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再審開始へ最大の山場〜「狭山事件」東京集会開催
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狭山闘争40年の最大の山場〜
検察は隠し続けた証拠をすべて開示せよ

「狭山事件の再審開始を求める東京集会」が2月12日夜、東京・台東区民会館ホールで開かれ、255人が集まった(主催・狭山東京集会実行委員会)。石川一雄さんの完全無罪を勝ち取るべく参加者が心を寄せた、一体感あふれる集会だった。

「足利事件」の再審開始が示すように、権力によって繰り返されるえん罪への世論の関心と批判は、これまでの刑事司法の悪しき流れに、一定の歯止めをかけているかに見える。とりわけ「問答無用」のかたくなな態度で本件の2度の再審請求を却下し続けてきた裁判所は昨年9月、東京高等検察庁、狭山弁護団に対し、ついに「三者協議」を呼びかけた。東京高検には一部の証拠開示を勧告するなど、大きな動きがあった。

主催者を代表してあいさつに立った若林克俊議長は、「この実行委には40団体が参加しています。すでに半世紀におよぶ狭山闘争で、石川さんは70歳を超えました。私たちは、検察が隠す証拠の全面開示を求めています。完全無罪を勝ち取る、たしかな年にしようではありませんか」とアピール。関久事務局長が読みあげた集会基調案を、参加者が拍手で確認した。

石川一雄、佐智子さん夫妻が演壇に立った。71歳になった石川さんは、「裁判所に何としても事実調べをやらせたい。100歳まで生きられるのなら、あと29年も残っている。元気な間に世界を飛び回り、この事件を訴えたい。元気なうちに無罪を勝ち取りたい」と声を振り絞った。 妻の佐智子さんは、狭山事件が大きく取り上げられている「冤罪File」やフランスの雑誌の現物を紹介し、「やくみつるさんが漫画を書いてくれた。読んで胸がいっぱいになった」。「次々とえん罪が暴かれていく風に乗って、このチャンスを生かして闘っていきたい。ご支援をよろしくお願いします」と発言。

裁判所は新証拠の事実調べを

闘争弁護団の主任弁護人・中山武敏さんはスライドを上映しながら、脅迫状の筆跡の違いや、血液反応の実験をつぶさに報告し、「三者協議が開かれたことは大きな一歩だ。捜査の全面可視化をこれまで何度も主張してきたが、裁判所はまったく無視してきた。今回の証拠開示勧告はとても大きな意味を持っている」と評価した。

「狭山朗読劇制作班」による「誇りをもって、今を闘おう! Hold SAYAMA’s Last Chance!」が上演された。部落解放同盟東京都連傘下の各支部と、支援労組ら有志で構成されたこの物語。狭山闘争の激動の40年を再現しただけでなく、凶悪な「差別ハガキ事件」の被害者らの実体験までも盛り込んだ。ハガキやネットでの差別暴言に苦しむ人々が、闘う仲間と連帯することで、人間としての誇りと尊厳に目覚めていく過程を描く感動作だ。

全水道東水労の中山さんは、組合で3年ぶりに取り組んだ狭山現地調査を報告し、「市民のみなさんと全力で闘う」と宣言。集会決議、集会スローガンを採択し、「団結がんばろう」で、参加者は力強いこぶしを振り上げた。

 昨年発足した鳩山新政権は、検察が隠し持つ「証拠の開示」や、「捜査の可視化」に向けた法整備を検討している。今こそ、あらゆるえん罪の真相を明らかにするまたとない機会である。この追い風に乗り、検察を徹底的に追い詰め、事実調べから再審実現へと、気を緩めることなく一気に攻め上ろう。

石川さんは集会閉会後、会場から退出する参加者一人ひとりを熱い握手で迎え、さらなる支援を訴えていた。(Y)

※朗読劇は、作者の体験や事実の一部を基に構成されたフィクション作品

↓石川一雄さんと妻の佐智子さん

↓感動的な朗読劇

↓スライド上映で証拠を検討する中山武敏主任弁護人

↓「誇りをかけて闘おう」と訴える

↓熱心に台本を確認する石川さん


Created by staff01. Last modified on 2010-02-16 22:10:33 Copyright: Default

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