報告:新政権下での護憲運動のありかたを議論(東京・荒川) | |||||||
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11月21日夜、「政権交代でどうなる、どうする平和憲法」と問いかける集会が都内荒川区・町屋駅前の「ムーブ町屋」で開かれ、約50人が参加した。同区で平和運動を続ける市民グループ「平和憲法を守る荒川の会」が年次総会として企画。講師に大内裕和さん(松山大学教授)を招いて、新政権下での護憲運動のありかたを議論した。同会は06年、区内で活動している有志が集まって動き出した。翌年「準備会」を経て正式に発足。今年で3回目の総会となる。 ■地域での地道な活動 森本孝子さん(共同代表)が司会を務め、開会のあいさつとして森谷新さん(共同代表・社民党荒川支部長)が「政権交代と私たちの課題」と題した基調を報告した。 森谷さんは、月一回学習会、駅頭ビラ、行政への申し入れなどを軸にした、これまでの会の活動を紹介。鳩山新政権の日米安保、在日米軍地位協定などの政策に言及し、「鳩山政権の品質保証をするのが社民党の役割。そうでなければ政権にしがみつく必要はない」と主張。「今後も地域と中央を貫いて活動していく」と決意を述べた。 この日の会場は、映像上映の専用施設である。記録ビデオ「年越し派遣村」(ビデオプレス制作)が映し出されると、参加者は大スクリーンに見入った。オトソ気分に浮かれる経団連の賀詞交換会に攻め上る仲間たち。「あなたがたは、労働者を解雇するのにアポを取ったのか」と鋭い抗議の声が、いつまでも耳に残っている。 ■安倍政権の改憲策動への危機感から 大内さんの講演が始まった。大内さんは、「教育基本法改悪反対運動」で中心的な役割を果たしてきた。 小泉・郵政民営化選挙で圧勝した自民党は、その後の安倍内閣で「教育再生会議」を発足。「国民投票法案」も07年の通常国会に提出された。一方07年4月、小沢民主党は大きな路線転換を迫られる。「改憲」を棚上げし、格差社会反対路線を打ち出していくのだ。 その背景には、「荒憲の会」結成にも象徴される、安部政権による改憲強行への危機感、反対運動の盛りあがりと、毎年首相が交代する自民党への支持率急落があった。 今年の「年越し派遣村」の成功は、貧困問題を可視化し、政治を動かした。小沢民主党は、他党との選挙協力をしながら「生活第一」をスローガンに掲げ、構造改革路線への批判を強化していく。大内さんは、粘り強い運動の成果を評価しつつ、民主党圧勝の要因を分析した。 新政権の登場で、憲法(明文)改悪の可能性は大きく低下。新自由主義路線から社会民主主義路線へと転換した。講演は核心へと進む。90年代以降準備されてきた「格差と戦争」の問題だ。 1995年。日経連が「新時代の日本的経営」という方針を発表。労働者を3つの階層に分け、差別を固定化する資本の延命策だ。これが、小泉構造改革と一体の攻撃として、推し進められてきた。 ■貧困と戦争は一体だ 世界一の格差社会アメリカでは、軍が高校生を公然とリクルートしている。貧困に陥った家庭には、住宅や教育が保障される入隊は魅力的だ。軍に入れば学費はタダなのだ。こうして黒人やヒスパニックが、イランやアフガンに派兵されている。 大内さんは、「『憲法9条改悪反対』を言うだけでは憲法は守れない。格差と貧困の社会を変えない限り、戦争を止めることはできない。だから労働運動と反戦運動が結びつくことが求められている」と力を込めた。 具体的な運動方針として、以下の点を挙げた。 大内さんの快活で明解な論理展開は、いつも聞く者を元気にしてくれる。在京の多忙なスケジュールを縫って快諾された、この日の講演の語り口は、参加者との「距離」も近く、よりフレンドリーなものだった。お話は予定時間きっかりに終わったが、触発された参加者からの質問や意見が相次いだ。このかん跋扈する「在特会」の問題点や、都民にナショナリズムを発散する首長への、厳しい批判も噴出した。 参加者の約半数が二次会へと移動した。区外からの来場者も交え、和気あいあいの雰囲気のなか、閉店まで熱心な議論が続いていた。(Y) Created by staff01. Last modified on 2009-11-25 22:46:40 Copyright: Default |