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LNJ Logo 新たな権力弾圧=「関西宇部事件」に抗議する声明(全日建労組)
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みなさま

当組合の関西地区生コン支部に対して、2月に再び新たな権力弾圧がかけられました。当初5人の組
合役員らが労使協定を守れと求めた抗議行動が威力業務妨害だとして逮捕され、一昨日の3月3日、
2人が起訴猶予で釈放されたものの、残る3人の組合役員たちが起訴されました。

05年1月から3年続いた「国策捜査」というべき一連の権力弾圧は、みなさまのご支援とご協力で
はねかえすことができました。今回の事件は、大阪府警や大阪地検が、その汚名返上をねらってしく
んだものだと私たちは考えています。

もちろん、私たちはこれしきの弾圧には負けず、これから強力な反撃戦を開始します。

以下はとりあえずの抗議声明です。
引き続きご支援をよろしくお願い致します

全日本建設運輸連帯労働組合
小谷野毅
東京都千代田区岩本町3−6−5木所ビル
TEL03(5820)0868 FAX03(5820)0870
Eメール koyano@tu-rentai.org

________________________________________

2009年3月4日

                      全日本建設運輸連帯労働組合
                      中央執行委員長 長谷川 武久
                    
                      全日本建設運輸連帯労働組合
                      近畿地方本部
                      執行委員長   戸田ひさよし
                    
                      全日本建設運輸連帯労働組合
                      関西地区生コン支部
                      執行委員長   武  建 一 

新たな権力弾圧=「関西宇部事件」に抗議する声明
〜労使協定順守を求める正当な組合活動への介入を許さない〜

 3月2日、大阪地方検察庁は、先月12日に不当逮捕した、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の5人の組合役員らのうち、2人を起訴猶予で釈放する一方、他の組合役員ら3人を威力業務妨害罪で起訴した。
 この事件は、近畿地方で最大手の生コン会社、関西宇部に対し、労使協定の履行を求める正当な組合活動を、むりやり刑事事件に仕立て上げたものである。大阪府警と大阪地検が一体となったこの暴挙に対し、われわれ連帯労組は、まずもって全組織の名において強く抗議の意思を表明するものである。

 事件の舞台となった株式会社関西宇部(大阪市東淀川区。代表取締役・木村貴洋)は、大阪、兵庫に6工場を持つ業界最大手の生コン会社で、セメントメーカー宇部興産株式会社の子会社である。関西宇部はまた、代表取締役が大阪広域生コン協同組合の副理事長と大阪兵庫生コンクリート工業組合の理事を、そして、専務理事が神戸地区生コン協同組合の副理事長を務めており、業界の指導的立場にある。
 2006年以降、関西宇部は、人員補充や日々雇用労働者の就労問題に関する労使協定を守らず、不当労働行為をくりかえすようになっていた。08春闘においても、同じように反組合的な行動を重ね、それが今回の弾圧事件の発端となった。その経緯は次のようなものだった。

 2008年4月2日、「大阪兵庫生コン経営者会」と、3つの労働組合(連合・交通労連生コン産業労働組合、全港湾関西地方大阪支部、連帯労組関西地区生コン支部)は、「08春闘協定」を交わした。関西の生コン業界では、経営者団体と関連労組との集団交渉で賃金・労働条件などを決めており、「経営者会」と3労組の協定は、経営者会加盟の生コン業者及び生コン輸送業者75社を拘束する業種別協定となっている。
 ところで、「08春闘協定」には、賃上げ6,500円の実施(日々雇用労働者は日額400円)や年間一時金、福利厚生資金の支給のほか、輸送運賃の引き上げに関する条項が含まれていた。
 生コン業者の多くは生コン輸送業務を輸送会社に下請化しているので、その下請輸送業者の労働者の賃上げは、元請の生コン業者が運賃を引き上げないと原資が生まれない。加えて、原油価格が07年から暴騰し、輸送会社の経営が極度に圧迫されていたことから、輸送運賃の引き上げは08春闘の重要なテーマになっていた。そこで、労働側が輸送運賃の引き上げを生コン業者側に強く求めた結果、大阪兵庫生コン経営者会は要求を受け入れ、運賃引き上げの必要性を認めたのである。
 具体的には、「08春闘協定」の第7項は、「燃料高騰、NOX対策、賃上げ等の要因による運賃引き上げについての指針を出す」と明記。同年7月8日には、大阪兵庫経営者会が、「輸送運賃引き上げについての指針」を作成した。そして、「製造会社においては、輸送会社からの求めに応じて、当事者間で輸送運賃引き上げについての交渉を行い、輸送業の現状を十分理解した上で、運賃を引き上げる設定を行うべきである」と各社に提示した。
 こうして08春闘協定が締結され、次いで指針が作成される過程で、労働側は経営者会加盟の各社に対し、いっせいに輸送運賃の引き上げを申し入れ、大半の業者が運賃を引き上げる措置を順次とっていった。

 ところが、関西宇部は、経営者会の加盟会社であり、業界のリーダー的立場にありながら、「運賃協定の履行は経営権の問題である」と主張して、協定履行を拒否するに至った。 
 こうした関西宇部の不誠実な姿勢に抗議して、2008年7月2日以降、組合は主要工場で相次いで抗議行動を実施した。
 そして、この抗議行動をふまえて、同年7月14日には改めて団体交渉の実施を申し入れたが、関西宇部は、「現時点は団体交渉を行う状況ではない」として団交を拒否した。
 同年7月31日、組合は、08春闘協定に明記された輸送運賃引き上げを守らず、団交すら拒否する関西宇部の一連の行為は、労働組合法第7条第2号違反であるとして、大阪府労働委員会に対し不当労働行為救済を申し立てた。

 これが、関西宇部事件のあらましである。ここにあるのは、交渉で協定を交わした、ついで労使協定を守れという申し入れをした、そして、協定を無視して団交すら行わない企業に対して抗議行動にとりくんだ−−だれがみても、そうした、ごく当たり前の組合活動にほかならない。
 それにもかかわらず、大阪府警は、本年2月12日、組合が昨年7月2日に関西宇部吹田工場でとりくんだ抗議行動が「威力業務妨害」容疑にあたるとして、関西地区生コン支部の執行委員3人、組合員2人の合計5人を不当逮捕したのである。同時に、5人の自宅や武建一支部執行委員長の自宅、組合事務所などを捜索。その後も、業者団体や業者団体役員らの自宅など事件とはおよそ関係のない場所にまで次々に家宅捜索を行った。そして、一昨日の3月3日、5人のうち2人は起訴猶予で釈放したものの、3人の組合役員らを起訴したのである。

 団体交渉に応じて誠実に労使で話し合う。合意したことは労使協定にまとめ、誠実に履行する。これは、憲法と労働法が明示する経営者の初歩的義務にほかならない。その義務を侵しておきながら、労働組合の正当な組合活動をなじる権利は関西宇部には一切ない。
 そもそも、関西宇部はこの間、労働組合敵視の政策をとる一方で、環境破壊などの違法行為がしばしば摘発され、社会問題となってきた。
 一昨年の2007年3月には、関西宇部の堺工場が、100トン以上もの生コン汚水を2年半にわたって大阪湾に不法投棄(廃棄物処理法違反)していた件で書類送検されている。これに懲りず、2008年にも、ミキサー車の汚水を路上にばらまいたり下水口に垂れ流した件で、各自治体から立ち入り調査や行政指導を受けている。大手セメントメーカーの子会社であり、業界の模範たるべき立場にありながら、これほど企業モラルの欠如した事業主も珍しいといわざるをえない。

 大阪府警と大阪地検は、こうした企業に肩入れして、正当な労働組合活動をあえて刑事事件に仕立て上げたのである。
 なぜ警察と検察はこんな異常な行動をとるのだろうか。
 振り返ってみれば、かれらは2005年1月以来、立て続けに権力弾圧を仕掛け、関西地区生コン支部を潰滅させようと試みた。その目的は、ゼネコンやセメントメーカーという大企業が支配する生コン業界を民主的に改革しようして、労働組合と中小企業が結束してすすめる政策運動をつぶすことにあった。しかし、これは多くのジャーナリスト、学者、弁護士たちから「国策捜査」として厳しく批判された。一連の弾圧の最終場面でおこされた斎藤建材事件(07年)では、暴力団を使った明々白々な組合つぶしにまで介入して、かれらは逆に強い社会的批判を浴びた。無謀な国策捜査は、結局のところ失敗に終わった。
 今回の新たな弾圧は、つまるところ、この失敗の汚名返上を焦る大阪府警と大阪地検の、まさに極めつけの権力の濫用というほかない。

 しかし、われわれ連帯労組は、こうした権力弾圧に挫けるものではない。これまでもそうであったように、われわれは意気高くたたかい、3人の仲間の早期釈放と無罪を勝ち取る決意である。もちろんのこと、関西宇部の無法なまでの労働組合つぶしも完膚無きまでにうち砕くつもりである。
 今後のたたかいに対する全国各地の組合員、家族の結集をよびかける。
                                                   以上


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