東海林智さん講演会〜当事者たちの悲痛な叫びが聞こえた | |
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4月16日、「経済恐慌下、日本の貧困はここまできている」と題する講演会があった。報告は東海林智さん(毎日新聞社会部記者・写真)。「アジア記者クラブ」が定例会として主催した。会場の東京・渋谷勤労福祉会館に約60人が集い、熱心に耳を傾けていた。司会を主催者の森広泰平さんが務め、年末年始の「年越し派遣村」の記録映像が上映された。 学生時代から日雇い労働者の街に通っていた東海林さん。冒頭、1999年から取り組んだ大阪・西成区での取材を振り返った。当時はまだめずらしかった携帯電話。持っていた日雇い労働者は、仕事にあぶれることがなかったという。手配師たちはやがて、組合に守られる労働者よりも、分断され従順、安く使える地域外の若者に目をつけた。日給は1万円から9千円、そして8千円と労働力のダンピングが進んでいった。東海林さんは、「この構造は、現在の日雇い派遣とまったく同じだ」と厳しく指摘した。 日経連の方針を批判し、「名ばかり管理職」に仕立てられる巧妙さを解き明かした。闇に葬られようとする過労死の実態を、生々しく伝えた。レポートはどれも系統的でわかりやすく、その時どきの光景が目に浮かび、当事者たちの悲痛な叫びが聞こえてくるようだ。 涙と怒りで歩き続けてきた「貧困の現場」。その道のりに、どうしても忘れられない一幕があった。野宿生活から生活保護を勝ち取り、アパートに入った「おっちゃん」の物語だ。 島倉千代子の大ファンだった。だが無念にも他界。棺は公民館の和室にぽつんと置かれた。仲間との別れの日、支援の若者の一人が、拳をまっすぐ空に突き上げた。 「この拳の意味を、彼に聞くことができなかった」――東海林さんは声を詰まらせ、やがて自分なりの理解を口にした。迫る時間のなかで、参加者からは積極的な質問が出された。 理不尽な現実を変えていくために、「私たちに求められること」は何か。この答えのひとつが、握り締められた拳のなかにあるのかもしれない。(Y) ※講演の全文は、主催者が発行する会報に掲載されます。 Created by staff01. Last modified on 2009-04-17 02:01:54 Copyright: Default |