さんは「新自由主義の怖さを日々実感している」営業労働者だという。一昨年パリで開かれた国際フォーラムに参加して出会った野宿者、反貧困運動に感化され、日本での隊列に加わった。「国の中でも外でも、どこにいても貧困の苦しみは変わらない」と実感を込め、「今日は楽しみましょう」と明るく開会を宣言した。 NO-VOXの中心的活動家であるアニー・ブールさん(写真上)は、出産費用が払えず病院から家に帰れないケースや、賃貸住宅の解体工事を阻止した闘いなど、いくつもの勝利の事例を紹介し、「私たちに必要なのは異なった運動がひとつになることだ。そうしなければ新自由主義に勝てない」と強調した。 ジャン・バティスト・エローさん(写真上)は、フランス「DAL」(ダル=住宅への権利運動)創設メンバーの一人。フランスでは約50万人が路上生活を強いられる一方、約180万戸の空き家が放置されている。エローさんはスライド画面をさしながら、ホテルの清掃労働者の座り込みや空き家、体育館などの占拠闘争を報告し、「運動が一国のレベルを超えて広がっていくことが必要だ」と訴えた。アイシャトゥ・バルデさんは、失業者の運動「APEIS」(アペイス)の中心的活動家。失業者自身のネットワークを築き、対抗的運動に発展させようと奮闘している。 カナダには1978年以来、全国130の住民組織を基盤とした公営住宅建設運動が存在する。「FRAPRU」(フラプリュ=カナダ・都市開発民衆行動戦線)のベロニックさん(写真)は、これまでの運動の教訓から、公営住宅のありかたを論じ、「持ち家政策ではなく、公営住宅を増やすこと。国境を越えた資本投機に反対していく」と明言した。 参加者からも、活発な提起や質問が出された。失業者の運動に対する労働組合のかかわり方や、共同住宅を建設するにあたっての、住民の意思の反映のしかた、運営のノウハウ、資金の問題など、実にさまざまな課題がこの日、検証された。 限られた時間のなかで、通訳を媒介するもどかしさもあったが、海外からの仲間たちと相互に、真剣に議論に向き合おうとした、有意義なシンポジウムだった。(Y) Created by staff01. Last modified on 2010-03-13 19:56:12 Copyright: Default |